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第1章
196話 エルヴィンとアルムの調査 Ⅰ
主君ユウキ男爵の命を受けてエルヴィンとアルムは連れてきた兵士らと共にこの地域で通行税を勝手に取っているマーレル家の調査を開始したのだが。
「「どうしたものかなぁ」」
二人揃って命令に悩んでいた
エルヴィンもアルムもまだ一兵士的な立場であり主君の命にとやかく言える立場ではなかった、敵陣に入り込み情報を得るのは兵士の初歩であり任務として受けるのは初めてだった。
だからといってこれが気楽にこなせる任務ではないことは二人揃って理解していた。戦においてはいかに敵勢力の情報を得ることが戦局を左右する例などいくらでもあるからだ。初任務とはいえその重要な作戦の一端を担うということが若い二人にとって今後の立ち位置を左右するであろう任務だということを。
主君ユウキにはなにがしかの考えはあるみたいだがまだ敵の正体が明らかになっていない以上諜報活動は必須、その上で二人はまだ新兵とさして変わりがないことに気づいた。
「諜報活動、聞こえはいいけど。要するに兵士としては初歩の任務だよね」
「そうだね。ある程度の風聞は入っているけど」
「でも、今後身を立てていくなら失敗できない」
「そうだな。出来うることならば自分らの力だけで解決したいよ」
この地域において勝手に通行税を取るのは冒険者ギルドと貴族らの協定で禁止されている、それを知らない相手ではないだろうけど跡取りが凡愚なために利益に目が眩み独断でやっている可能性もある。
エルヴィンは姉が主君に嫁ぐのでその従士長として、アルムは姉がスフィア夫人から派遣されており重用されているので、二人の顔に泥を塗らない活躍をしたいのだ。
とにもかくにも自分らの主張した作戦通り、なにがしかの結果は必要だ。幸い換金可能な元手は十分にある。これをうまく使い調べていくことにしよう。
二人は兵士らを連れて近辺の村などに聞き込みに行くことにした。
「凡愚だとは聞いてたけどこれほどとは……」
「だな。本当に世襲貴族なのか?ここまで酷いと潰されてもおかしくないよ」
この辺りの村々に聞き込みに来た二人だがマーレル家の状況は想像を超えて酷かった、年齢は自分らより少し上程度なのに相当な散財を繰り返していたのだ。
貴族同士の付き合いならまだ理解できなくは無かったが他の使い道が問題だった。正妻をほっぽり出して商売女への入れ込み、商人相手への賭博、それらへの金品の買い込み等。典型的な破産者だった。当主が戒めるべきことなのだがその本人が病身の身なので気弱となりもはや歯止めがかからなくなっている。
忠誠ある家臣はとうに離れて野盗山賊まがいの連中が幅を利かしているそうだ。それが近辺の村々を調査し得られた情報だった。
さて、どうしょうか。
「直接脅してやめさせようか?」
「それも手だけど」
手に入れた情報だけでもこの家は危ないと思えるほどだが。二人はまず接触してみることにした。
「どちらさまですかな?」
皆を連れてエルヴィンとアルムはマーレル家本家の屋敷まで来ていた。出迎えてくれたのは老齢の男性だった。二人はまず自分らの名前と、そして所属を言う。
「我々はアッドナイト地方を統治することをギルドから命じられているトヨクニ男爵家の者です。実は」
領地の境界線近くで勝手に通行税を取っている者らがマーレル家の記章を有しておりました。これについて確認したいことがございます」
「そう、ですか」
老人は屋敷の中へと案内してくれる。
「初めまして。マーレル家当主のゴドウィンです」
そこには、ベッドに臥した男性がいた。
「初めまして。トヨクニ家家臣のエルヴィンです」
「アルムと申します。今現在次期当主でご子息がなにをしているのか理解しておりますか」
「ええ…」
勝手に通行税を取っていること、商業路を封鎖していること、など。それらは明確な協定違反であることは理解しているようだ。一刻も早くそれらをやめさせるように強く言う。
「残念ながら我が息子は無法者と手を組んでおりもはや手が付けられませぬ」
病身の身である自分にはどうしようもないと。
だが、止めてもらわなければならない。我が主は相手がだれであろうと容赦しない方だ。先の山賊討伐においては最低限の捕虜を取っただけでほとんどを殺害せしめた。
『捕虜は出来る限り少なくする』
スフィア夫人から借りた兵士らの前でユウキはそう宣言した。
元々が貧民の集まりであり捉えても罪人として強制労働送りになる、加えて少ない食料を食う存在だった。反抗的でありいつ反乱を起こすのか分からない連中を無駄に確保する必要性は無いとして退路を断ったうえで一掃したのだ。
『部権者ギルドの判断を仰がないのですか?』
『奴らの罪状は明確すぎて取り扱いに苦労する、解放するにしても数が多すぎる』
『では、出来る限り死地に追いやると』
『生かしておいても無駄なだけ、情を持つだけ無駄』
そうして、ユウキ様は先頭に立ち殺害を始める
『ギャァァ~!お、おた、お助けを!!』
『お前たちは生きているだけで迷惑なんだ』
山賊らが阿鼻叫喚の悲鳴を上げながら逃亡しようとするが背後から魔術の武器による容赦のない攻撃を食らいひたすら死体が積み上がっていく。ユウキ様の頭の中には助命する考えはどこにもなかった。
そうして、最低限の捕虜以外は軒並み死体となった。
山賊らには重い罪があったのだがだからといってここまで酷く殺されるような存在ではなかったはずである。ユウキ様は彼らの言葉など一切聞く耳を持たず抹殺した。
『各員、死体の処理を』
『……』
『命令だ』
『は、はいっ!』
ユウキ様の命令で死体の片づけを行うが嗚咽を漏らしてしまう者らが続出した。ここに来ている大半が実戦経験がない新兵、しかも若いときては無残な死体を片付けるのに嫌悪感があるのは当然だった。
マーレル家の当主は悪い人間ではないと思うが見つかった相手悪すぎる
自分ら二人はマーレル家の跡取りの末路を考えた。まともに生かしておくとは考えられない、おそらく周囲への見せしめという意味で扱われるだろう。
「出来る限り早くどうにかしないと無残な末路を辿るよね」
「そうだね。ユウキ様は武力だけではなく知略にも長けているから」
一刻も早く大人しくさせないと殺害されかねない。我が主は相手側に非があるなら貴族家の跡取りだろうと殺害せしめても問題ないと方なのだから。
ともかく、なんとかして接触しないと!
「「どうしたものかなぁ」」
二人揃って命令に悩んでいた
エルヴィンもアルムもまだ一兵士的な立場であり主君の命にとやかく言える立場ではなかった、敵陣に入り込み情報を得るのは兵士の初歩であり任務として受けるのは初めてだった。
だからといってこれが気楽にこなせる任務ではないことは二人揃って理解していた。戦においてはいかに敵勢力の情報を得ることが戦局を左右する例などいくらでもあるからだ。初任務とはいえその重要な作戦の一端を担うということが若い二人にとって今後の立ち位置を左右するであろう任務だということを。
主君ユウキにはなにがしかの考えはあるみたいだがまだ敵の正体が明らかになっていない以上諜報活動は必須、その上で二人はまだ新兵とさして変わりがないことに気づいた。
「諜報活動、聞こえはいいけど。要するに兵士としては初歩の任務だよね」
「そうだね。ある程度の風聞は入っているけど」
「でも、今後身を立てていくなら失敗できない」
「そうだな。出来うることならば自分らの力だけで解決したいよ」
この地域において勝手に通行税を取るのは冒険者ギルドと貴族らの協定で禁止されている、それを知らない相手ではないだろうけど跡取りが凡愚なために利益に目が眩み独断でやっている可能性もある。
エルヴィンは姉が主君に嫁ぐのでその従士長として、アルムは姉がスフィア夫人から派遣されており重用されているので、二人の顔に泥を塗らない活躍をしたいのだ。
とにもかくにも自分らの主張した作戦通り、なにがしかの結果は必要だ。幸い換金可能な元手は十分にある。これをうまく使い調べていくことにしよう。
二人は兵士らを連れて近辺の村などに聞き込みに行くことにした。
「凡愚だとは聞いてたけどこれほどとは……」
「だな。本当に世襲貴族なのか?ここまで酷いと潰されてもおかしくないよ」
この辺りの村々に聞き込みに来た二人だがマーレル家の状況は想像を超えて酷かった、年齢は自分らより少し上程度なのに相当な散財を繰り返していたのだ。
貴族同士の付き合いならまだ理解できなくは無かったが他の使い道が問題だった。正妻をほっぽり出して商売女への入れ込み、商人相手への賭博、それらへの金品の買い込み等。典型的な破産者だった。当主が戒めるべきことなのだがその本人が病身の身なので気弱となりもはや歯止めがかからなくなっている。
忠誠ある家臣はとうに離れて野盗山賊まがいの連中が幅を利かしているそうだ。それが近辺の村々を調査し得られた情報だった。
さて、どうしょうか。
「直接脅してやめさせようか?」
「それも手だけど」
手に入れた情報だけでもこの家は危ないと思えるほどだが。二人はまず接触してみることにした。
「どちらさまですかな?」
皆を連れてエルヴィンとアルムはマーレル家本家の屋敷まで来ていた。出迎えてくれたのは老齢の男性だった。二人はまず自分らの名前と、そして所属を言う。
「我々はアッドナイト地方を統治することをギルドから命じられているトヨクニ男爵家の者です。実は」
領地の境界線近くで勝手に通行税を取っている者らがマーレル家の記章を有しておりました。これについて確認したいことがございます」
「そう、ですか」
老人は屋敷の中へと案内してくれる。
「初めまして。マーレル家当主のゴドウィンです」
そこには、ベッドに臥した男性がいた。
「初めまして。トヨクニ家家臣のエルヴィンです」
「アルムと申します。今現在次期当主でご子息がなにをしているのか理解しておりますか」
「ええ…」
勝手に通行税を取っていること、商業路を封鎖していること、など。それらは明確な協定違反であることは理解しているようだ。一刻も早くそれらをやめさせるように強く言う。
「残念ながら我が息子は無法者と手を組んでおりもはや手が付けられませぬ」
病身の身である自分にはどうしようもないと。
だが、止めてもらわなければならない。我が主は相手がだれであろうと容赦しない方だ。先の山賊討伐においては最低限の捕虜を取っただけでほとんどを殺害せしめた。
『捕虜は出来る限り少なくする』
スフィア夫人から借りた兵士らの前でユウキはそう宣言した。
元々が貧民の集まりであり捉えても罪人として強制労働送りになる、加えて少ない食料を食う存在だった。反抗的でありいつ反乱を起こすのか分からない連中を無駄に確保する必要性は無いとして退路を断ったうえで一掃したのだ。
『部権者ギルドの判断を仰がないのですか?』
『奴らの罪状は明確すぎて取り扱いに苦労する、解放するにしても数が多すぎる』
『では、出来る限り死地に追いやると』
『生かしておいても無駄なだけ、情を持つだけ無駄』
そうして、ユウキ様は先頭に立ち殺害を始める
『ギャァァ~!お、おた、お助けを!!』
『お前たちは生きているだけで迷惑なんだ』
山賊らが阿鼻叫喚の悲鳴を上げながら逃亡しようとするが背後から魔術の武器による容赦のない攻撃を食らいひたすら死体が積み上がっていく。ユウキ様の頭の中には助命する考えはどこにもなかった。
そうして、最低限の捕虜以外は軒並み死体となった。
山賊らには重い罪があったのだがだからといってここまで酷く殺されるような存在ではなかったはずである。ユウキ様は彼らの言葉など一切聞く耳を持たず抹殺した。
『各員、死体の処理を』
『……』
『命令だ』
『は、はいっ!』
ユウキ様の命令で死体の片づけを行うが嗚咽を漏らしてしまう者らが続出した。ここに来ている大半が実戦経験がない新兵、しかも若いときては無残な死体を片付けるのに嫌悪感があるのは当然だった。
マーレル家の当主は悪い人間ではないと思うが見つかった相手悪すぎる
自分ら二人はマーレル家の跡取りの末路を考えた。まともに生かしておくとは考えられない、おそらく周囲への見せしめという意味で扱われるだろう。
「出来る限り早くどうにかしないと無残な末路を辿るよね」
「そうだね。ユウキ様は武力だけではなく知略にも長けているから」
一刻も早く大人しくさせないと殺害されかねない。我が主は相手側に非があるなら貴族家の跡取りだろうと殺害せしめても問題ないと方なのだから。
ともかく、なんとかして接触しないと!
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