3 / 154
1巻
1-3
× × ×
「あの馬鹿どもは、どこまで迷惑かければ気が済むんでしょうかね」
ギルド職員が、ギルド支部長リリエットに尋ねる。貴重な時間を無駄にした彼女は機嫌を悪くしていた。
貴族の中には冒険者となって一旗揚げようとする者もいるが、ああいう手合いばかりだった。
「フン、自力では大したことがないくせに大物気取りとは」
あの程度など探せばいくらでもいる。ワイバーンぐらいはどうにかなるかもしれないが、それ止まりだ。
そんなことより――やっとユウキが自由になれたのだ。
そう考え、リリエットは笑みを浮かべる。
別に彼らがどうなろうと構わないが、先に手を打っておくのがいいか……何やら考え事をしているリリエットに、ギルド職員が尋ねる。
「例の手紙を出しますか?」
あいつらはあれからまったく変わってない。もうすでに包囲されていることを存分に味わってもらおう。ユウキには二度と干渉できないようにしておくほうがいい。
リリエットは考えを整理すると、職員に命令を出す。
「一番速い伝令馬を用意して」
「かしこまりました」
以前から練られていた計画をついに発動するときが来たのだ。
勇者のパーティはリリエットのことをまったく覚えていなかったが、彼女はあのときのことを忘れたことなどなかった。
あれはそう、リリエットがギルド支部長となるほんの少し前のこと。
第2章 解体の勇者
「リリエットさん、今日はあなたに重大な話がある」
――心して聞くように、と。
「何でしょうか」
人払いした部屋で、私、リリエットはギルド支部長の言葉を待っている。
この頃、私は有力なパーティの一員で、重要な戦力として活躍していた。
心身ともに充実し、同世代で頭一つ抜けた評価を得ていると自覚し、それに応えるように努力も怠らなかった。
「実はな、とある町のギルド支部長が任期を終えて退職するのだ。人望が厚く町の人からの評判も良い好人物なのだが、いかんせん年齢が年齢で体が上手く動かないそうでな。それで、次の席が決まっていないのだ」
「えっ? それって」
ここまで話されたら、続く言葉は予想できる。
「君をその席に推薦したいと考えている。どうだろうか?」
「え、ええっ!? でも、普通はその補佐官が引き継ぐはずなのでは?」
私が慌ててそう口にすると、ギルド支部長は頷きつつ言う。
「そうなのだが、補佐官もやはり年齢を理由に、すぐに引退しようとしているらしい。もちろん業務の引き継ぎはするようだが、あくまで期限つきのサポートであり、有望な人材にあとを託したいとのことだ」
冒険者ギルドでは、基本的に実力主義を採っている。ギルド支部長になれるというのは、私の年齢とキャリアを考えれば出世である。
この話が本当であるのならば、引き受けるのが普通なのだろうが……
「でも、今のパーティが」
ギルド支部長になれば、よほどのことがない限りその場所を離れられなくなる。パーティに所属したままでいるのは無理だろう。
リーダーになんて言うべきか。
「そのことは十分理解している。だがな、君以外に候補者がこの町にはいないのだ。他の町からも候補者が数人選出されているのだが……」
「……すみませんが」
少し考えさせてほしい、とお願いする。
「できるだけ急いだほうがいい。他にも候補者は多いからね」
そうして私は部屋を出た。
「あ~ん、どうしようか」
一瞬、担がれているのかと疑ってしまったが、やはりこの話は嘘ではないだろう。でなければ、ギルド支部長は私だけを呼び出したりなどしないはずだ。
「とりあえず、リーダーに話を聞こうかなぁ」
私はパーティメンバーがいる宿屋に行くことにした。
「あの……リーダー……」
「なんだい、えらく気弱じゃないか」
何とかリーダーと二人きりの状況を見つけたが、どこか気まずい雰囲気がある。
どう言い出そうか。
「その様子じゃ、重要な話だったんだろ?」
「ええ」
私は、ギルド支部長と交わした会話の内容をリーダーに伝えた。
「おいおい、そりゃ出世じゃねぇか。この上なく良い話だぜ」
早く受けると返事しろ、そうリーダーに言われるも私は悩んでいた。
「でも、私がパーティを抜けると戦力が下がりますし、パーティの順位だって下がるかもしれませんし」
私は平凡な魔術師に過ぎないが、それでも結構強い術を多く使える。他のメンバーも歴戦の猛者で構成されており、隙らしい隙などない。
私が抜けたあと、パーティに誰を入れるのか心配なのだ。
私が悩んでいると、リーダーが力強く言う。
「受けるんだ」
「でも」
「俺らのことなら心配するな」
「ですが」
「いいか? お前くらいの年でギルド支部長の席が回ってくるなんて、普通じゃ考えられない。それだけお前の才能が買われているんだ」
「……」
「俺も思うところはある。あるが、お前さんは着実に結果を出してきた。それが今、実を結ぼうとしてるんだ」
これ以上良い話などない。メンバーのことは何とかするから、すぐに答えを出せと。
しばし沈黙して考える。
「決意しました」
――この話を受けると。
リーダーは笑みを浮かべて口を開く。
「よし、決まったな! 実はもうすぐヒュドラ討伐の募集が出されると聞いている。それをギルド支部長へ手土産として持っていけば、他の連中も黙るしかないだろうさ」
ヒュドラは古来大物の討伐対象とされており、数組のパーティで挑むのが定番だ。ちょっと心配になったので、私は尋ねる。
「他は誰が」
「目ぼしいのは出払っているから戦力としては厳しいな。ああ、そうだ。外部から勇者のパーティが来るらしいぞ」
「勇者」という名前や評判はともかく――
あまり期待できなさそうだと感じた。馬鹿な貴族の子供などが、勝手に勇者を名乗っているだけだとか、私もそういう連中を結構知っているのだ。
× × ×
その後、噂通りヒュドラ討伐の依頼が出される。
参加したのは四組であった。
まず、それぞれ挨拶することになったのだが……
「俺は剛剣の勇者ベルファスト様だ! 俺らにかかれば、ヒュドラなぞ大した敵ではない!」
なるほど、期待できる奴らではないことは確かなようだ。
ベルファストは馬鹿みたいにピカピカした装備を着込んでおり、眩しすぎて気味が悪かった。
他の連中も無駄に輝く装備でゴテゴテである。舞踏会に出たり王様に謁見したりするつもりなのだろうか。
だが、一人だけ雰囲気の違う者が交じっていた。
この大陸において黒髪黒目は珍しく、その人物がまとう装備は使い込まれていた。明らかに他の勇者どもと異なる。
私は勇者の一人に尋ねる。
「あの方は?」
「あいつはユウキ。他の世界から呼ばれたはみ出し者さ。解体作業とか料理とかしかできないゴミだよ」
その返答を聞いて私は、逆に勇者のパーティに少しだけ興味を持った。
こいつらは解体の重要さを理解していないが、モンスターの討伐はモンスター自体を倒すことよりも、その後の作業に手間がかかるのだ。素材を切り出すときにナイフの入れ方を失敗すると、素材は台無しになってしまう。
素人と熟練者の手掛けた解体では、ただのウルフの素材でも値段が大きく異なる。モンスターしだいでは桁が一つ違うことも珍しくない。
私たちのパーティでは全員がそこそこの解体技術を持っているが、解体専門の者さえ確保していた。
(このユウキという人物は、どれぐらいの技術を持っているのだろうか?)
私以外も、ユウキに注目しているようだった。
複数のパーティで行動する際、最初にするのはアイテムのチェックだ。
ヒュドラの毒は強力なので、専用の解毒薬がないと生存率が低くなる。なので今回は、これを所持しているかを先に確認しておく必要があった。
「こっちは用意できなかった」
「こちらもだ」
他のパーティも持っていないようだったが、私たちも同じだ。
治癒魔術を使うと魔力の消耗が激しく回復に時間がかかる。高額であるものの、持っていて損はないアイテムだったのだが。
「そんな保険など無用だ! さっさと狩りに行こうぜ」
空気の読めない勇者たちが叫び出す。
こいつら、この話の重要性を理解しているのか? 死人が出てもおかしくない相手なのだぞ。
結局、勇者のパーティのアイテムチェックはできなかった。
そのまま出発することになった。
そうしてしばらく歩いていくと、ボアが二頭向かってきた。この人数ならば仕留めるのは容易いはずなのだが……
「ダラララ~!」
ここで勇者組が、周囲のことをまるで考えない攻撃を繰り出した。
(この馬鹿どもが!?)
盾役はひたすら意味のないガード。剣の攻撃は周囲の味方まで巻き込む。魔術師はへぼっちぃ魔術を連発している。
予定よりも大幅に時間がかかって、何とか倒した。
だが、彼らはこっちに向かって――
「サポートできないゴミ」
「無駄な連中ばかり」
あろうことか、暴言を言ってきたのだ。
私は怒りが爆発しそうになる。
「申し訳ない」
対して頭を下げたのは、ユウキだった。
そんなユウキに、勇者のパーティの怒号が飛ぶ。
「おい、ユウキ! さっさと獲物を解体しろ!」
「承知した」
私はユウキ以外の勇者たちに憤りを抱きながらも、ユウキの解体の手際を見ることにした。
勇者どもが勝手に休憩するのを横目に、ユウキは解体に取りかかる。
その手際はすごかった。
(……うそ)
獲物の解体はなまぐさく周囲を汚すものだが、ユウキの解体は違った。
三本の木を組み合わせたようなものやら何やらを出すと、たった一人で二百キロはあるボアを吊るし上げてしまう。
そして、その下に大きな穴を掘り、解体作業を一人で始めた。
(恐ろしく早いうえに、まったく無駄がない)
大量の血と内臓を穴に落とすと、水を注いで血を流す。それからナイフを手足の先の各所に入れ、筋に沿って皮を剥いでいった。
その早業は、今まで見たことがあった解体とは完全に違っていた。
素早く皮を剥ぎ、毛のほうを下にして、肉を切り分け始める。脂身など不必要な部分を取り除いて、食べられる部分だけをすぐさま取り出す。
「……き、綺麗」
見ていた全員から、ため息が漏れる。私も解体作業の現場はよく見るが、大抵は汚れてしまうし、ここまで効率的にできない。
ユウキの解体には、いっさいの淀みがなかった。
あっという間に一体目の解体作業が終わる。
「おせぇよ! もっと早くザクザク切り裂きな!」
様子を見に来た勇者の一人がユウキを叱責する。
ユウキがどれだけすごいことをしているのか、こいつらが理解するのは不可能だろうな。
二体の解体を終え、分配することになったのだが……
「こっちの取り分は六割だな」
こいつらの発言は、私の感情を逆なでしかしない。
普通、解体をやった者に二割が妥当だ。ユウキが所属するパーティとはいえ、六割の取り分は過剰だ。さらにこの六割も自分たちのものにして、ユウキには相場の二割も渡さないつもりだろう。
私は、こいつらの頭をどつき回したくなってきた。
こいつらは話し合う必要がないほどだめだ。たぶんヒュドラ戦ではパーティの連携を大きく乱す要因になるだろう。
何でこいつらにユウキが付き合っているのかを、しっかりと聞いておく必要があるな。
「ユウキ、ちょっと」
「何か用」
勇者たちが休んでいるのを見計らい、ユウキを呼び出すことにした。他のパーティのリーダーも呼んである。
「何であなたのようなできた人が、あんな馬鹿どもの面倒を見ているのですか?」
時間がないので、直球な言葉で切り出してみた。
すると、ユウキはゆっくりと話し出す。
「そうですね……身寄りもおらず、信頼できる人もいない世界に連れてこられ、従うほかなかったのです」
訳がわからなかった。
その後、ユウキは丁寧に説明してくれたが、やはりよくわからない話だった。
「つまり、こことはまったく違う世界から来た……のですか?」
話としては面白いかもしれないが、本当だとしたらどれほど恐ろしいことかと思う。
「……それで、あの馬鹿どもを勇者に仕立て上げろと命令されたわけですか。そうしなければ、奴隷落ちか薬物漬けか」
その二択を、貴族から迫られたという。
なんて最悪な話だ。
「そんな貧乏クジを、たった一人で背負ったんですか?」
私がそう尋ねると、ユウキは小さく頷いた。
ユウキによると、勇者のパーティを自分から抜け出すと逃亡罪になるようだ。
しかし、向こうから追い出されれば罪にならないらしい。そうすれば、奴隷落ちか薬物漬けという罰からも逃れられる。
「ともかく、めちゃくちゃな話ですね」
ユウキに同情していると、彼は懐から何かを取り出した。
「……これを」
それは、解毒剤だった。
だが、色が普通のとは違う。
「ヒュドラの毒に効果のある解毒剤です。それほど用意はできませんでしたが」
瓶には生産者の名前が書いてあった。
「リュミーヌ商会から?」
驚いた。薬の生産者として名高い商会産である。
ユウキには独自のツテがあるようだ。
「僕のパーティはきっと役に立ちませんから」
「……ありがとう、ございます」
これで生存確率は大幅に上がった。
解毒薬に書いてある札は偽造ができないので、間違いなく本物だ。合計で八本もらった。他のパーティに二本ずつ配っておく。
「死者が出ないことを望みます」
ユウキがそう口にして、馬鹿勇者のもとに戻っていった。
ユウキは早速、勇者たちに世話を焼いていた。あの若さと能力で、あそこまで酷い待遇に甘んじるとは。
能力の低い馬鹿にこき使われる優秀な人物――それは、見ているだけで気分が悪かった。この場であいつらを消したいと思ったほどだ。
パーティメンバーの一人が、私に耳打ちしてくる。
「……どうしますか? 放置できないと思いますが」
「かなり酷い話だな。ギルド支部長に報告しておこう」
あの勇者たちとは今回限りにしたいと思う。だが、ユウキは何とかして解放してあげたい。
勇者のパーティのベルファストが、突然大声を上げる。
「ククク! ヒュドラを倒せば、我々の名は飛躍的に高まるだろう! そう、これは伝説の始まりなのだ!」
己の実力を見誤った、馬鹿な発言である。
彼は分不相応な望みでいっぱいのようだ。
その一方で、ユウキは忙しなく働いていた。
今やっているのは、討伐の前の腹ごしらえの準備だ。
ユウキが作ってくれたのは、前に手に入れたボアの肉を使ったシチューだった。こんな場所で、これほどの料理を作るのは大変だっただろうに。
すると、ベルファストが威張り散らす。
「フン! せっかく料理を配ってやったんだからな!」
最低でも壁となれ! ということらしい。
もう全員黙るしかない。
今回の依頼が片付いたら、こいつらは何とかしよう。
ユウキを彼らから解放してあげるのだ。
× × ×
そして、森の中で目的の相手を見つけた。
ヒュドラである。
「狩りだ、狩りだ! ヒャッハー!」
勇者たちが、巨大なヒュドラに向かって突撃していく。
その光景を見た全員が――
(ここで皆殺しにされてくれ!)
そう思ったに違いない。
あんなのと一緒に攻めては、無駄に攻撃を食らってしまうだろう。
私たちは、回復術師を後方に待機させて包囲陣形を取った。勇者のパーティの攻勢に加わらなかったユウキが我々の仲間に加わる。
ヒュドラは、九本の首をすべて落とさなくては死なない。
長期戦を覚悟しなくてはならないだろう。
先に攻めていった勇者組の能力はだいたい把握していた。彼らの力量では、首一つでも獲れれば良いほうかもしれないな。
むしろ、先に敗走してくれたほうが楽か。
どちらにせよ、勇者たちが戦線を離脱するのに時間はかからないだろうと考え、私たちがわざとゆっくりと動き出していたところ――
「この化け物が! 撤退、撤退だ! これは未来への架け橋となる!」
勇者組が簡単に音を上げて逃げ始めた。
これで解毒薬は節約できたが……さすがに早すぎだろ。
「ユウキ! あと始末はしっかりしておけ! いいか、我らが誰よりも勇敢に戦ったという証拠を持って帰ってこい!」
なんという自分勝手な指示なのだろうか。
ヒュドラは我々の近くまでやって来た。
だが、それでもユウキは引かない。ヒュドラを前にすれば動けなくなるのが普通だが、すごい根性である。
それぞれのリーダーが指示する。
「あの馬鹿どもは、どこまで迷惑かければ気が済むんでしょうかね」
ギルド職員が、ギルド支部長リリエットに尋ねる。貴重な時間を無駄にした彼女は機嫌を悪くしていた。
貴族の中には冒険者となって一旗揚げようとする者もいるが、ああいう手合いばかりだった。
「フン、自力では大したことがないくせに大物気取りとは」
あの程度など探せばいくらでもいる。ワイバーンぐらいはどうにかなるかもしれないが、それ止まりだ。
そんなことより――やっとユウキが自由になれたのだ。
そう考え、リリエットは笑みを浮かべる。
別に彼らがどうなろうと構わないが、先に手を打っておくのがいいか……何やら考え事をしているリリエットに、ギルド職員が尋ねる。
「例の手紙を出しますか?」
あいつらはあれからまったく変わってない。もうすでに包囲されていることを存分に味わってもらおう。ユウキには二度と干渉できないようにしておくほうがいい。
リリエットは考えを整理すると、職員に命令を出す。
「一番速い伝令馬を用意して」
「かしこまりました」
以前から練られていた計画をついに発動するときが来たのだ。
勇者のパーティはリリエットのことをまったく覚えていなかったが、彼女はあのときのことを忘れたことなどなかった。
あれはそう、リリエットがギルド支部長となるほんの少し前のこと。
第2章 解体の勇者
「リリエットさん、今日はあなたに重大な話がある」
――心して聞くように、と。
「何でしょうか」
人払いした部屋で、私、リリエットはギルド支部長の言葉を待っている。
この頃、私は有力なパーティの一員で、重要な戦力として活躍していた。
心身ともに充実し、同世代で頭一つ抜けた評価を得ていると自覚し、それに応えるように努力も怠らなかった。
「実はな、とある町のギルド支部長が任期を終えて退職するのだ。人望が厚く町の人からの評判も良い好人物なのだが、いかんせん年齢が年齢で体が上手く動かないそうでな。それで、次の席が決まっていないのだ」
「えっ? それって」
ここまで話されたら、続く言葉は予想できる。
「君をその席に推薦したいと考えている。どうだろうか?」
「え、ええっ!? でも、普通はその補佐官が引き継ぐはずなのでは?」
私が慌ててそう口にすると、ギルド支部長は頷きつつ言う。
「そうなのだが、補佐官もやはり年齢を理由に、すぐに引退しようとしているらしい。もちろん業務の引き継ぎはするようだが、あくまで期限つきのサポートであり、有望な人材にあとを託したいとのことだ」
冒険者ギルドでは、基本的に実力主義を採っている。ギルド支部長になれるというのは、私の年齢とキャリアを考えれば出世である。
この話が本当であるのならば、引き受けるのが普通なのだろうが……
「でも、今のパーティが」
ギルド支部長になれば、よほどのことがない限りその場所を離れられなくなる。パーティに所属したままでいるのは無理だろう。
リーダーになんて言うべきか。
「そのことは十分理解している。だがな、君以外に候補者がこの町にはいないのだ。他の町からも候補者が数人選出されているのだが……」
「……すみませんが」
少し考えさせてほしい、とお願いする。
「できるだけ急いだほうがいい。他にも候補者は多いからね」
そうして私は部屋を出た。
「あ~ん、どうしようか」
一瞬、担がれているのかと疑ってしまったが、やはりこの話は嘘ではないだろう。でなければ、ギルド支部長は私だけを呼び出したりなどしないはずだ。
「とりあえず、リーダーに話を聞こうかなぁ」
私はパーティメンバーがいる宿屋に行くことにした。
「あの……リーダー……」
「なんだい、えらく気弱じゃないか」
何とかリーダーと二人きりの状況を見つけたが、どこか気まずい雰囲気がある。
どう言い出そうか。
「その様子じゃ、重要な話だったんだろ?」
「ええ」
私は、ギルド支部長と交わした会話の内容をリーダーに伝えた。
「おいおい、そりゃ出世じゃねぇか。この上なく良い話だぜ」
早く受けると返事しろ、そうリーダーに言われるも私は悩んでいた。
「でも、私がパーティを抜けると戦力が下がりますし、パーティの順位だって下がるかもしれませんし」
私は平凡な魔術師に過ぎないが、それでも結構強い術を多く使える。他のメンバーも歴戦の猛者で構成されており、隙らしい隙などない。
私が抜けたあと、パーティに誰を入れるのか心配なのだ。
私が悩んでいると、リーダーが力強く言う。
「受けるんだ」
「でも」
「俺らのことなら心配するな」
「ですが」
「いいか? お前くらいの年でギルド支部長の席が回ってくるなんて、普通じゃ考えられない。それだけお前の才能が買われているんだ」
「……」
「俺も思うところはある。あるが、お前さんは着実に結果を出してきた。それが今、実を結ぼうとしてるんだ」
これ以上良い話などない。メンバーのことは何とかするから、すぐに答えを出せと。
しばし沈黙して考える。
「決意しました」
――この話を受けると。
リーダーは笑みを浮かべて口を開く。
「よし、決まったな! 実はもうすぐヒュドラ討伐の募集が出されると聞いている。それをギルド支部長へ手土産として持っていけば、他の連中も黙るしかないだろうさ」
ヒュドラは古来大物の討伐対象とされており、数組のパーティで挑むのが定番だ。ちょっと心配になったので、私は尋ねる。
「他は誰が」
「目ぼしいのは出払っているから戦力としては厳しいな。ああ、そうだ。外部から勇者のパーティが来るらしいぞ」
「勇者」という名前や評判はともかく――
あまり期待できなさそうだと感じた。馬鹿な貴族の子供などが、勝手に勇者を名乗っているだけだとか、私もそういう連中を結構知っているのだ。
× × ×
その後、噂通りヒュドラ討伐の依頼が出される。
参加したのは四組であった。
まず、それぞれ挨拶することになったのだが……
「俺は剛剣の勇者ベルファスト様だ! 俺らにかかれば、ヒュドラなぞ大した敵ではない!」
なるほど、期待できる奴らではないことは確かなようだ。
ベルファストは馬鹿みたいにピカピカした装備を着込んでおり、眩しすぎて気味が悪かった。
他の連中も無駄に輝く装備でゴテゴテである。舞踏会に出たり王様に謁見したりするつもりなのだろうか。
だが、一人だけ雰囲気の違う者が交じっていた。
この大陸において黒髪黒目は珍しく、その人物がまとう装備は使い込まれていた。明らかに他の勇者どもと異なる。
私は勇者の一人に尋ねる。
「あの方は?」
「あいつはユウキ。他の世界から呼ばれたはみ出し者さ。解体作業とか料理とかしかできないゴミだよ」
その返答を聞いて私は、逆に勇者のパーティに少しだけ興味を持った。
こいつらは解体の重要さを理解していないが、モンスターの討伐はモンスター自体を倒すことよりも、その後の作業に手間がかかるのだ。素材を切り出すときにナイフの入れ方を失敗すると、素材は台無しになってしまう。
素人と熟練者の手掛けた解体では、ただのウルフの素材でも値段が大きく異なる。モンスターしだいでは桁が一つ違うことも珍しくない。
私たちのパーティでは全員がそこそこの解体技術を持っているが、解体専門の者さえ確保していた。
(このユウキという人物は、どれぐらいの技術を持っているのだろうか?)
私以外も、ユウキに注目しているようだった。
複数のパーティで行動する際、最初にするのはアイテムのチェックだ。
ヒュドラの毒は強力なので、専用の解毒薬がないと生存率が低くなる。なので今回は、これを所持しているかを先に確認しておく必要があった。
「こっちは用意できなかった」
「こちらもだ」
他のパーティも持っていないようだったが、私たちも同じだ。
治癒魔術を使うと魔力の消耗が激しく回復に時間がかかる。高額であるものの、持っていて損はないアイテムだったのだが。
「そんな保険など無用だ! さっさと狩りに行こうぜ」
空気の読めない勇者たちが叫び出す。
こいつら、この話の重要性を理解しているのか? 死人が出てもおかしくない相手なのだぞ。
結局、勇者のパーティのアイテムチェックはできなかった。
そのまま出発することになった。
そうしてしばらく歩いていくと、ボアが二頭向かってきた。この人数ならば仕留めるのは容易いはずなのだが……
「ダラララ~!」
ここで勇者組が、周囲のことをまるで考えない攻撃を繰り出した。
(この馬鹿どもが!?)
盾役はひたすら意味のないガード。剣の攻撃は周囲の味方まで巻き込む。魔術師はへぼっちぃ魔術を連発している。
予定よりも大幅に時間がかかって、何とか倒した。
だが、彼らはこっちに向かって――
「サポートできないゴミ」
「無駄な連中ばかり」
あろうことか、暴言を言ってきたのだ。
私は怒りが爆発しそうになる。
「申し訳ない」
対して頭を下げたのは、ユウキだった。
そんなユウキに、勇者のパーティの怒号が飛ぶ。
「おい、ユウキ! さっさと獲物を解体しろ!」
「承知した」
私はユウキ以外の勇者たちに憤りを抱きながらも、ユウキの解体の手際を見ることにした。
勇者どもが勝手に休憩するのを横目に、ユウキは解体に取りかかる。
その手際はすごかった。
(……うそ)
獲物の解体はなまぐさく周囲を汚すものだが、ユウキの解体は違った。
三本の木を組み合わせたようなものやら何やらを出すと、たった一人で二百キロはあるボアを吊るし上げてしまう。
そして、その下に大きな穴を掘り、解体作業を一人で始めた。
(恐ろしく早いうえに、まったく無駄がない)
大量の血と内臓を穴に落とすと、水を注いで血を流す。それからナイフを手足の先の各所に入れ、筋に沿って皮を剥いでいった。
その早業は、今まで見たことがあった解体とは完全に違っていた。
素早く皮を剥ぎ、毛のほうを下にして、肉を切り分け始める。脂身など不必要な部分を取り除いて、食べられる部分だけをすぐさま取り出す。
「……き、綺麗」
見ていた全員から、ため息が漏れる。私も解体作業の現場はよく見るが、大抵は汚れてしまうし、ここまで効率的にできない。
ユウキの解体には、いっさいの淀みがなかった。
あっという間に一体目の解体作業が終わる。
「おせぇよ! もっと早くザクザク切り裂きな!」
様子を見に来た勇者の一人がユウキを叱責する。
ユウキがどれだけすごいことをしているのか、こいつらが理解するのは不可能だろうな。
二体の解体を終え、分配することになったのだが……
「こっちの取り分は六割だな」
こいつらの発言は、私の感情を逆なでしかしない。
普通、解体をやった者に二割が妥当だ。ユウキが所属するパーティとはいえ、六割の取り分は過剰だ。さらにこの六割も自分たちのものにして、ユウキには相場の二割も渡さないつもりだろう。
私は、こいつらの頭をどつき回したくなってきた。
こいつらは話し合う必要がないほどだめだ。たぶんヒュドラ戦ではパーティの連携を大きく乱す要因になるだろう。
何でこいつらにユウキが付き合っているのかを、しっかりと聞いておく必要があるな。
「ユウキ、ちょっと」
「何か用」
勇者たちが休んでいるのを見計らい、ユウキを呼び出すことにした。他のパーティのリーダーも呼んである。
「何であなたのようなできた人が、あんな馬鹿どもの面倒を見ているのですか?」
時間がないので、直球な言葉で切り出してみた。
すると、ユウキはゆっくりと話し出す。
「そうですね……身寄りもおらず、信頼できる人もいない世界に連れてこられ、従うほかなかったのです」
訳がわからなかった。
その後、ユウキは丁寧に説明してくれたが、やはりよくわからない話だった。
「つまり、こことはまったく違う世界から来た……のですか?」
話としては面白いかもしれないが、本当だとしたらどれほど恐ろしいことかと思う。
「……それで、あの馬鹿どもを勇者に仕立て上げろと命令されたわけですか。そうしなければ、奴隷落ちか薬物漬けか」
その二択を、貴族から迫られたという。
なんて最悪な話だ。
「そんな貧乏クジを、たった一人で背負ったんですか?」
私がそう尋ねると、ユウキは小さく頷いた。
ユウキによると、勇者のパーティを自分から抜け出すと逃亡罪になるようだ。
しかし、向こうから追い出されれば罪にならないらしい。そうすれば、奴隷落ちか薬物漬けという罰からも逃れられる。
「ともかく、めちゃくちゃな話ですね」
ユウキに同情していると、彼は懐から何かを取り出した。
「……これを」
それは、解毒剤だった。
だが、色が普通のとは違う。
「ヒュドラの毒に効果のある解毒剤です。それほど用意はできませんでしたが」
瓶には生産者の名前が書いてあった。
「リュミーヌ商会から?」
驚いた。薬の生産者として名高い商会産である。
ユウキには独自のツテがあるようだ。
「僕のパーティはきっと役に立ちませんから」
「……ありがとう、ございます」
これで生存確率は大幅に上がった。
解毒薬に書いてある札は偽造ができないので、間違いなく本物だ。合計で八本もらった。他のパーティに二本ずつ配っておく。
「死者が出ないことを望みます」
ユウキがそう口にして、馬鹿勇者のもとに戻っていった。
ユウキは早速、勇者たちに世話を焼いていた。あの若さと能力で、あそこまで酷い待遇に甘んじるとは。
能力の低い馬鹿にこき使われる優秀な人物――それは、見ているだけで気分が悪かった。この場であいつらを消したいと思ったほどだ。
パーティメンバーの一人が、私に耳打ちしてくる。
「……どうしますか? 放置できないと思いますが」
「かなり酷い話だな。ギルド支部長に報告しておこう」
あの勇者たちとは今回限りにしたいと思う。だが、ユウキは何とかして解放してあげたい。
勇者のパーティのベルファストが、突然大声を上げる。
「ククク! ヒュドラを倒せば、我々の名は飛躍的に高まるだろう! そう、これは伝説の始まりなのだ!」
己の実力を見誤った、馬鹿な発言である。
彼は分不相応な望みでいっぱいのようだ。
その一方で、ユウキは忙しなく働いていた。
今やっているのは、討伐の前の腹ごしらえの準備だ。
ユウキが作ってくれたのは、前に手に入れたボアの肉を使ったシチューだった。こんな場所で、これほどの料理を作るのは大変だっただろうに。
すると、ベルファストが威張り散らす。
「フン! せっかく料理を配ってやったんだからな!」
最低でも壁となれ! ということらしい。
もう全員黙るしかない。
今回の依頼が片付いたら、こいつらは何とかしよう。
ユウキを彼らから解放してあげるのだ。
× × ×
そして、森の中で目的の相手を見つけた。
ヒュドラである。
「狩りだ、狩りだ! ヒャッハー!」
勇者たちが、巨大なヒュドラに向かって突撃していく。
その光景を見た全員が――
(ここで皆殺しにされてくれ!)
そう思ったに違いない。
あんなのと一緒に攻めては、無駄に攻撃を食らってしまうだろう。
私たちは、回復術師を後方に待機させて包囲陣形を取った。勇者のパーティの攻勢に加わらなかったユウキが我々の仲間に加わる。
ヒュドラは、九本の首をすべて落とさなくては死なない。
長期戦を覚悟しなくてはならないだろう。
先に攻めていった勇者組の能力はだいたい把握していた。彼らの力量では、首一つでも獲れれば良いほうかもしれないな。
むしろ、先に敗走してくれたほうが楽か。
どちらにせよ、勇者たちが戦線を離脱するのに時間はかからないだろうと考え、私たちがわざとゆっくりと動き出していたところ――
「この化け物が! 撤退、撤退だ! これは未来への架け橋となる!」
勇者組が簡単に音を上げて逃げ始めた。
これで解毒薬は節約できたが……さすがに早すぎだろ。
「ユウキ! あと始末はしっかりしておけ! いいか、我らが誰よりも勇敢に戦ったという証拠を持って帰ってこい!」
なんという自分勝手な指示なのだろうか。
ヒュドラは我々の近くまでやって来た。
だが、それでもユウキは引かない。ヒュドラを前にすれば動けなくなるのが普通だが、すごい根性である。
それぞれのリーダーが指示する。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。