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第1章
148話 悪徳勇者
ユウキがジーグルト伯爵家で比類なき戦功を上げている影では――、愚か者の勇者らが悪い意味で活躍していた。
「さっさと金を出せ!」
ジークムントを筆頭とする国の勇者と名乗る一団、彼らはライク家に侵攻した貴族家の家族を脅していたのだ。
「そ、そんな!夫や子供や家臣らが大勢死んでいるのです!支払いようがありません!!」
ユウキによって壊滅させられた貴族家の軍勢の家族には妻や幼い子供らだけが残されていた。彼らの身内のほとんどが欲深にライク家の土地を狙って侵攻したがユウキの手によって壊滅させられた。
家族が天に旅立ったと知らせたのは勇者らだった。
そして、彼らは言う、
『貸した金を返せ』
と。
残された家族らは残酷な言葉を伝えられ絶望するしかなかったのだがそれ以上に勇者らは追い詰める。
「貴様らに貸していた金は即刻返済するべきものである!」
「そ、それは、冒険者ギルドに取り合ってください」
彼女らからすると今回の騒動の整理は冒険者ギルドが率先して行っているという話だ。たしかに、家族らを殺されたり捕虜にしたことは自業自得という面があると判断している。それならば、それらの借金の整理もまた冒険者ギルドが行うものだと思っていた。
しかし、現実にやってきたのは武器を使って脅す悪党である。
「しかしも何もない!貸した金を返すのは貴族として当然だ!」
さっさと返済しろと。
この勇者らがどこの誰かは分からないがこれだけは言える。取り立てる必要の無い金を取ろうとしていると。
だが、家に残された家族には屈強な男らに逆らう術がない。
「現実を理解したか?」
「貴方達はこのようなことをして恥ずかしくないのですか?」
「はぁ?我らはただ貸し付けた金の返済の仕事を受けただけだ。それ以外のことは知らん」
「……」
「それとも、別の形で支払うか?」
勇者らの目に怪しい光が宿る。まさか?人妻である私や娘らを襲うというのか!そこまでの外道をすると!?
その恐怖に体が震える。しかし、今の状況から何とかして逃げる方法を考えなければならない。
彼女はひたすら懇願して後日返答すると答えた。
「いいだろう。数日は待つ。それが出来なくば……分かっているな?」
「はい……」
そうして、勇者という恐ろしい存在は帰った。
「お母さん」「お母さま」
奥に隠れていた子供らが出てきた。
「こわいひと、かえった?」
「よしよし、だいじょうぶだからね」
とはいうものの、あの手合いが簡単に諦めるとは思えない。一刻も早く逃げなくては。だが、どこへ逃げればいのだろうか?
冒険者ギルドはこちらを戦犯扱いしているし他の貴族家とてどうだか分からない。このままでは身の安全がない状況だ。
「(こうなったら、方法は一つしかないですね)」
決心した。
貴族家として名と爵位を返上し相続権を放棄し教会に逃げ込む、それしかない。いくら奴らとてそこまでは追っては来れないだろう。
元から夫は良くなかった。見栄と意地ばかり強くて無駄に豪華な物ばかりを買う、それなのに家族への施しはさして多くなかった。子供らがいたため我慢していたがその夫が死亡しているのならば縁切りしても問題はない。
私以外にも同じような女は多いだろう。子供らにはのびのびと育ってほしいが命には代えられない。
貴族の妻はそうして書類を残して子供らと逃げていった。
「クソっ!あの女め、こんなモノを置いて逃げだすとは!!」
ジークムントだけではなくベルファストらも悪態を吐く。
そこには、
『貴族家として名と爵位と財産を国に返上し子供らとともに教会で信仰に生涯を捧げます』
そう書かれていた。
さすがに貴族としてのすべての権利を放棄して教会に逃げ込まれては勇者といえど手を出すことは出来なかったのだ。教会という組織はこうした債権者から逃げ延びる唯一の手段でもあったからだ。様々な神を信仰する教会には国王と言えど簡単には口出しできない不文律がある。それを利用されてはどうしようもなかった。
「こうなっては一刻も早く金を回収しなければ貴族らに恩が売れないぞ!」
『おう!』
逃げ出す前に身柄を押さえてしまうしかない。
勇者らそうして貴族家を回るが、
「クソっ!ここもか!」
どこを回っても同じ書き置きが残されていた。
「ええいっ。こうなったらあるだけの物はすべて回収するしかない」
愚痴を漏らす。
家々の中にあるモノ全てを押さえることにしたがめぼしい金品がほとんどなかった。それがさらに怒りを強くさせる。
「ちっ!全員家の中のを食うぞ」
荒くれ者同然の勇者らは一軒家で酒と食事を開始する。
「おっと、これを飲んでおかないとな」
ジークムントらは懐から何か瓶を取り出す。それを濃い紫色をした液体で不気味な代物だった。それを全員がゴクゴクと飲み干す。
「これでまた俺らが勇者として強くなるってんだから堪らないな」
全員が笑う。
この不気味な液体こそが彼らを”勇者”たらしめてる魔法の秘薬、そう説明されている。ユウキはこの液体を非常に危険視しておりすぐさま「手を切れ」何度となくベルファストらに忠告したが彼らはそれを聞こうとはしなかった。
彼らは元は決して強くない平凡な人だった、この液体を飲み始めてから心身共に強くなり力負けせず魔術も使えるようなった。これがある限り自分らは世界随一の勇者であると信じている。
過ぎた力には代償が必要であることを彼らは知らなかった。
「さっさと金を出せ!」
ジークムントを筆頭とする国の勇者と名乗る一団、彼らはライク家に侵攻した貴族家の家族を脅していたのだ。
「そ、そんな!夫や子供や家臣らが大勢死んでいるのです!支払いようがありません!!」
ユウキによって壊滅させられた貴族家の軍勢の家族には妻や幼い子供らだけが残されていた。彼らの身内のほとんどが欲深にライク家の土地を狙って侵攻したがユウキの手によって壊滅させられた。
家族が天に旅立ったと知らせたのは勇者らだった。
そして、彼らは言う、
『貸した金を返せ』
と。
残された家族らは残酷な言葉を伝えられ絶望するしかなかったのだがそれ以上に勇者らは追い詰める。
「貴様らに貸していた金は即刻返済するべきものである!」
「そ、それは、冒険者ギルドに取り合ってください」
彼女らからすると今回の騒動の整理は冒険者ギルドが率先して行っているという話だ。たしかに、家族らを殺されたり捕虜にしたことは自業自得という面があると判断している。それならば、それらの借金の整理もまた冒険者ギルドが行うものだと思っていた。
しかし、現実にやってきたのは武器を使って脅す悪党である。
「しかしも何もない!貸した金を返すのは貴族として当然だ!」
さっさと返済しろと。
この勇者らがどこの誰かは分からないがこれだけは言える。取り立てる必要の無い金を取ろうとしていると。
だが、家に残された家族には屈強な男らに逆らう術がない。
「現実を理解したか?」
「貴方達はこのようなことをして恥ずかしくないのですか?」
「はぁ?我らはただ貸し付けた金の返済の仕事を受けただけだ。それ以外のことは知らん」
「……」
「それとも、別の形で支払うか?」
勇者らの目に怪しい光が宿る。まさか?人妻である私や娘らを襲うというのか!そこまでの外道をすると!?
その恐怖に体が震える。しかし、今の状況から何とかして逃げる方法を考えなければならない。
彼女はひたすら懇願して後日返答すると答えた。
「いいだろう。数日は待つ。それが出来なくば……分かっているな?」
「はい……」
そうして、勇者という恐ろしい存在は帰った。
「お母さん」「お母さま」
奥に隠れていた子供らが出てきた。
「こわいひと、かえった?」
「よしよし、だいじょうぶだからね」
とはいうものの、あの手合いが簡単に諦めるとは思えない。一刻も早く逃げなくては。だが、どこへ逃げればいのだろうか?
冒険者ギルドはこちらを戦犯扱いしているし他の貴族家とてどうだか分からない。このままでは身の安全がない状況だ。
「(こうなったら、方法は一つしかないですね)」
決心した。
貴族家として名と爵位を返上し相続権を放棄し教会に逃げ込む、それしかない。いくら奴らとてそこまでは追っては来れないだろう。
元から夫は良くなかった。見栄と意地ばかり強くて無駄に豪華な物ばかりを買う、それなのに家族への施しはさして多くなかった。子供らがいたため我慢していたがその夫が死亡しているのならば縁切りしても問題はない。
私以外にも同じような女は多いだろう。子供らにはのびのびと育ってほしいが命には代えられない。
貴族の妻はそうして書類を残して子供らと逃げていった。
「クソっ!あの女め、こんなモノを置いて逃げだすとは!!」
ジークムントだけではなくベルファストらも悪態を吐く。
そこには、
『貴族家として名と爵位と財産を国に返上し子供らとともに教会で信仰に生涯を捧げます』
そう書かれていた。
さすがに貴族としてのすべての権利を放棄して教会に逃げ込まれては勇者といえど手を出すことは出来なかったのだ。教会という組織はこうした債権者から逃げ延びる唯一の手段でもあったからだ。様々な神を信仰する教会には国王と言えど簡単には口出しできない不文律がある。それを利用されてはどうしようもなかった。
「こうなっては一刻も早く金を回収しなければ貴族らに恩が売れないぞ!」
『おう!』
逃げ出す前に身柄を押さえてしまうしかない。
勇者らそうして貴族家を回るが、
「クソっ!ここもか!」
どこを回っても同じ書き置きが残されていた。
「ええいっ。こうなったらあるだけの物はすべて回収するしかない」
愚痴を漏らす。
家々の中にあるモノ全てを押さえることにしたがめぼしい金品がほとんどなかった。それがさらに怒りを強くさせる。
「ちっ!全員家の中のを食うぞ」
荒くれ者同然の勇者らは一軒家で酒と食事を開始する。
「おっと、これを飲んでおかないとな」
ジークムントらは懐から何か瓶を取り出す。それを濃い紫色をした液体で不気味な代物だった。それを全員がゴクゴクと飲み干す。
「これでまた俺らが勇者として強くなるってんだから堪らないな」
全員が笑う。
この不気味な液体こそが彼らを”勇者”たらしめてる魔法の秘薬、そう説明されている。ユウキはこの液体を非常に危険視しておりすぐさま「手を切れ」何度となくベルファストらに忠告したが彼らはそれを聞こうとはしなかった。
彼らは元は決して強くない平凡な人だった、この液体を飲み始めてから心身共に強くなり力負けせず魔術も使えるようなった。これがある限り自分らは世界随一の勇者であると信じている。
過ぎた力には代償が必要であることを彼らは知らなかった。
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