解体の勇者の成り上がり冒険譚

無謀突撃娘

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第1章

151話 状況把握

「ようやく戻ってこれたね」

ユーラベルクに戻っての一言。ジーグルト伯爵様に協力したので色々なことがあった。貴金属の精錬、人質事件、反乱軍の掃討、暗殺事件、砂糖の製造、周辺貴族への対応などなど、本当に色々なことがあった

どれもこれも一筋縄でいく案件ではなく全力で挑まなければならなかった。後半では敵対貴族への攻撃は本当に大変だったけど、これでもうジーグルト家に逆らおうという連中はいなくなるだろう。

営業や訓練を行っている者らの所に行きたいが、

「まずは、冒険者ギルドに行かないとね」

一刻も早く顔を見せに行くべきだろう。

僕の行動の結果をどう見て判断するのだろうか?称賛するか、厳罰か。どうなるかは予想できないが逃げることはできない。

冒険者ギルドの建物に入る。

「冒険者のユウキです、確認報告をお」

「キャ~!ユウキ様、ユウキ様ですね!よくぞ無事で戻って来てくれました!!」

ギルドの受付はとてもハイテンションな状態だった、周りが注目する。

「おっ、隊長様のお帰りだ」

「へぇ、あいつが実技学科を飛ばして任命されたのか」

「若いな」

ジロジロと。感心と好奇の入り混じった視線が向けられる。それはそれで悪くないが今は優先すべき案件がある。

「リサギルド支部長はおられますか?」

「もちろんです!一刻も早く会いたいと」

時間を空けてまで待っているそうだ。それ以外にもユーラベルクの経済を担う幹部らも数名ほど。これはちょっと大変な報告になりそうだ。ギルド支部長の部屋までまっすぐ向かう。

ドアをノックして入る。

「ユウキです、ただいま帰りました」

「よくぞ、よくぞ無事に帰って来てくれましたね」

リサさんの顔には喜びと涙が浮かんでいた、他にも壮年や老齢の男性が数人いた。

「大まかな報告は聞いております。どれもこれも信じがたいことこの上ありませんが実物がここにある以上現実なのでしょうね」

テーブルの上にはジーグルト家で作られている貴金属と砂糖が置いてあった。

「ベルン様はとても喜んでおられました。これでこの領地が大きく発展すると」

これまで私を援助した分を大きく超えて恩返しができたと。早速本題に入るが。

「こちらにおられる皆様方は?」

周りにいる人たちのことを尋ねる。

「彼らは皆ここユーラベルクで貴族との交渉や民衆の陳情を聞く経済のプロです。ここからもたらされる商品を各地に売買するルートを持っているのですよ」

なるほど、商経済ルートに関わる人材か。それは納得だ。さすがに売る商品が商品なので横槍が入ることが十分考えられる、それに対処し売り場を拡大できる人材を集めたということなのだろう。

「初めましてユウキ殿。私はヴェガンと呼んでくれ」「アリードだ」「ノックスと申します」

彼ら一人一人と握手する。

「リサから売る商品を見せてもらったがどれもこれも実に素晴らしいな。どれも国が独占してたり開拓出来ていなかった市場だ」

しかるべき資金と人材を入れれば近い将来冒険者ギルドの主力商品になるのは間違いないと。もうすでにその投資資金の計算を始めているそうだ。

「ジーグルト家への信頼も厚くなり周囲の世襲貴族共は沈静化したしな」

「そのことについてなのですが」

「どうされた?」

そうした予兆があったとはいえ三つもの拠点の制圧、さらに貴族軍への打撃、物資を焼き払ったことへの代償。それをどのようにして清算すべきかと。僕は問う。

「その点については何一つとして問題にはならない。ユウキは行動小隊長第一位の有資格者、それが脅威と判断したことをなぜ我らが反対せねばならぬのだ。奴らの傲慢さにはほとほと呆れてたいのだよ」

大義名分はジーグルト家にあったし証拠など残していないのだから足取りを追うのは不可能、もし問われても知らぬ存ぜぬで通せばいい。それでも噛みついてきたら支援をしなくてよくなるだけ。

どうせ奴らは違法行為を用いて拠点などで搾取していたのだ、それが灰となっただけ。証拠が手に入った以上言い逃れは出来ない。今後は厳しく当たり二度と暴走させないようにするべきだと。

「それでよいのでしょうか」

「よいのだよ。今までが世襲貴族だからと一定の距離を保ってきたが証拠が出てきた以上容赦なく叩けばいいだけだ」

「さようである。幸いにここにはそうした法律関係の施設もあるしな」

「二度と不当な金を得られぬように厳しく監視するべきである」

各地に職員を派遣し経済の状況を確認する。今までは相互不可侵に近かったそうだがこの様子ではまだ不正が行われている可能性が高いとして事実関係を調査させる。

まともならばいいがそうでない場合は厳しい罰が冒険者ギルドから下される。それからはどうやっても逃げられないようになっているからだ。

この辺りは国よりも各地に優秀な人材が多い冒険者ギルドの長所だな。

「で、だ」

「?」

ガシッ、と肩を掴まれる。

「貴金属、砂糖、食用茸、現在経営している店など。そなたの周りには金になる話がいくらでも転がっておる」

つまるところ、それに噛ませてほしいのだな。

「ここで会ったのも何かの縁だ。我らに儲け話のネタを譲ってほしい」

「は、はぁ」

「安心しなされ。利益の分配はしっかりと計算させるし我らのコネを通じて人付き合いも増える。これから職業貴族となるのならば味方は多い方が良かろう」

「そう、ですね」

「何分、我らも儲かる店の基準についてはかなり曖昧なのだ。金をいくら投資しても元が取れなかったことが多々ある。手早く安く大儲けできる商売の原型、それがどうしても欲しいのだよ」

世の中金を掛ければある程度のモノは完成するがそれが商品価値があるというのは微妙なところだろう。ふむぅ、それならいくつか『雛形』があるから試してもらってもいいかも。

そうして、僕は職業貴族相手に儲かる商売のやり方を考えて売ることにした。
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