女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ

文字の大きさ
51 / 72

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』(51) センセーショナル 格闘ヒロイン。

しおりを挟む

これから殺伐としたリングへ向かおうとする少女(ASAMI)が、レーザー光線がジグザグに飛び交う中をアップテンポのリズムに乗って、なんと純白のセーラー服に身を包み典型的女子高生スタイルで入場してきたものだから観ている者は度肝を抜かされた。

9年前のNOZOMIほどの派手さはないが
麻美は落ち着いていた。
その鋭い目線はまっすぐリングにいる迫田宗光に据えられていた。

(迫田さん、アナタは「女の子なんか」と、日頃から女性を見下している。ならば、こんなセーラー服を着て入場してきた女子高生に負ける姿を晒し辱めを受ければいいわ。今日は、わざと相手が女の子であることを意識させるためにこの姿で入場したの)

NLFSは格闘技だけでなく、モデル活動等の芸能活動も行っている。
まだ、実際にモデルとして活動しているのはNOZOMIとシルヴィアだけだが
麻美も恐ろしいほどの美少女だ。
いずれ、その舞台にも上がるだろう。

セーラー服でやって来たASAMIが、ロープを手に取ると恐るべき跳躍力でそれを飛び越えリングインした。
ハーフパンツに上半身裸で戦闘態勢にある迫田と、セーラー服姿の少女がリングで向かい合い視殺戦をしている光景は異様である。このふたりはこれから本当に拳を交えるのか?

(実況)

「これは宿命を感じます!今から9年前、ASAMIの父、堂島源太郎はこのG主催格闘技戦のリングに立ちました。
相手はASAMIが所属するNLFSを立ち上げたNOZOMIでした。父を倒し亡きものにしたNOZOMIの元でトレーニングを積み念願のデビューを果たします。天国の堂島源太郎よ見てくれ! 息子龍太に続き、娘のASAMIもアナタが戦ったこのリングに帰ってきたぞ!」


麻美が自らセーラー服に手をかけた。
白い上着に紺のプリーツスカートをさっと脱ぎ捨てた。


ウオオオオオオ!

場内がどよめいた。


NLFSカラー真紅の生地に豹柄の水着。
ビキニではなくワンピース水着ではあるがハイレグで16才とは思えぬセクシーさに誰もが息を呑んだ。

美しき女豹!



(お、俺はこんなのと戦うのか! うそだろ、、本気なのか?)

迫田宗光は一連のASAMIのショー?に圧倒されていた。

計量では迫田 175cm 69.5kg
ASAMIは 174cm 62kg
身長こそあまり変わらないが、重さはかなり違う。それでも、ASAMI側からの希望でこの試合は実現した。
5分3ラウンド、最大延長5ラウンド。
総合ルールで行われる。


(実況)

「この美しき少女。故堂島源太郎の愛娘に大観衆から大きな声援が飛び交っています。デビュー戦から凄い人気です。これは選ばれたものしか出せない華なのか? スーパーヒロイン誕生の予感がするのは私だけでしょうか? 今ゴングが鳴りました。ファーストコンタクトはどうなるのか!?」


迫田宗光は麻美のオーラに萎縮していた。まさか、リングという戦場にセーラー服で入場し、こんなセクシーな豹柄の水着で向かって来られるなんて思ってもいなかった。幾分、足が震えているのを自覚した。まるで、戦う前から呑まれているようでもある。

迫田は必死に落ち着こうとした。

麻美は空手の構え?から、迫田の周囲をぴょんぴょん飛び跳ねている。
迫田の目の前で豹柄の水着、美しき女豹が妖しく躍っている。

迫田も拳を構えジリジリと摺り足。
柔道ともボクシングともつかぬ低い構えだ。段々落ち着いてきたようだ。
迫田は早く麻美を捕まえてしまいたかった。捕まえて投げ捨て最後は絞め技か腕ひしぎに極めてしまうのが作戦なのだ。慎重に構えた。

迫田がジリっと前に出てきた。

その時だった。

目の前から麻美が消えた!

次の瞬間、足元に衝撃を感じた。


飛び跳ねていた麻美が、あり得ない位置から迫田に高速タックルを決める。
不意をつかれ、否、あの位置からまさかタックルが来るなんて思いもよらず迫田は防ぎ切れない。
テイクダウンを取られた迫田が逃れようとすると、女豹が飛び掛かってくるのが見えた。

恐るべきスピード。

気が付くとマウントを取られいきなり女豹の拳が迫田を襲ってきた。

ズゴッ!

一発目の拳は迫田の顔面に炸裂。
迫田は必死に腕でガードした。

普通、こういう体勢になれば相手に隙を与えず一気にパンチの乱打で決めていまうものだが、麻美のそれは一発打てば拳を止め相手の様子を見ている。
そして、空いている部分に狙いを定めると二発目、三発目と拳を直角に打ち下ろす。その目はまるで楽しんでいるかの如く、獲物に食らいつくネコ科の猛獣、そう!女豹の目だ。

仰向けに倒れている迫田は、自分の身体に馬乗りになった美少女が拳を振り落としてくるのが見えた。
必死にガードするも、少女は自分の様子を見ながら的確に打ってくる。
自分の身体の上で女豹が睨んでいる。

(もう、どうやっても逃げられない...)

レフェリーは迫田の顔面が血に染まってきたのが見えた。間に入って止めようとするより先に迫田が馬乗りになっている麻美の膝を叩いた。

タップである。

麻美は迫田宗光の身体から離れ立ち上がると両手を掲げレフェリーから勝ち名乗りを受けた。

リング中央で血まみれで倒れている迫田の元にセコンドが駆け込んできた。


ウオオオオオオ!!

場内から地鳴りのような大歓声が渦巻きそれはしばらく続いた。


(実況)

「1ラウンド2分16秒。これは驚きました! まだ高校一年の女子高生ファイターが、一発の高速タックルからのマウントパンチで大学一年の男子選手を倒しました。敗れた迫田宗光は去年の高校生MMA王者であり柔道でも全国大会3位という猛者です。それを全く問題にしません。恐るべき少女です!我々格闘技ファンは、センセーショナル格闘ヒロインを目撃したのです」


佐知子は勝ち名乗りを受けている娘を見ながら震えていた。
心配で心配で夜をも眠れずこの日を迎えたがそれが杞憂に終わった?
否、自分の娘ながら怖さも感じた。

(こ、これが、、麻美なの? ほ、本当にわたしの娘なの?...)

佐知子は娘が無事であってくれという心配な気持ちと共に、心のどこかで、男子の厚い壁に阻まれ “女の子は男子と戦うもんじゃない! ”  と、現実を思い知ってほしいと期待していたのだ。


龍太も佐知子同様、妹の圧倒的勝利に驚愕していた。

(麻美! そんなに強くなってたのか?
迫田は高校時代の全国柔道大会で俺に勝った男。それを問題にしないなんてお前は本当に俺の妹なのか?)

冷静に考えれば迫田は柔道は強いが打撃には全く対応出来ていない。
MMA高校王者といっても、あれは興行のために格闘技経験がある高校生の寄せ集めのトーナメントに過ぎない。
総合ルールでの迫田は未熟だと思う。
そうであっても、まだ16の女の子である麻美が彼を倒したのは驚きだ。
驚き? 否、違う。

ショックなのだ。

龍太は嫌な予感がする。

自分が格闘技をやっていく上で、妹はライバルとなるのではないか?

堂島麻美ことASAMIは、自分にとって避けては通れない壁になる?

いつか俺と妹は戦う運命にあるのではないか? 宿命の兄妹、、、。

(そんなバカな...。 ふたりは血の繋がった兄妹。そんなことになったら、お父さんはあの世で嘆くにきまってる。そしてお母さんも...)


龍太はチラッと横目で母の顔を見た。


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!

コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。 性差とは何か?

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妹の仇 兄の復讐

MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。 僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。 その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...