解体の勇者の成り上がり冒険譚

無謀突撃娘

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第1章

205話 基本構築

合同の模擬戦が終わり大まかに兵隊の順位分けが終わった。やはりというか秘めた素質がいかに高かろうが低かろうが適切な訓練を受けなければそれは目覚めることがないということをエルヴィンやアルムで証明することになった。

上中下に分かれるが小規模な隊をいくつか編成することが必要なのでミーティアさんらに頼んで隊の区分けを行ってもらうことにする。正直集まった皆を見たが「ドングリの背比べ」に近くてさして差などない事が分かったからだ。ある程度全員の訓練の度合いは見えたのでスフィア夫人の所から来ている者が多いことを考えてミーティアさんに隊を組んでもらう

で、僕はというと兵隊の最重要項目である『兵站』の構築を行う。どんな精鋭でも水食糧が尽きれば終わりだ。なので食料事情をどうにかするのが大切。米はこの辺りではまだお高いので麦を主食に据えて多少の野菜と肉を購入する。まだ養鶏は数が足りなさすぎるので軌道に乗るまで繁殖一本である。

この異世界ではまだ家畜化ということがされている場所はほぼなく牛や馬ですら数不足なのだ、持ってこられる肉は安肉で臭みと筋が強いことは間違いない。そこら辺は調理技術でどうにかするしかないだろう。

その後、輸送路と馬車の往来の度合い、購入資金を計算しつつ書類を作成した。

しばらくして、ライク家などから支援物資が届いた。

「これがリストです」

シュニ―義姉さんが来てくれた。

「鎌鉈鍬鍬など農具から麦までこちらで見繕いました」

「ありがとうございます」

「いえ、トヨクニ男爵様のお力になれば幸いです」

笑顔なのを見ると上手く商売ができているようだ。

「麦のまま仕入れるのは原価を下げるためですよね」

「ええ」

粉にした方が遥かに高く売れるのだが今現在そこまで資金に余裕はないからだ。申し訳ない気持ちになるがいかんせん新らしく生まれた領地なのでこれは仕方なかった。

「お気になさらず。ライク家に侵略してきた敵を追い返したのですからむしろこちらの方が恩返しするべきですし」

彼女からすると優先的に買ってくれてくれるのだから損などないと。だが、まだ不安があった。

「殺した農夫らの家族はどうなりましたか?」

先の戦で殺した分家や納付らの家族の問題を切り出す。

「それについてはもう済んだことですし」

恨みが無いわけではない、しかし、遅かれ早かれどちらかが出ていくか殺し合いに至るしかなかったと。恨みを言う家族も少なからずいたが麦粉による利益を優先的に分けて時間をかけて話し合えば解決可能なのだそうだ。

「今現在ライク家では麦粉による利益が大きく周囲の豪農を上回るほどになっております」

「そうですか」

改良した水車は立派に仕事をしていて安心できると。麦粉増産に向けて農地の開拓や生産率向上に忙しく過去にかまっている余裕はないそうだ。

「出来ればあの水車と同じものがいくつか欲しいのですが」

あの水車は要の部分を何とかすれば問題なかったが新規に立てるとなると専門の職人を呼ばなくてはならない。長期間故障無しで動く水車など貴族家でも持っていない。僕が技術を教えればどうにかなるが冒険者ギルドから迂闊に発言するなと警告されている。

もう少ししたら時間に少し余裕ができるのでその時に技術を教えることを約束する。そうしてシュニ―義姉さんは帰っていった。

んで、肝心の肉野菜なのだが。

「野菜は各所に虫食い、肉はウルフ肉のみか」

「ユウキ様、こりゃあきついですね」

来ている人間の中で調理担当の者はぼやいた。日数もそれなりにかかり出来る限り安値という条件ならばこうなるのは必然だった。見たくも無い代物だがこれがこの領地の資金の限界という現実が見えてしまう。原石販売の利益はまだ収益化してないので一円も無いからだ。

とにもかくにも、食はすべてに幸福と不幸を与える、ウダウダ言う前にやってから不満を言えばいい。

まず野菜だが虫食いの個所は取り除き乱切りにする、肉は臭み取りのため香草を加え筋を柔らかくするために重曹(重炭酸ナトリウム)を加え煮込むしかない。野菜と肉を一緒に塩味で煮込み魚醤油などを加えて完成。麦は鍋で焚いて麦飯にする。これでメニューは完成。

なお、炊き出しではリフィーアやエリーゼ、エーディンやアリーナたちも加わり一緒にやる。

『お、結構いけるな』

とのことだった。

先の山賊討伐戦で捕虜扱いとした山賊や来ている職業貴族の子弟からするとそれなりに御馳走だった。結構貧乏な家も多いんだよね。現代だと即閉店扱いの料理だがこのぐらいの食事ですらありつけない人も多いという事実はやはり異世界なのだと思うが傲慢極まる貴族らがどんな食事をしているか気になるところだ。

各種のことが終わると書類仕事が待っていた。

「スフィア夫人から書類が来ています」

「どれどれ」

「近々原石の販売会を開きたいそうなので纏まった量が欲しいとのことです」

寄り親だしこれぐらいは当然だな、あとは。

「勇者と対談?」

よくわからない言葉が入っていた。あの勇者らと対談?もうすでに決裂しておりどうしようもないと思うのだが何か考えがあるのだろう。産出された原石を大量に魔法のバッグに入れてエルヴィンらを連れてユーラベルクに戻った。

そして、スフィア伯爵夫人の本屋敷で先に争った馬鹿勇者らと対談になるが。

『『………』』

お互いに殺気だけがあった。

僕はどうとでもよかったが神官のリフィーアや魔術師のエリーゼ、貴族家の子供であるエルヴィンやエーディン、豪農出身のアリーナまで同席させての話し合いだった。なぜここまでするのだろうか?スフィア夫人はいつものニコニコ顔でありどうも意図が読めない。

そうして、対談が始まる。
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