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1巻
1-2
「ふ~っ」
「ご馳走様でした」
二人そろって水を飲む。
僕の目の前には満足した笑顔の美少女がいるけど……甘い絵面ではないな。
「これだけの量を食べたのは久しぶりです」
「神殿の食事って少ないの?」
「そういうわけじゃないんですけど、大食いは良くは見られませんね。おかわりなんてもってのほかです。出された範囲で終わらせるのが普通ですから」
神殿により教義は変わると思うけど、確かに神様の前で他人よりも遥かに量を食べたら……欲深いとか言われそうだよね。
しかし、この大食い娘を食わせていくとなると……
少し軌道修正しないとまずいな。できる限り労力が少なく利益が多い方法を採らないと、路頭に迷うかもしれない。
食事を終えて席を立とうとしたんだけど、リフィーアは座ったまま他のテーブルに置かれている料理を見ていた。
はぁ……そういうことか。
仕方ないと諦めて「追加を頼んでもいい」と言うと、リフィーアは笑顔でいっぱいになった。
今回の食事代、取り返せるかなぁ。少し心配になる。
食事を終えた僕たちは、冒険者ギルドに行き、依頼を受ける手続きをした。
リフィーアが不思議そうに尋ねてくる。
「ネズミ退治、ですか」
「うん」
こちらの世界でもネズミは下水道などにかなり多くいて、不衛生だ。
体が大きく動きが機敏であるうえに、病気の原因にもなる。そのため駆除依頼は多く報酬も悪くないのだが、誰もやりたがらないのだ。
「やり方しだいでは短時間で稼げる。これほど効率のいい稼ぎはないしね」
「冒険者とは、そこまでするものなのですか……」
「仕方がないでしょ。数が多すぎて誰も手が回らないんだから」
「神官なのにネズミ駆除とは……」
思うところはあるだろうが、彼女が大食いすぎてこのままだと数日で破産してしまう可能性がある。依頼を選り好みしている時間はないんだよ。
まずは駆除用の薬を作るために市場に行き、猛毒薬と小麦粉などを買った。蜂蜜を加えて練り込み、球体状のものをいくつも作る。
それを手で触れないように布に包むと、問題の下水道に行った。
「うわぁ」
リフィーアはそこらじゅうにいるでかいネズミを見て、完全に引いている。
「これを置いて」
さっき作った殺鼠剤を彼女に渡す。もちろん手袋も忘れずに。
「これは?」
「ネズミの餌であると同時に、彼らを殺す猛毒食でもある」
二人でネズミがいると思われる場所に殺鼠剤をいくつも置いてから、下水道をあとにした。
――翌日。
「ヒィィ~」
再び下水道に行くと、ネズミの死体が至るところに転がっていた。
その数は百を超えるだろう。
「はい。これで、殺したという証拠にするため、尻尾を根元から切って」
僕はリフィーアに、大きな鋏と手袋を渡す。
「急いで切り取って。終わったのはこっちで袋詰めにするから」
「は、はい」
大量のネズミの死骸を処理することに没頭する。リフィーアが死骸から尻尾を切り取っていき、僕はそれを布袋に入れていく。
「ネズミの死骸はどうするのですか?」
「一箇所に集めて油をまき、一気に焼き払うって方法もあるけど……なにぶん数が多すぎる。だから今回は、森に捨ててモンスターに処理させる」
モンスターに食わせるのはあまり良い考えとはいえないけど、そのほうが手間がかからなくていい。
すべてのネズミの死体をくまなく回収し、二人で大量の布袋を持って森まで行き、次々と投げ捨てる。
「これで終了ですか?」
「まだまだ。あの様子だと、警戒して食わなかったり気づかなかったりするかもしれないから、モンスターが食べるのを確認しないとだめ。放置されたら腐っちゃうしね」
うへぇと、リフィーアは嫌そうな顔を隠さなかった。
「それが終わったら、冒険者ギルドに駆除した証拠を持っていって換金してもらおう」
塵も積もれば何とやらだ。
とりあえずこれで食いつなぐことはできる。
もう気にする理由も価値もないが、あの勇者という残念な連中はどうなってるのだろうか。彼らのことが、僕の頭をほんの少しだけよぎった。
× × ×
一方その頃、勇者パーティはというと――
「よっしゃ、ワイバーンを狩ったぜ!」
あれから勇者たちは仲間を三人増やして、モンスターを狩っていた。
それは傍目から見れば、順調そのものだったが――
「そんじゃさっそく解体を……」
リーダーのベルファストが仲間にそう指示を出すと、全員の動きが止まった。
そう、重大な問題に直面することになったのだ。
「誰か、解体できる奴はいるか?」
全員が無言となる。
ベルファストは額から冷や汗を流す。
このパーティには、戦闘ができる者はいてもモンスターを解体できる者はいなかった。そのことに今さらながら気がついたのだ。
「だ、誰もいないのか!」
「「「「「やったことない」」」」」
これだけいながら、誰もその技術を持っていなかった。
収納できる魔法のバッグはあるが、こんな大きな獲物は入れられない。部位を切り離し、持ち運べるようにしないと入らないのだ。さらに血抜きをしないと、換金額が大幅に下がってしまう。
それで仕方なく、自分たちで解体することにしたのだが……
「「「「「ど、どこから手をつければいいの?」」」」」
またも全員で考え込んでしまった。
思い返してみると、彼らはユウキにすべて押しつけて自分たちは何もせずにいた。なので、解体をどうやるのかさえ知らなかった。
解体など誰でもできると思い上がっていたのだ。
「と、とにかく。やってみよう」
こうしていても始まらないので、とりあえずやってみることにした。
――一時間後。
「ハァハァ」
それぞれが剣やら何やらを持ってやってみたが……結果は最悪だった。
頑丈な鱗や皮はそう簡単に切れず、突き刺すのも一苦労。切り裂くだけで重労働だ。
骨のつなぎ目はさらに難儀で、逆に刃を傷めるだけだった。上手く切り出そうとしても思い通りにならず、部位をボロボロにしてしまう。
結局、ワイバーンは無価値な残骸になってしまった。
ベルファストが叫ぶ。
「クソ! クソクソクソ! なんでこんなふうになっちまうんだよ!」
「「「「「…………」」」」」
目の前の残骸を見て、全員が押し黙っていた。
「あ、ある程度は採れましたので、一度換金に行きましょう。それより食事にしませんか?」
カノンの言葉に皆が頷く。
全員に焦りが生まれていたが、現状ではどうしようもない。冒険者ギルドで解体ができる仲間を見つけることにして、皆、無理やり納得した。
「そ、そうだな。とりあえず腹ごしらえをしようか」
そしてそこで、さらなる問題が判明する。
「誰か! 誰か料理を作りなさい」
カノンがそう言っても、誰も手を挙げなかった。
「こ、これだけいて誰もできないの?」
メンバーの誰もが料理ができないという最悪の事態に直面する。いつもはユウキにすべて任せていたのである。
そもそも、誰も包丁や鍋を持っていなかった。火をおこそうにも種火や薪がない。
全員がただの戦闘馬鹿であったために、ユウキの重要性を理解していなかったのだ。
「「「「「…………」」」」」
皆の顔に絶望が浮かぶ。
「と、とりあえず町まで戻りましょう。大急ぎで行けば、日暮れには着けると思いますから」
カノンの言葉で町へ戻ることにしたのだが……
「くそっ、ウルフの群れだ」
モンスターの群れに不意打ちされてしまう。
なぜそうなったか。
その理由も、ユウキがいなかったからである。
ユウキはいつも周囲の索敵と警戒をし、不意打ちを防ぎ、退路の確保を人知れず行っていた。それをする人間がいなくなれば、こうなるのは必然だった。
急ぎ足で来たため、疲労と空腹で力が入らない。それに加えて奇襲まで受けては、勇者といえども戦闘能力は格段に低くなる。
何とか振りきって逃げた。
負傷者は出なかったが、勇者としての自信がボロボロになるほどのダメージを心に負っていた。
予定より遅く、命からがら町にたどり着く。開いてる店はほとんどなく、買えたのはボソボソした売れ残りのパンと水だけだった。
「クソッ、勇者である俺らが何でこんな貧相な食事を!」
いつもなら温かくて美味しい料理が食えたのに。
愚痴が出てしまうのも仕方がなかった。
その日は疲労と空腹に耐えて宿屋で休むことにし、翌日冒険者ギルドへ行って、換金と仲間探しをすることにした。
「はぁ! 何でこんな値段なんだ。安すぎるぞ!?」
「そう言われましても。私どもではこれが精一杯でして」
先に出したユウキが解体した素材は、だいぶ良い値段がついた。だが、あとに出した自分らが解体した素材は、それの十分の一以下の値段だった。
「俺らは勇者ぞろいのパーティだぞ!」
あまりの値段差に、ベルファストが怒りを露わにしていると、職員がその理由を説明し出す。
「先に出された素材……これはまさに完璧な仕事です。必要な部位をまったく損なうことなく筋に沿って切られ、無駄な部分がどこにもありません。これほど完璧な解体技術を持つ者など、まずおりませんでしょう。だから、相場より色をつけて買いましたが……あとに出された素材は最悪そのものなのですよ」
それからギルド職員は、その素材がいかに最悪かについてじっくり伝えた。
「……というわけでして、前者と後者ではあまりにも技術が違いすぎます。使える部分をまるで子供のお遊びのようにグチャグチャにしてしまったこの素材など、値段がないも同然。それでも不足しているため値段はつけましたが……」
すると、ベルファストは声を上げる。
「俺らは勇者のパーティだぞ! 相応の値段をつけろ」
「この二つの素材、仕事を行ったのは明らかに別人でしょう。同じような値で買い取りをするのは不可能ですね」
「あぁん、ざけんな! ただへーこらするしかできない職員風情が!」
ベルファストはついに言ってはいけない暴言を吐いた。
ギルド職員に対してありえない態度に、周囲の冒険者たちまで眉をひそめる。
ギルド職員は内心で毒づく。
(こいつら正気か? 世界中で冒険者へ仕事を斡旋している冒険者ギルドに向かってなんて態度なんだ。我が強い連中だと聞いていたが、ここまで酷いとは)
以前からそうした噂は立っていたが、勇者とは名ばかりの乱暴者でしかなかった。
実は、彼らへの対応策は出されていたので、ギルド職員はそれを遂行することにした。
「ご不満なら、ギルド支部長と話してください」
「そうだ! ギルド支部長はお前とは違い、無能ではない。すぐに俺らが正しいことを理解してくれるぜ」
ベルファストの暴言にギルド職員は怒りがこみ上げてきたが、表情には出さずギルド支部長の部屋に案内する。
勇者たちも職員も、怒りが爆発寸前であった。
「ギルド支部長、勇者のパーティが話があるとのことで……」
「あら、何の用件なの」
ギルド支部長は、茶色のロングヘアーで長身の壮麗な女性である。
ベルファストがさっそく抗議する。
「ギルド支部長、聞いてくださいよ! この職員が不当に低い金額を提示したんです」
ギルド支部長は目を細め、職員に問いただす。
「どういうこと?」
「はっ、同じワイバーンの素材が持ち込まれ、一つは完璧な状態を保っていましたが、もう一つは何も知らない素人が無理やりやったかのように酷いものでした。そこで、買い取り額を大幅に減らす提案をしたのですが……」
ギルド職員が両方を台の上に置くと、ギルド支部長は一目見て、大きくため息をついた。
「なるほどね。これは一目瞭然だわ」
「「そうでしょう」」
勇者とギルド職員の声が重なる。どちらも確信を抱いているが、その中身は逆である。
ギルド支部長が、ベルファストに尋ねる。
「そういえば、あなたたちのパーティにはユウキという人物がいたと聞いていますが、彼はどこに?」
「あいつは無駄飯食らいなので追い出しました。その代わりに、新しく優秀なメンバーを入れています」
自信満々に答えるベルファストだったが、それを聞いてギルド支部長は、再び呆れたようにため息をつく。
「……そう、そういうことなのね。わかったわ」
ギルド支部長はフンフンと頷きながら、なぜか笑みを浮かべていた。
やはり職員が不正をして素材を安く買い叩いたのだ、勇者たちは確信を強めていたが……ギルド支部長が言い放つ。
「この勇者たちのパーティの順位を一つ……いいえ、二つ下げなさい。こんな何もわかってない馬鹿どもに、今のような評価を与えるなど冒険者ギルドの恥。すぐさま書類を書き換えなさい」
「「「「「!?」」」」」
勇者たちは戦慄し、ベルライトが声を上げる。
「お、おい! いったいどういうことだよ! せ、説明しろ!」
「説明? そんなのわかりきっていると思ってましたが……説明が必要ですか? 二度は言わないからしっかり聞きなさい。まず冒険者ギルドの大鉄則として、パーティメンバーが替わった場合、それに合わせて順位が上下する。これは、最初に説明したはずです」
ギルド長の言葉に、ベルファストが小馬鹿にしたように言う。
「はぁ? たかが解体ぐらいしかできないクズが抜けたところで評価が下が……」
「下がるんですよ! ギルドのランクは討伐したモンスターの強さによって決まると思われがちですが、実際はそうではありません。素材を持ち込むことで、どのような利益が生まれるか、社会的な益の循環をどう促すか、他者にどういう益を与えるのか、そうしたことが重要なのです」
一気に捲し立てるギルド支部長に、何も反論できない勇者たち。
ギルド支部長はさらに言い募る。
「あなたたちの装備は誰が製作していますか? 破損した装備の整備などを誰がしてくれますか? 回復用のポーションや解毒剤は誰が作ってますか? その素材をどこから集めてくれますか? そして何より、そうした人たちとの交渉は誰がしてくれましたか?」
勇者たちは今さらながら、その手の交渉は全部ユウキに押しつけていたことを思い出す。
カノンが恐る恐る言う。
「……だ、だけども、ユウキが雑用をやるのが当たり前で……」
「そう、当たり前すぎるから疎かにしてしまう。思い返しなさい、ユウキが今までしてきた行動を! どんなに忙しくても毎日ギルドに顔を出して世間話をし、職員の些細な悩みを聞いて知恵を出して良い方向へと進ませようとする。そういった付き合いをすれば顔見知りとなり、ある程度融通を利かせてもいいと思うようになる。それが人情というものです」
「そんな程度のことで」
未だに現実を理解できない勇者たちが睨みつけてくるが――ギルド支部長には無意味だった。ギルド支部長は声を荒らげる。
「お前らが見えないところで、ユウキがどれだけ苦労したと思ってるんですか! どれだけ頭を下げたと思ってるんですか! その苦労を考えれば、ユウキのいないパーティなんて順位が下がっても当たり前ですよ!」
「だけども、あいつは戦闘に参加してなかったし……」
クズが抜けただけで評価がなぜ下がるのだ? 未だそう言いたげなベルファストに、ギルド支部長は告げる。
「ユウキの本業は盗賊です。盗賊の世界においては、危険が起きる前に要因を盗むのが肝要。それができることが、最高に腕の立つ盗賊の評価となるのです。だから本来は、別に戦闘に参加しなくてもいいんですよ。実際、あなたたちはこれまで、敵の奇襲を受けたことなどないでしょう」
ベルファストはふと思い返してみた。
確かに、休憩のときも、食事のときも、寝るときも、ユウキは周囲を警戒していた。これまで生きてこられたのは――
あいつのおかげだったのか?
「その顔だと……ようやく理解できたようですね。こちらは仕事が忙しいんですから」
――さっさと出ていけ、と。
そう言いたげなギルド支部長に、ベルファストはすがり付こうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 理由はわかった。もう一回ユウキを仲間に入れるから、俺たちの順位のダウンを取り消してくれ」
「どこまで馬鹿なのですか? 彼が一度放り出した仲間を信頼すると思っていると? 寝言も大概にしなさい。元は6位でしたが、ユウキがいない今では8位までの仕事しか請けられないようにしますし、依頼の許可も制限します。それから当然ですが、国に訴えても無駄だと断言します」
「なんだと! 俺らは有力な貴族家の出だぞ! 支持者も多いんだ。あとで後悔するなよ!」
結局、ベルファストは逆ギレし大声で怒鳴りつけるのだった。
そうして勇者たちは怒り心頭に発して出ていった。
「ご馳走様でした」
二人そろって水を飲む。
僕の目の前には満足した笑顔の美少女がいるけど……甘い絵面ではないな。
「これだけの量を食べたのは久しぶりです」
「神殿の食事って少ないの?」
「そういうわけじゃないんですけど、大食いは良くは見られませんね。おかわりなんてもってのほかです。出された範囲で終わらせるのが普通ですから」
神殿により教義は変わると思うけど、確かに神様の前で他人よりも遥かに量を食べたら……欲深いとか言われそうだよね。
しかし、この大食い娘を食わせていくとなると……
少し軌道修正しないとまずいな。できる限り労力が少なく利益が多い方法を採らないと、路頭に迷うかもしれない。
食事を終えて席を立とうとしたんだけど、リフィーアは座ったまま他のテーブルに置かれている料理を見ていた。
はぁ……そういうことか。
仕方ないと諦めて「追加を頼んでもいい」と言うと、リフィーアは笑顔でいっぱいになった。
今回の食事代、取り返せるかなぁ。少し心配になる。
食事を終えた僕たちは、冒険者ギルドに行き、依頼を受ける手続きをした。
リフィーアが不思議そうに尋ねてくる。
「ネズミ退治、ですか」
「うん」
こちらの世界でもネズミは下水道などにかなり多くいて、不衛生だ。
体が大きく動きが機敏であるうえに、病気の原因にもなる。そのため駆除依頼は多く報酬も悪くないのだが、誰もやりたがらないのだ。
「やり方しだいでは短時間で稼げる。これほど効率のいい稼ぎはないしね」
「冒険者とは、そこまでするものなのですか……」
「仕方がないでしょ。数が多すぎて誰も手が回らないんだから」
「神官なのにネズミ駆除とは……」
思うところはあるだろうが、彼女が大食いすぎてこのままだと数日で破産してしまう可能性がある。依頼を選り好みしている時間はないんだよ。
まずは駆除用の薬を作るために市場に行き、猛毒薬と小麦粉などを買った。蜂蜜を加えて練り込み、球体状のものをいくつも作る。
それを手で触れないように布に包むと、問題の下水道に行った。
「うわぁ」
リフィーアはそこらじゅうにいるでかいネズミを見て、完全に引いている。
「これを置いて」
さっき作った殺鼠剤を彼女に渡す。もちろん手袋も忘れずに。
「これは?」
「ネズミの餌であると同時に、彼らを殺す猛毒食でもある」
二人でネズミがいると思われる場所に殺鼠剤をいくつも置いてから、下水道をあとにした。
――翌日。
「ヒィィ~」
再び下水道に行くと、ネズミの死体が至るところに転がっていた。
その数は百を超えるだろう。
「はい。これで、殺したという証拠にするため、尻尾を根元から切って」
僕はリフィーアに、大きな鋏と手袋を渡す。
「急いで切り取って。終わったのはこっちで袋詰めにするから」
「は、はい」
大量のネズミの死骸を処理することに没頭する。リフィーアが死骸から尻尾を切り取っていき、僕はそれを布袋に入れていく。
「ネズミの死骸はどうするのですか?」
「一箇所に集めて油をまき、一気に焼き払うって方法もあるけど……なにぶん数が多すぎる。だから今回は、森に捨ててモンスターに処理させる」
モンスターに食わせるのはあまり良い考えとはいえないけど、そのほうが手間がかからなくていい。
すべてのネズミの死体をくまなく回収し、二人で大量の布袋を持って森まで行き、次々と投げ捨てる。
「これで終了ですか?」
「まだまだ。あの様子だと、警戒して食わなかったり気づかなかったりするかもしれないから、モンスターが食べるのを確認しないとだめ。放置されたら腐っちゃうしね」
うへぇと、リフィーアは嫌そうな顔を隠さなかった。
「それが終わったら、冒険者ギルドに駆除した証拠を持っていって換金してもらおう」
塵も積もれば何とやらだ。
とりあえずこれで食いつなぐことはできる。
もう気にする理由も価値もないが、あの勇者という残念な連中はどうなってるのだろうか。彼らのことが、僕の頭をほんの少しだけよぎった。
× × ×
一方その頃、勇者パーティはというと――
「よっしゃ、ワイバーンを狩ったぜ!」
あれから勇者たちは仲間を三人増やして、モンスターを狩っていた。
それは傍目から見れば、順調そのものだったが――
「そんじゃさっそく解体を……」
リーダーのベルファストが仲間にそう指示を出すと、全員の動きが止まった。
そう、重大な問題に直面することになったのだ。
「誰か、解体できる奴はいるか?」
全員が無言となる。
ベルファストは額から冷や汗を流す。
このパーティには、戦闘ができる者はいてもモンスターを解体できる者はいなかった。そのことに今さらながら気がついたのだ。
「だ、誰もいないのか!」
「「「「「やったことない」」」」」
これだけいながら、誰もその技術を持っていなかった。
収納できる魔法のバッグはあるが、こんな大きな獲物は入れられない。部位を切り離し、持ち運べるようにしないと入らないのだ。さらに血抜きをしないと、換金額が大幅に下がってしまう。
それで仕方なく、自分たちで解体することにしたのだが……
「「「「「ど、どこから手をつければいいの?」」」」」
またも全員で考え込んでしまった。
思い返してみると、彼らはユウキにすべて押しつけて自分たちは何もせずにいた。なので、解体をどうやるのかさえ知らなかった。
解体など誰でもできると思い上がっていたのだ。
「と、とにかく。やってみよう」
こうしていても始まらないので、とりあえずやってみることにした。
――一時間後。
「ハァハァ」
それぞれが剣やら何やらを持ってやってみたが……結果は最悪だった。
頑丈な鱗や皮はそう簡単に切れず、突き刺すのも一苦労。切り裂くだけで重労働だ。
骨のつなぎ目はさらに難儀で、逆に刃を傷めるだけだった。上手く切り出そうとしても思い通りにならず、部位をボロボロにしてしまう。
結局、ワイバーンは無価値な残骸になってしまった。
ベルファストが叫ぶ。
「クソ! クソクソクソ! なんでこんなふうになっちまうんだよ!」
「「「「「…………」」」」」
目の前の残骸を見て、全員が押し黙っていた。
「あ、ある程度は採れましたので、一度換金に行きましょう。それより食事にしませんか?」
カノンの言葉に皆が頷く。
全員に焦りが生まれていたが、現状ではどうしようもない。冒険者ギルドで解体ができる仲間を見つけることにして、皆、無理やり納得した。
「そ、そうだな。とりあえず腹ごしらえをしようか」
そしてそこで、さらなる問題が判明する。
「誰か! 誰か料理を作りなさい」
カノンがそう言っても、誰も手を挙げなかった。
「こ、これだけいて誰もできないの?」
メンバーの誰もが料理ができないという最悪の事態に直面する。いつもはユウキにすべて任せていたのである。
そもそも、誰も包丁や鍋を持っていなかった。火をおこそうにも種火や薪がない。
全員がただの戦闘馬鹿であったために、ユウキの重要性を理解していなかったのだ。
「「「「「…………」」」」」
皆の顔に絶望が浮かぶ。
「と、とりあえず町まで戻りましょう。大急ぎで行けば、日暮れには着けると思いますから」
カノンの言葉で町へ戻ることにしたのだが……
「くそっ、ウルフの群れだ」
モンスターの群れに不意打ちされてしまう。
なぜそうなったか。
その理由も、ユウキがいなかったからである。
ユウキはいつも周囲の索敵と警戒をし、不意打ちを防ぎ、退路の確保を人知れず行っていた。それをする人間がいなくなれば、こうなるのは必然だった。
急ぎ足で来たため、疲労と空腹で力が入らない。それに加えて奇襲まで受けては、勇者といえども戦闘能力は格段に低くなる。
何とか振りきって逃げた。
負傷者は出なかったが、勇者としての自信がボロボロになるほどのダメージを心に負っていた。
予定より遅く、命からがら町にたどり着く。開いてる店はほとんどなく、買えたのはボソボソした売れ残りのパンと水だけだった。
「クソッ、勇者である俺らが何でこんな貧相な食事を!」
いつもなら温かくて美味しい料理が食えたのに。
愚痴が出てしまうのも仕方がなかった。
その日は疲労と空腹に耐えて宿屋で休むことにし、翌日冒険者ギルドへ行って、換金と仲間探しをすることにした。
「はぁ! 何でこんな値段なんだ。安すぎるぞ!?」
「そう言われましても。私どもではこれが精一杯でして」
先に出したユウキが解体した素材は、だいぶ良い値段がついた。だが、あとに出した自分らが解体した素材は、それの十分の一以下の値段だった。
「俺らは勇者ぞろいのパーティだぞ!」
あまりの値段差に、ベルファストが怒りを露わにしていると、職員がその理由を説明し出す。
「先に出された素材……これはまさに完璧な仕事です。必要な部位をまったく損なうことなく筋に沿って切られ、無駄な部分がどこにもありません。これほど完璧な解体技術を持つ者など、まずおりませんでしょう。だから、相場より色をつけて買いましたが……あとに出された素材は最悪そのものなのですよ」
それからギルド職員は、その素材がいかに最悪かについてじっくり伝えた。
「……というわけでして、前者と後者ではあまりにも技術が違いすぎます。使える部分をまるで子供のお遊びのようにグチャグチャにしてしまったこの素材など、値段がないも同然。それでも不足しているため値段はつけましたが……」
すると、ベルファストは声を上げる。
「俺らは勇者のパーティだぞ! 相応の値段をつけろ」
「この二つの素材、仕事を行ったのは明らかに別人でしょう。同じような値で買い取りをするのは不可能ですね」
「あぁん、ざけんな! ただへーこらするしかできない職員風情が!」
ベルファストはついに言ってはいけない暴言を吐いた。
ギルド職員に対してありえない態度に、周囲の冒険者たちまで眉をひそめる。
ギルド職員は内心で毒づく。
(こいつら正気か? 世界中で冒険者へ仕事を斡旋している冒険者ギルドに向かってなんて態度なんだ。我が強い連中だと聞いていたが、ここまで酷いとは)
以前からそうした噂は立っていたが、勇者とは名ばかりの乱暴者でしかなかった。
実は、彼らへの対応策は出されていたので、ギルド職員はそれを遂行することにした。
「ご不満なら、ギルド支部長と話してください」
「そうだ! ギルド支部長はお前とは違い、無能ではない。すぐに俺らが正しいことを理解してくれるぜ」
ベルファストの暴言にギルド職員は怒りがこみ上げてきたが、表情には出さずギルド支部長の部屋に案内する。
勇者たちも職員も、怒りが爆発寸前であった。
「ギルド支部長、勇者のパーティが話があるとのことで……」
「あら、何の用件なの」
ギルド支部長は、茶色のロングヘアーで長身の壮麗な女性である。
ベルファストがさっそく抗議する。
「ギルド支部長、聞いてくださいよ! この職員が不当に低い金額を提示したんです」
ギルド支部長は目を細め、職員に問いただす。
「どういうこと?」
「はっ、同じワイバーンの素材が持ち込まれ、一つは完璧な状態を保っていましたが、もう一つは何も知らない素人が無理やりやったかのように酷いものでした。そこで、買い取り額を大幅に減らす提案をしたのですが……」
ギルド職員が両方を台の上に置くと、ギルド支部長は一目見て、大きくため息をついた。
「なるほどね。これは一目瞭然だわ」
「「そうでしょう」」
勇者とギルド職員の声が重なる。どちらも確信を抱いているが、その中身は逆である。
ギルド支部長が、ベルファストに尋ねる。
「そういえば、あなたたちのパーティにはユウキという人物がいたと聞いていますが、彼はどこに?」
「あいつは無駄飯食らいなので追い出しました。その代わりに、新しく優秀なメンバーを入れています」
自信満々に答えるベルファストだったが、それを聞いてギルド支部長は、再び呆れたようにため息をつく。
「……そう、そういうことなのね。わかったわ」
ギルド支部長はフンフンと頷きながら、なぜか笑みを浮かべていた。
やはり職員が不正をして素材を安く買い叩いたのだ、勇者たちは確信を強めていたが……ギルド支部長が言い放つ。
「この勇者たちのパーティの順位を一つ……いいえ、二つ下げなさい。こんな何もわかってない馬鹿どもに、今のような評価を与えるなど冒険者ギルドの恥。すぐさま書類を書き換えなさい」
「「「「「!?」」」」」
勇者たちは戦慄し、ベルライトが声を上げる。
「お、おい! いったいどういうことだよ! せ、説明しろ!」
「説明? そんなのわかりきっていると思ってましたが……説明が必要ですか? 二度は言わないからしっかり聞きなさい。まず冒険者ギルドの大鉄則として、パーティメンバーが替わった場合、それに合わせて順位が上下する。これは、最初に説明したはずです」
ギルド長の言葉に、ベルファストが小馬鹿にしたように言う。
「はぁ? たかが解体ぐらいしかできないクズが抜けたところで評価が下が……」
「下がるんですよ! ギルドのランクは討伐したモンスターの強さによって決まると思われがちですが、実際はそうではありません。素材を持ち込むことで、どのような利益が生まれるか、社会的な益の循環をどう促すか、他者にどういう益を与えるのか、そうしたことが重要なのです」
一気に捲し立てるギルド支部長に、何も反論できない勇者たち。
ギルド支部長はさらに言い募る。
「あなたたちの装備は誰が製作していますか? 破損した装備の整備などを誰がしてくれますか? 回復用のポーションや解毒剤は誰が作ってますか? その素材をどこから集めてくれますか? そして何より、そうした人たちとの交渉は誰がしてくれましたか?」
勇者たちは今さらながら、その手の交渉は全部ユウキに押しつけていたことを思い出す。
カノンが恐る恐る言う。
「……だ、だけども、ユウキが雑用をやるのが当たり前で……」
「そう、当たり前すぎるから疎かにしてしまう。思い返しなさい、ユウキが今までしてきた行動を! どんなに忙しくても毎日ギルドに顔を出して世間話をし、職員の些細な悩みを聞いて知恵を出して良い方向へと進ませようとする。そういった付き合いをすれば顔見知りとなり、ある程度融通を利かせてもいいと思うようになる。それが人情というものです」
「そんな程度のことで」
未だに現実を理解できない勇者たちが睨みつけてくるが――ギルド支部長には無意味だった。ギルド支部長は声を荒らげる。
「お前らが見えないところで、ユウキがどれだけ苦労したと思ってるんですか! どれだけ頭を下げたと思ってるんですか! その苦労を考えれば、ユウキのいないパーティなんて順位が下がっても当たり前ですよ!」
「だけども、あいつは戦闘に参加してなかったし……」
クズが抜けただけで評価がなぜ下がるのだ? 未だそう言いたげなベルファストに、ギルド支部長は告げる。
「ユウキの本業は盗賊です。盗賊の世界においては、危険が起きる前に要因を盗むのが肝要。それができることが、最高に腕の立つ盗賊の評価となるのです。だから本来は、別に戦闘に参加しなくてもいいんですよ。実際、あなたたちはこれまで、敵の奇襲を受けたことなどないでしょう」
ベルファストはふと思い返してみた。
確かに、休憩のときも、食事のときも、寝るときも、ユウキは周囲を警戒していた。これまで生きてこられたのは――
あいつのおかげだったのか?
「その顔だと……ようやく理解できたようですね。こちらは仕事が忙しいんですから」
――さっさと出ていけ、と。
そう言いたげなギルド支部長に、ベルファストはすがり付こうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 理由はわかった。もう一回ユウキを仲間に入れるから、俺たちの順位のダウンを取り消してくれ」
「どこまで馬鹿なのですか? 彼が一度放り出した仲間を信頼すると思っていると? 寝言も大概にしなさい。元は6位でしたが、ユウキがいない今では8位までの仕事しか請けられないようにしますし、依頼の許可も制限します。それから当然ですが、国に訴えても無駄だと断言します」
「なんだと! 俺らは有力な貴族家の出だぞ! 支持者も多いんだ。あとで後悔するなよ!」
結局、ベルファストは逆ギレし大声で怒鳴りつけるのだった。
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