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男の子だもん
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しおりを挟む『告ってキスして迫れば、落ちるんじゃねぇ?』
「っていうわけなんで、青葉先生、好きです!キスするので俺に落ちてください!!」
ブフォー!!
放課後、数学準備室にいる青葉先生を訪ねると、快く迎えてくれたので俺は思い切って告白した。
結果、コーヒーを飲んでいた青葉先生は俺の顔に黒い液体を吹き出した。
「人の顔見て吹き出すなんてひどい!ってか汚いっすよ」
「違ぇよ!!お前のそのセリフに吹いたんだ!!」
「えっ?別におかしなセリフじゃなかったと思うけど……おかしかった?」
思い出しながら確認するが特にない。うむ、わからん。
わからないので首を傾げていると青葉先生がため息をつきながら「もういいわ……」と呟いた。
そっか、いいのか。じゃぁ続きを……っと青葉先生の唇めがけ首を軽く傾げ瞳を閉じる。
ふにっと柔かい唇が……って、あれ?何かに包まれてる?
パチリと目を開けると先生の大きな手だった。
「うーうぅ!うーう!!(先生!何で!!)」
青葉先生は目を細め、眉間に皺を寄せた。
「阿呆、そう何度も簡単キスさせてたまるか」
あれ?うそ……先生に拒まれた?っというか怒らせた?
ズキッと胸が痛くなる。悲しくなりじわじわと涙がにじむ。
「うーう、うーうう、うーぅ?」
「うっ!あ”ーもう!そんな目で見つめるな!それに男がそう簡単に泣くんじゃない」
青葉先生の手が外されたかと思うと、白いものが目を塞ぐ。
「ほら、もう泣くな」
白いもの、ティッシュで優しく俺の涙をふきながらも、どこか困ったような表情で笑っていた。
俺が先生を困らせてるのか……もしかしなくても、見込みなし?
ぎゅっと唇を噛み締め俯く俺の両頬に大きな手が包みこむ。ぐいっと上を向かされ目が合った。
「で、さっきは何て言いたかったんだ?」
「えっと、そのう……たいしたことないから」
目をそらそうと顔を動かすがガッチリつまれて動かせなかった。
「青葉……せん……せい。手……離して……」
「高橋が本当のことを言うのなら離す」
青葉先生の温かく大きな手の中にずっといたいと思いながらも、直視に耐えきれず目をぎゅっと瞑る。
知りたい、でも知りたくない。先生に聞いてすっきりしたいのに。でもまだ先生と、この関係を終わらせたくない。
「高橋、目開けて俺を見ろ」
恐る恐る目を開けると青葉先生の優しい微笑みが飛び込む。
やべぇ!ドキドキがとまらない!!
「ゆっくりでいいから」
そんな表情でそんなこと言われたら……。
俺は噛み締めていた唇をゆっくりと開いた。俺の気持ちを伝えるために。
「……先生、俺のこと……嫌い?迷惑……かな?」
「嫌いじゃないし、迷惑じゃないよ。高橋が毎日傍にいてくれて、好きって言ってくれてうれしい」
「じゃぁ!恋人に……」
「それは……駄目だ。俺は教師なんだよ。生徒を導き見守るのが教師の役目だ。わかるか?」
「……うん。でも、俺、それでも先生がすっ、んん!」
言い終わらない内に青葉先生の手が俺の口を塞ぐ。
「高橋、ごめんな」
苦しそうに謝る青葉先生の表情と今振られたんだと理解した瞬間、胸が痛くて苦しくてポロポロと涙が溢れだす。
歯を食いしばり、袖で涙を拭く俺に青葉先生は優しく頭を撫でてくれた。そして、何かを決心したようにギュッと両手を強く握りしめると真っ直ぐ俺を見つめ重たい口を開く。
「……俺はな、昔、ある先生に救われたんだ。あの時の俺はボロボロで壊れていた。馬鹿やって粋がってとんでもないことをやらかした……。何度も何度も先生を傷つけた。身体にも精神的にも。
それでもそんな俺に何度も手を差し伸べ、すくってくれたんだ。返しても返しても、返しきれないほど恩があるんだよ。
……あの人と出会えたから今俺はここにいる。だから俺はあの先生みたいになりたくて、教師の仕事に就いたんだ。
俺みたいな生徒を、迷っている生徒を少しでもいいから助けたい。俺は教師という仕事に誇りをもっている。
正しく導くために……。
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