解体の勇者の成り上がり冒険譚

無謀突撃娘

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第1章

200話 消火作業という名目の罪状公開

エルヴィンとアルムら兵士たちを引っ張って倉庫街に急行する。そこでは確かに大火事が起きていた。

「誰か、早く、早く火事を!」

様々な人が大騒ぎをしている。このくらい時代においても鍛冶は脅威、消火に際する技術も知識も不足していた。

「ご安心ください。僕たちは冒険者ギルドの者です。迅速に火事を消して見せましょう」

騒ぎ立てている周囲に宣言をして、っと。早速火事の現場を見てやるべきことを行う。

「「何ですか、これ?」」

取り出したのは大量のバケツに入った砂だった。砂程度など何の役に立つ?そう思うかもしれないが、水源が無い場合や遠くにある場合などでは消火作業に必要なのは砂なのだ。これを撒くことで結構消火作業ができる。

周りがチンプンカンプンなのを無理矢理動かして砂の入ったバケツを運ばせる。そして、中に突入する。

「あららら~」

中の様子は…、予想どおりだった。

一か所から猛烈な火災が出ていて周囲に煙を撒いている、それだけだ。他の場所には火はあまり移ってない、計算通りと言えばそれまでなんだけど。

ともかく、消火作業・と、行きたいところだが不正を働いてる連中の罪を暴く必要があるのでバケツを持って待機している皆にバケツを下ろすように伝えてから、

「運び出して」

『え!?』

皆が呆ける。

そりゃそうだ、火災が目の前で起こってるのにそれを放棄して中のモノを運べという感覚こそがおかしい。火の勢いが強く今にも燃え盛りそうな火災だが僕から見ると「ボヤ」程度のモノだ。こんな火など即消せるがそれ以上にやることがある。

「財宝が焼けないように外に運ぶ!」

脅すように命じる。

『は、はいぃぃ~~』

そうして皆は命令通りに中の財宝を外に運び出し始める、中にあった品物が続々と運び出されると外にいた連中が大騒ぎを起こした。

「待て!そこは我らの倉庫だ!即座に行動を中止しろ!」

数人の男性がみんなを止めるように言い出す。倉庫の持ち主なのだろう、だが。今現在火事が起こってるので消火作業をしなければならないことは確実。僕はそいつらを挑発するかのような言葉を吐く。

「今現在この倉庫の中では火事が起こっています。周囲に火の手が及ばないよう消火作業中であり中の財宝が焼失しないように運び出しているのです」

「それは我らが行う!」

「で、何で外をうろついてるので?」

「そ、そのようなことは関係なかろう」

「火事、消せないんですよね?」

「う、ううっ…」

この貴族共で消せる程度の火事であればもうすでに鎮火してるであろう、それなのに周囲をうろついていたのは中にある財宝を外に出せば不法蓄財の責任を問われるからだ。消火しようにも僕が用意した火事は特殊なので手順を守らなければ消火不可能。ただひたすら水をかけても消えないからだ。

そのため、何とか消火しようにも打つ手がなくかといって放置できるわけでもなく、外をウロウロしていたのだ。

消火はちゃんとやりますよ、中にある品物を全部外に出した後にね!え、黒い?確かに僕は今まで黒い考えや行動をすることは避けていたがそれは勇者とかいう立場と建前があったからなのだ。あの馬鹿勇者共と縁を切るまではひたすら潔白にしておく必要があり足元をすくわれないためである。それから解放された今となっては陰謀策謀を練って行動することが出来る。

歴史的人物が白とは限らないからだ。これから僕を頼る人間を確保し使い養うためには敵となる存在は蹴落とすだけ。悪事を暴かれる相手に同情はしない、この異世界では。

そうして、消火作業という名目の元で財宝が多数外に運ばれる。

「よし、これで財宝類は外に出したんだね」

「ええ、ですが。これはどうしたものなのでしょうか」

「これ、明らかに不法蓄財ですよね」

アルムとエルヴィンが嫌いな顔をしていた。他びだした品々がどう考えても家格と釣り合わないからだ。この分では悪辣な手で財宝を収集したのだろう。

群がっている人々の中に明らかに憎悪を見せている一団と驚きを隠せない一団がいる。前者は先ほどの通りだが後者冒険者ギルドの職員らだった。

「何なのですかこの品々は!申告されている所持財産を超えておりますよ!」

これは一体どういうことなのか!最初こそ黙っていたが明らかに多い財貨を外に出されてどのようにして入手したのか問い詰め始める。

「冒険者ギルトの職員には何の関係も無かろうが!」「冗談もいい加減にして下さい!」

互いに罵詈雑言を浴びせながら険悪な状態になるがその間にも火の手は強まっている。あらかた財宝は確保したので消火作業に入る。

まず、持ってきた砂をそこら中にぶちまける。これで大分火の手が収まる、が。大量の砂をぶちまけても火はそう簡単には消えない。そこで、原始的ではあるが空になったバケツを全員に持たせて水場まで一直線に並べさせて横渡しで水を運ばせる。古典的なバケツリレーだがこのような知恵ですらこの異世界は有していない。

そうして、火は徐々に収まり鎮火した。それが終わるとすぐさま他の場所に行き同様の手口で鎮火していく。

「「・・・」」

消火が終わってもなお貴族と職員がにらみ合っている。それは、外に出された財宝が原因だった。不法蓄財の証拠を確保したいからだ。両者は視線で火花を散らしながら財宝を確保しようとするが民衆の前であり強引な行動が出来ないようだった。

ヤレヤレだな。

「コレとアレ、そっちは何なのですか?申告している品々とは違うようですが」

「そんなことは何の関係も無かろう!これは我々の家に伝わるものだ」

「その割には盗難や強奪にあった品と酷似しているようですが」

「貴様らに報告されたのは贋作であろう」

互いに理由を言い合うが事の進展が見られない。

「はいは~い。そこまでにしてもらえるかしら?」

穏やかのんびりした女性の声が上がった。

「「ギルド支部長殿!?」」

どうやらこの一帯を束ねるギルド支部長がお出ましのようだ。これで何とかなるか?そう思ったらなぜかこちらに武装した連中を向けてきた。

「?なんか、用件があるの」

「あなたねぇ~、ギルドの許可も無く火事を消化したって人はぁ~」

メッ、と可愛く叱ってきた。

「とりあえず、現場の証拠品の確保と。あなたと仲間は拘束させてもらいますぅ~」

彼女は微笑みを浮かべながら、耳元でささやいた

「(証拠品を公然の場に持ち出したこと、誠にありがとうございますぅ~。ですがぁ~、ちょっとばかり状況を把握したいのでぇ~、こちらに出頭願います~)」

この人、出来る人のようだ。そう判断して僕と仲間は大人しく縄に繋がれることにしたのだった。
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