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しおりを挟む部屋に戻ると外から赤や緑、青や白などの明かりが見え、不思議に思い窓を開ける。どうやら川沿いで騎士灯をやっているみたいだ。
「綺麗……一人で行ってみようかな。でも、クロが戻ってくるかもだし……」
よし、ちょっと待って戻ってこなかったら、出掛けよう。
俺は部屋の明かりをつけ、インベントリから魔法本を取り出して読み始めた。
しばらく集中して読んでいると、ゆらりと魔力の歪みを感じた。クロが帰ってきたのかと歪みの方に顔を向けると、懐かしい顔ぶれが現れた。
『よう、ジン様』
『ジン、久しぶり』
「ガイ!ドイ!」
ニヤッと笑っている赤色の短髪と瞳の青年と優しく笑っている茶色の長髪と瞳をした青年が現れた。
赤色が火の精霊王のガイで、茶色が土の精霊王のドイ。ちなみに契約できなかったが、シロ同様お願いされたので、俺が仮の名を付けました。
嬉しくて抱き付こうと立ち上がった俺の前に、2人はふわりと降りると、片膝をつき俺の手を取るなり、指先にキスをした。
『『主に呼ばれて恐悦至極』』
「コレ絶対クロの仕業だよね!あと、俺、2人の主じゃないからやめて」
俺がそう言うと、2人はお互いに顔を会わせて頷いた。
『『御意』』
「ガイー、ドイー」
俺が軽く怒っていると、ガイが俺の左手を掴み、ドイが俺の前に立った。
なんだろうと首を傾げていると、2人が優しく笑う。
『ジンに火の加護を』
『ジンに土の加護を』
チュッと左の甲にガイから、鼻の頭にドイから、キスをされ、ふわりと暖かい何かが全身を包み込む。俺の魔力とガイとドイの力が混ざり合い一つになっていくのを感じた。
『これでジン様は俺達の主だな』
『ジンは主』
『これで文句は言わせねぇ』
なんでもないように笑いながら言っているが、精霊王は滅多に契約はしないことを知っている。
「ガイ、ドイ、こんな簡単に契約してもいいの?」
悩ましげに2人を見ていると、ぎゅっと2人に抱き締められた。
『俺は前々からジン様一筋だからな』
『俺もジンだけ。だから気にしないでいい』
ふわりと2人の魔力を感じたかと思うと、すーっと魔力が出ていくのを感じ、胸にあったモヤモヤがスーと消えた。
あれ?なんだか軽くなった気がする……。
不思議に思っているとガイがぐしゃぐしゃと頭を撫でながら微笑んだ。
『頑張ったな』
「?」
『モヤモヤがスッキリしたんじゃないか?』
「どうしてわかるの!」
『それにはちゃんとした理由がある。聞く?』
ドイはそう言いながら、ぐしゃぐしゃになった俺の髪を優しく手ぐしで整える。
「ん、お願いします」
俺はベッドに腰掛けると、俺を真似してか、ガイは机の上、ドイは椅子に座った。
『ジン様、どうやって魔王化になるか知ってるか?』
「うん、魔王レベル99の後に闇落ちしたらなるってクロから聞いた」
うんうんと頷くガイの横にいたドイが優しく問う。
『じゃあ、闇落ちはどうやってなるか、知ってる?』
「えっ、うーん、人間の【負の感情】がいっぱいたまってなるから?」
『ほしいな。【負の感情】と【闇魔力】が混ざったものが人間の器から溢れて、闇落ちになるんだ』
「器?」
『ダンジョンの中にあっただろ?あの黒い固まりを器と思えばいい』
「なるほど」
『人間は【負の感情】と【闇魔力】を溜める器を持っていて、それらは、一度体に取り込むと中々消えない』
『特に【闇魔力】はな、【不純魔力】の集まりで出来ているから……』
「ちょっと待って、【不純魔力】ってなに?」
『あー、そうだなぁ……人間が生成した魔力を【純粋魔力】、その【純粋魔力】を魔物に当てることで【不純魔力】へと変化する。
その【不純魔力】が集まって混ざりあったのが【闇魔力】だ』
そういえば、似たようなことをクロがダンジョンでいってた気がする。
「じゃあ、闇落ちは、人間の【負の感情】と【不純魔力】が集まって混ざりあってできた【闇魔力】が、器から溢れ出したせいってこと?」
『そうなるな』
ということは、闇落ちを防ぐには、その2つを消すか減らせばいいということだ。
「それを消したり、減したりする方法はあるの?あのダンジョンの黒い固まりのように光魔法を使えば減らせる?」
期待しながらドイとガイを見ると、2人は申し訳なさそうな表情で首を振った。
『ジン、それは、できない』
「どうして?」
『人間だからだ』
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