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第1章
111話 破滅の時
それからしばらくしてジーグルト家伯爵家当主ベルン様から嫡男で跡取りのアルベルトさんに正式に爵位の譲渡が決定された証書が届く。通常は国王なりが立会い襲爵する儀式を行うがあいにくと国と領地の距離が遠いため出向くのは難しい。また、伯爵ほどになれば迂闊に領地から動くことが出来ない事情があるので国発行の正式な証書で済ます場合がある。
そして、その祝いの園遊会を開催すると周囲の貴族に手紙を送ったのだ。仲良くしたい貴族も仲が良くない貴族らも選んでから。さて、僕が計画した園遊会では参加した貴族が大騒動となる予定である。おそらく、付き合い関係が完全にぶち壊しになることも考えられる。
僕は、その事に対してベルン様とアルベルトさんに予想できる大混乱の予想を伝えた。
「祖先の頃から相性の良い悪い貴族は居った。今までの付き合い関係とてあまり良いものではない。それが明確に変化するというならば別に問題は無い。予想ではこちらに味方してくれる貴族のほうが多く出てくるのだろう。ならば好都合だ。我々が黙って静観していないことを周囲に見せ付けよう」
と、ベルン様。
「伯爵ともなれば付き合い関係は多くなる。相性の良い悪い相手は出てくるのは当たり前、場合のよれば問題を起こし敵に回すことも十分考えられる。どのみち跡取りである私はその存在を認知してもらう機会が必要だった。これは大きな舞台で主役に成れる大きなチャンスなのだ」
と、アルベルトさん。
他の重臣らにも相談したが全員僕の作戦に賛同した。敵味方を明確にして周囲の貴族を味方につけてそれらを纏め上げるリーダーになれる、一石三鳥の好都合すぎる状況。
それに必要なものは全て集めているので気合が入る。
さて、どれぐらいの相手が悪夢に沈むかは分からないが。そいつらは未来永劫貴族社会で憎まれ続けるだろうな。
そうして、大量の参加者が来た伯爵家主催による園遊会が開始される。
『本日お集まりの皆様、お時間を取らせますがお聞き下さい。本日を持ちまして伯爵家当主ベルン様から跡取りのアルベルト様に爵位が譲られることが正式に国に認められました』
そうして主賓席にいるベルン様とアルベルトさん。かなりの人数から祝いの言葉と拍手を送られる。しかし、一部それを憎々しげに見ている連中が居た。
ラーズグリフ子爵とその取り巻きたちである。
「(予想されていたこととはいえこの祝いの席でそんな態度を取るか?まったくもって貴族とは面倒な生き物だ。平然とあくどい手を使って殺そうとしながら表面上仲良くしようなどとは最悪だな)」
僕は影となり見られないようにして動いていた。手順は伯爵家の家臣らに伝えてあるので静観が基本だが不測の事態が出てくるかもしれないので見守っている。
「さて、ここで。皆様方に紹介したい特別なお客様がおります」
いよいよ舞台は開かれる。
参加者の心中は複雑だろう。悲しむ者憂う者嘆く者その他大多数、そして彼らは特定の人物に意識を向ける。それは「殺意」という最悪の感情。これだけの参加者から向けられる相手はまさに悪夢だろう。その後のことなど容易に想像できる。だが、自分らが撒いて育てた種なのだ、それがここで急成長して手に追えない状態まで育とうとも自業自得である。
そして、十五人の人間が現れる。
彼らはとても幸せそうな顔と雰囲気で、
『――――――』
信じられない事実を次々と暴露し始めた。
その言葉に騒然となる参加者全員。彼らは全員伯爵家に送り込まれた暗殺者だ、依頼主はもう分かっていて後は事実を白状させるだけ。僕が用意した薬を使い理性を失った状態だ。さすが十五人も捕縛するのは骨が折れたが。それだけに、その意味はとても重い。もはやそれは燃え盛る火のごとく周囲に広がっていく。
それに動揺する者悲しむ者怒る者、ここにいる参加者が抱いたのは発言している暗殺者の「依頼主」に対する明確な敵意だった。参加者の中にはかなりの数が不幸な出来事があったのだろう。だからこそ貴族として許せないと。
それは、ラーズグリフ子爵とその取り巻きに向けられる。
「こ、こんな連中は偽者だ!伯爵様、冗談は大概にして欲しいものですな!!」
だが理性を取り除かれた暗殺者らの発言は止まらない。彼らが行った仕事の詳細が語られるうちに徐々にそれは真実味を帯びてくる。
「何故あの子が死んだ状況を知っている!」「隠していた身内の不幸を詳細に知っている!」「どうして彼女が不幸にあったのか言えるのだ!」
秘密であったり隠していた不幸が暴かれて動揺する参加者だったが、
『貴様か!貴様が依頼主か!!よくも、よくも我らを不幸に陥れてくれたな!!ゆるさん、ゆるさんぞ!それ相応の対価を払って贖ってもらうぞ!!!』
全員がラーズグリフ子爵らに憎悪を向けた。
ラーズグリフ子爵らは未だに真実を暴露し続けている暗殺者に近づこうとするが伯爵家の家臣らに止められる。どの道理性が消えているので止めようが無いが。
『貴様は貴族という皮を被った罪人だ!我ら全員他の貴族家全てに凶状を回しておく。二度と我らの前に顔を見せるな!!』
これだけ参加した貴族らから凶状を回されてはもはや家の相続どころか領地の経営すら不可能だろう。関係者から全部手を切られてしまえば外部から何も入ってこなくなる。子爵の規模の領地では自給自足などとても不可能、だから他人の不幸をネタにして汚れた金を受け取っていたが今後はそれすらも無くなる。
ラーズグリフ子爵は絶望の表情を浮かべながら出て行くしかなかった
そして、それらの事実を暴いた新しい伯爵家当主アルベルトさんに賞賛の言葉が贈られる。
今までは山々に囲まれて周囲とは距離があったが今回の悪事を解決に導いた手腕の功績は周囲の貴族から信頼の念を寄せられる。領地は飛躍的に発展するから「大貴族の一人」ではなく「周囲の貴族を束ねられる大貴族」という評価に変化する。
園遊会はゴタゴタがあったが大盛況で終わった。
「ユウキ殿、今回の助力、感謝の言葉が浮かびませぬ」
「ユウキ、本当にありがとう。貴族家の新当主として最高のスタートを切れた」
「ユウキ様、まことに、まことにありがとうございます」
ベルン様とアルベルトさんとエーディンだけでささやかな祝いの席を囲む。
「エーディン、これほどの大人物のところに嫁に行けるのだ。色々苦労はあるだろうが必ずや妻の一人として支えるのだぞ」
「ユウキは間違いなく大物になれる。いつかとんでもない場所に立つことになるだろう。我らの一族の未来のために尽くすのだぞ」
「当主様、アルベルト様、分かっております。必ずやジーグルトの一族の者として恥ずかしくない妻になります」
そうしてささやかではあるが幸せな祝いの席を楽しんだ。
それからしばらくしてリサギルド支部長からの連絡が入る。なんでも精製施設建設のための人材を送るので基礎工事が必要になる。人材から材料まで大量に輸入しなくてはならないそうなのでもうしばらく伯爵家に居て欲しいそうだ
「リサギルド支部長からの手紙はこの内容です」
「ふむ、それならばもうしばらくは居られるのだな。ならば、新たな地域開拓に力を貸して欲しい」
当主となったアルベルトさんからお願いされる。
精製施設や移動してくる職人などが住む家々を建てる用地を開発する必要があるので力を貸すことにした。まだまだ忙しくなりそうだ。
そして、その祝いの園遊会を開催すると周囲の貴族に手紙を送ったのだ。仲良くしたい貴族も仲が良くない貴族らも選んでから。さて、僕が計画した園遊会では参加した貴族が大騒動となる予定である。おそらく、付き合い関係が完全にぶち壊しになることも考えられる。
僕は、その事に対してベルン様とアルベルトさんに予想できる大混乱の予想を伝えた。
「祖先の頃から相性の良い悪い貴族は居った。今までの付き合い関係とてあまり良いものではない。それが明確に変化するというならば別に問題は無い。予想ではこちらに味方してくれる貴族のほうが多く出てくるのだろう。ならば好都合だ。我々が黙って静観していないことを周囲に見せ付けよう」
と、ベルン様。
「伯爵ともなれば付き合い関係は多くなる。相性の良い悪い相手は出てくるのは当たり前、場合のよれば問題を起こし敵に回すことも十分考えられる。どのみち跡取りである私はその存在を認知してもらう機会が必要だった。これは大きな舞台で主役に成れる大きなチャンスなのだ」
と、アルベルトさん。
他の重臣らにも相談したが全員僕の作戦に賛同した。敵味方を明確にして周囲の貴族を味方につけてそれらを纏め上げるリーダーになれる、一石三鳥の好都合すぎる状況。
それに必要なものは全て集めているので気合が入る。
さて、どれぐらいの相手が悪夢に沈むかは分からないが。そいつらは未来永劫貴族社会で憎まれ続けるだろうな。
そうして、大量の参加者が来た伯爵家主催による園遊会が開始される。
『本日お集まりの皆様、お時間を取らせますがお聞き下さい。本日を持ちまして伯爵家当主ベルン様から跡取りのアルベルト様に爵位が譲られることが正式に国に認められました』
そうして主賓席にいるベルン様とアルベルトさん。かなりの人数から祝いの言葉と拍手を送られる。しかし、一部それを憎々しげに見ている連中が居た。
ラーズグリフ子爵とその取り巻きたちである。
「(予想されていたこととはいえこの祝いの席でそんな態度を取るか?まったくもって貴族とは面倒な生き物だ。平然とあくどい手を使って殺そうとしながら表面上仲良くしようなどとは最悪だな)」
僕は影となり見られないようにして動いていた。手順は伯爵家の家臣らに伝えてあるので静観が基本だが不測の事態が出てくるかもしれないので見守っている。
「さて、ここで。皆様方に紹介したい特別なお客様がおります」
いよいよ舞台は開かれる。
参加者の心中は複雑だろう。悲しむ者憂う者嘆く者その他大多数、そして彼らは特定の人物に意識を向ける。それは「殺意」という最悪の感情。これだけの参加者から向けられる相手はまさに悪夢だろう。その後のことなど容易に想像できる。だが、自分らが撒いて育てた種なのだ、それがここで急成長して手に追えない状態まで育とうとも自業自得である。
そして、十五人の人間が現れる。
彼らはとても幸せそうな顔と雰囲気で、
『――――――』
信じられない事実を次々と暴露し始めた。
その言葉に騒然となる参加者全員。彼らは全員伯爵家に送り込まれた暗殺者だ、依頼主はもう分かっていて後は事実を白状させるだけ。僕が用意した薬を使い理性を失った状態だ。さすが十五人も捕縛するのは骨が折れたが。それだけに、その意味はとても重い。もはやそれは燃え盛る火のごとく周囲に広がっていく。
それに動揺する者悲しむ者怒る者、ここにいる参加者が抱いたのは発言している暗殺者の「依頼主」に対する明確な敵意だった。参加者の中にはかなりの数が不幸な出来事があったのだろう。だからこそ貴族として許せないと。
それは、ラーズグリフ子爵とその取り巻きに向けられる。
「こ、こんな連中は偽者だ!伯爵様、冗談は大概にして欲しいものですな!!」
だが理性を取り除かれた暗殺者らの発言は止まらない。彼らが行った仕事の詳細が語られるうちに徐々にそれは真実味を帯びてくる。
「何故あの子が死んだ状況を知っている!」「隠していた身内の不幸を詳細に知っている!」「どうして彼女が不幸にあったのか言えるのだ!」
秘密であったり隠していた不幸が暴かれて動揺する参加者だったが、
『貴様か!貴様が依頼主か!!よくも、よくも我らを不幸に陥れてくれたな!!ゆるさん、ゆるさんぞ!それ相応の対価を払って贖ってもらうぞ!!!』
全員がラーズグリフ子爵らに憎悪を向けた。
ラーズグリフ子爵らは未だに真実を暴露し続けている暗殺者に近づこうとするが伯爵家の家臣らに止められる。どの道理性が消えているので止めようが無いが。
『貴様は貴族という皮を被った罪人だ!我ら全員他の貴族家全てに凶状を回しておく。二度と我らの前に顔を見せるな!!』
これだけ参加した貴族らから凶状を回されてはもはや家の相続どころか領地の経営すら不可能だろう。関係者から全部手を切られてしまえば外部から何も入ってこなくなる。子爵の規模の領地では自給自足などとても不可能、だから他人の不幸をネタにして汚れた金を受け取っていたが今後はそれすらも無くなる。
ラーズグリフ子爵は絶望の表情を浮かべながら出て行くしかなかった
そして、それらの事実を暴いた新しい伯爵家当主アルベルトさんに賞賛の言葉が贈られる。
今までは山々に囲まれて周囲とは距離があったが今回の悪事を解決に導いた手腕の功績は周囲の貴族から信頼の念を寄せられる。領地は飛躍的に発展するから「大貴族の一人」ではなく「周囲の貴族を束ねられる大貴族」という評価に変化する。
園遊会はゴタゴタがあったが大盛況で終わった。
「ユウキ殿、今回の助力、感謝の言葉が浮かびませぬ」
「ユウキ、本当にありがとう。貴族家の新当主として最高のスタートを切れた」
「ユウキ様、まことに、まことにありがとうございます」
ベルン様とアルベルトさんとエーディンだけでささやかな祝いの席を囲む。
「エーディン、これほどの大人物のところに嫁に行けるのだ。色々苦労はあるだろうが必ずや妻の一人として支えるのだぞ」
「ユウキは間違いなく大物になれる。いつかとんでもない場所に立つことになるだろう。我らの一族の未来のために尽くすのだぞ」
「当主様、アルベルト様、分かっております。必ずやジーグルトの一族の者として恥ずかしくない妻になります」
そうしてささやかではあるが幸せな祝いの席を楽しんだ。
それからしばらくしてリサギルド支部長からの連絡が入る。なんでも精製施設建設のための人材を送るので基礎工事が必要になる。人材から材料まで大量に輸入しなくてはならないそうなのでもうしばらく伯爵家に居て欲しいそうだ
「リサギルド支部長からの手紙はこの内容です」
「ふむ、それならばもうしばらくは居られるのだな。ならば、新たな地域開拓に力を貸して欲しい」
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