解体の勇者の成り上がり冒険譚

無謀突撃娘

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第1章

176話 山賊団討伐戦 Ⅰ

戦闘準備が整ったのでいよいよ山賊の討伐に移る。アブラムガイス伯爵の軍勢と合流し山賊の砦まで一直線に向かう。隊長はミーティアさんが務めるようだ。装備を見るとほとんど新品であまり実戦をしていないのがよくわかる。

「ユウキ様。申し訳ありません、一応体制は整えられておりますが」

ミーティアさんが先に謝ってきた。連れてきた兵士らの大半がさして訓練を施されてない新兵であり年若い者が数多い。経験も乏しく実戦では戦力として期待するのは難しいと。まぁ、予想はしていたけどね。

実戦経験が豊富な人材は冒険者ギルドでも少ないからだ。戦争や紛争などさして起こらず軍隊という組織が年々縮小している時代なのでそうせざるを得ないのだ。

そのため優秀な人材が集まりずらく教育できる人間も減る一方である。冒険者ギルドでもそうなので国とかになると形だけの組織になっていて入ってくる人間の質は年々下がっている。

世襲貴族の子息子女は甘やかされており根性なしなので最低限の訓練にすらついて行けない。冒険者ギルドに引き抜きに来る始末だ。

っと、今はそんなことよりも山賊討伐が優先だ。迅速に行動しないと。

予定していた時間をかけて山賊の砦まで足を進める。途中休息を挟みながら。数時間後、山賊の砦までたどり着く。

「結構堅固だねぇ」

「情報は聞いておりましたがこんなことになっているとは」

ミーティアさんは驚きを隠せないようだ。

そこにあったのは山賊の砦というのはおかしいとしか思えないほどに堅固な作りをした要塞だった。いくら何でも予算をかけすぎている。商人らからの通行税を含めても作りが違う。この分では世襲貴族共からも相当金を入れたのだろう。

連れてきた兵士たちもあまりの堅固さに出る言葉がないようだ。

「ミーティアさん」

「は、はいっ」

「伯爵夫人から出されている討伐依頼の通達を」

「わ、分かりました」

彼女に命じて討伐依頼の内容を山賊どもに伝える。その返答は、

『わわっ!』

矢が大量に降り注いできた。

味方は大慌てで矢を回避する。どうやらこちらの言うことを聞く気は微塵もないらしい。そりゃそうか、人数で勝り堅固な要塞があるのに負けを認める理由はどこにもないのだから。

相手が敵対行為をしたので本格的な攻めに移る。

「攻め落とすよ」

「分かりました」

全員に戦闘が始まることを伝える。

まずは、あの重く頑丈な門をどうにかしないと中に入れない。仲間に丸太を用意しろと命じて僕は堂々と門の前まで進み門の下の方を掴む。

「ぬおおおおぉ~!」

数十人でないと持ち上げられない門を一人で無理矢理持ち上げる!門は徐々に持ち上がり人が通れる高さまで持ち上った。

「支えの丸太を入れて門を開けっぱなしにして」

「了解しました」

丸太を用意していたガオムらが急いで丸太を門の隙間に入れて支える。これで中まで進軍できる。いよいよ本番だ。

『な、何だと!あの門を無理矢理こじ開けただと!!』

さすがの山賊どももあの門を無理矢理こじ開けることなど考えてなかったのか少し狼狽えたがすぐさまこちらを敵だと認識した。

『野郎ども、敵だ!皆殺しにしろ!』

そこら中から山賊どもが現れる。これだけの数をまともに相手をしていては日が暮れてしまう。僕が暴れまくって数を減らすしかない。魔法のバッグから『着弾する火種』を取り出す。

取り出した装備を構えて密集してる場所に向かって撃つ。

バシュン!バシュン!バシュン!

赤い火種が生まれ容赦なく敵に飛んでいき火の海を作る。

『ギャアアアア~~~!』

火の海に飲まれた山賊どもの悲鳴が木霊する。それで敵味方に恐れが生まれるがこうでもしないとここは落とせない。殺戮者となってでもここは落とさないとならないのだから。

火の手が収まると黒く焦げた死体が大量に出るが気にも留めない。

ガオムやリフィーアやエルヴィンやミーティアらはあまりにも容赦のない殺戮に顔がこわばり動くことが出来ないようだ。ここまで敵に容赦のない僕など見せていなかったからな。

「ほらっ!敵の勢いが止まってるんだから攻めるんだよ!ここで手柄を立てないと一生一兵卒どまりだぞ!」

味方に発破をかける。

「は、はいっ!皆、行くぞ!」

『おおっ!!』

僕の声で緊張が和らぎようやく動き出した味方。ハッキリ言って遅すぎて呆れるしかない。しかし、この異世界でもあまり本格的な対人戦闘が行われていないということなのだ。

まずは入り口側から制圧を開始する。

味方には二人一組となり互いに援護できるように通達している、だがこれでも人数が足りないのですぐさま制圧とはいかない。砦の完全制圧まで時間はかなりかかるだろう。

僕は仲間の指揮をガオムらに任せて先に進む。

「敵だ!敵だ!野郎ども、皆殺しにしろ!」

「「「おうっ!」」」

進めば進むほどに山賊どもはどこからともなく沸いてくる。山賊というが薄汚れた格好をしているのはほとんどいない。山賊のくせに資金が潤沢なのはまったくもっておかしい話だ。

「テメェ!ここを攻めて何の得がある!」

山賊らは乱暴に言い放ってきた。

何の得がある?か。そりゃあ色々と得がある。実りは多いし交易の要所でもあるこの場所を手に入れることで職業貴族として申し分のない好条件となる。こいつらは商人らから通行税を取ることしか頭に無かったからこの土地の本当の価値を知らないのだろう。教える気はない。

出来る限り捕虜を取って労働所送りとしたいがこの分ではまだ降伏させるという選択肢は出しても拒否されてしまう。

仕方がない、さっさと数を減らせてもらおう。

「オイ、返事をしろ!」

「うん、わかった」

『着弾する火種』を構えて撃ち放つ。赤い火種が敵に飛んでいきすぐに破裂、凄まじい火を生み出す。甲高く響く絶叫と悲鳴、そして人の焦げる匂い。後に残るのは無残な死体だけ。

「(やりたくもないけど、やらないとね)」

僕はもう一人の僕の願いを聞き届けてこの異世界に渡ってきたのだ。彼の願いはまだ果たされていない。あの馬鹿勇者共のこともそうだしもう一人の僕を抹殺した連中にはしかるべき罪がある。

それを果たすまでは生き残らないとならないし力が必要なのだ。

そうして、感情を殺して山賊どもを機械的に殺していった。
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