朝日家の三姉妹<3>~奈月の場合~

ももくり

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仲良し5人組

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 キョウちゃん、ノッチ、ムーさん。これに私が加わるといつもの仲良し5人組だ。
 
 志季さんが店員らしき男性と何か話し込んだ後、私たちが元々座っている4人用テーブルにもう1つ別のテーブルがくっつけられ、私の隣りにはアッちゃんが素早く座った。心配して来てくれたことに御礼を言おうとしたのに、それを遮って紗英が皆んなに懇願する。
 
「ねえ、皆んなも聞いてよ!奈月が私のことを名誉棄損で訴えるとか言い出したんだよお!!酷くない?!だって、そんな、ごくごく一般的な噂話じゃんねえ?!それを大袈裟に騒いでさ」
 
 紗英の隣りに座ったせいで、手を握られたムーさんは勢いよくその手を払いながら険しい表情を彼女に向けた。
 
「ちょ、何?皆んなどうしたの?だって私たち友だちでしょう??そんな怖い顔、止めてよ~」
 
 その言葉にアッちゃんが敏感に反応する。
 
「アンタと友だちだったことなんて1度も無い。あのさ、友だちの概念、すごく間違ってない?一緒にご飯食べて喋るだけの関係を友だちとは言わないんだよ。
 
 私はね、小学生の頃に母親がホストに入れ込んで家庭崩壊しちゃったの。小中高一貫校のお嬢様学校だったからね、そういう話って広がるのが早くて、しかもどこの親でも言うらしいのよ『あんな家のコと付き合うのは止めなさい』ってね。
 
 いやあ、驚くほど周囲から人がいなくなってさ。それまでが結構、順風満帆だったもんで心を病んじゃうワケ。不登校で引き籠った私を、奈月だけが気に掛けてくれた。毎日ウチに来て、何も言わずに一緒にいてくれたの。『大丈夫だから』って、『私はアッちゃんのこと大好きだよ』って、うっ、ひっく、奈月だけが私のことを…。
 
 そんな時、正式に両親が離婚して、心の支えだったお兄ちゃんとも別々に暮らすようになって。お父さんは仕事に夢中でいつも1人だった私を、やっぱり気に掛けてくれたのは奈月だった。
 
 私1人でも最低限の家事が出来るようにって、奈月のお母さんに一緒に家事を教わって、お陰で今では苦労知らずだよ。風邪を引いて寝込むと泊りがけで面倒を見てくれたし、そんな奈月がいるんなら…と再び学校に通い始めてそこで改めて仲良くなったのがキョウちゃん。
 
 キョウちゃんの家も父子家庭だったから、私のことずっと気にしてくれてたって。だけど勇気が無くて声を掛けられなかったんだよって。
 
 その言葉が嬉しくて、ワンワン泣いてたら隣りからティッシュを差し出してくれたのがノッチ。『言いたいヤツは言わせとけばいいよ』って、すごく男前な女のコで、いつの間にか凄く仲良くなって、登山とかするようになって、そこで同じ山好きだからと加わって来たのがムーさん。
 
 5人で汗だくになりながら難攻不落と評判の山にも登り続けて、苦楽を共にして来たんだよ!そんな上っ面だけの軽い集団とは違うのッ。
 
 私たちは本当の『友だち』なんだから!!だから、大事な奈月を苦しめる人間は誰だろうと許さない!!奈月の敵は私たちの敵なの!!ねえ、そうでしょ、皆んな?!」
 
 
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