悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番

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21 手に入れたのは彼氏じゃなくて優秀な手下(×)兄

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 私たちは、来賓の方々の休憩室として用意しあった部屋に向かった。
 部屋に着いた途端に、私は、ルジェク王子に向かって言った。

「ルジェク王子殿下、先に言っておきますが、私は、リオン王子殿下に口説かれてなどおりませんわよ? 先程の行為は、ルジェク王子殿下の評判を下げる行為ですので、今後は、決してなさいませんように」

 元々、リオン王子は、私に、平手打ちをされようとして、我が領と繋がりと持とうとしていたのだ。
 私を口説いていたわけではない。
 推しの評価を私のせいで下げるわけにはいかない。

 少し厳しく言うと、ルジェク王子は、肩を落として「それについては、反省している」と言った後に、私の両肩に両手を置いて、慌てたように言った。

「だが……フォルトナこそ、何を言っているんだ?! あんなに近付いて、甘い視線を向けられていて、口説かれていない?! しっかりするんだ、フォルトナ。あれは、口説かれていたんだ!!」

 おかしな誤解を……そう思っていると、すぐ近くにいたリオン王子も大きく頷いた。

「そうだな……私も口説いていたつもりだった。だからこそ、フォルトナに、素直に全てを打ち明けたのだ……」
「……は?」

 私は、思わずリオン王子を見た。
 この人は一体何を言っているのだろうか?
 むしろ、この王子様は、私ではなく兄を口説いていたように記憶しているが?!
 私が予想外の答えにポカンとしていると、リオン王子は続けて話をした。

「ルジェク王子殿下と、フォルトナ嬢が『婚約破棄』をしたという噂を聞いていたし、実際に話をしてフォルトナ嬢は、私が想像する以上に聡明で美しい女性だったので、婚約破棄の予定があるのなら、私の元に……」
「婚約破棄の予定など断じて、ない!!」

 ルジェク王子が、リオン王子の言葉を遮り、大きな声を上げた。
 カオスな状況になって頭を抱えていると、兄が息を吐きながら言った。

「フォルトナのような、美しい女性を一人にした責任は全て私にあります。ルジェク王子殿下とフォルトナは婚約破棄をするという噂もあり、リオン王子殿下がその噂を知っているのなら、フォルトナを口説かれても仕方ない話です。私の妹は、大変美しいですから……フォルトナの兄である私が責任を取る必要がありますね。フォルトナの兄であるこの私が!!」

 結局、兄が喜んで、責任を取ることになった。
 こうして、無事にリオン王子は、兄を国に呼ぶことが出来たし、ルジェク王子の評判を落とすことはなかった。






 そう、無事に解決したのだが……。

 現在、私は兄に腰を抱かれて、兄の隣に座りながら、セルーン公爵家の客間で、ルジェク王子と対峙していた。

「私と、フォルトナの婚約を、白紙に戻す?!」

 ルジェク王子が、兄を見ながら大声を出した。
 一方、兄は、落ち着き払って言った。

「はい。美しい妹は、リオン王子殿下からも求婚されて、さらには、あの様子を見ていた他国の王族や、高位貴族の方々からも妹へ結婚の打診が多くきております」

 そうなのだ。
 実はあの後、私と兄の機転を多くの他国の貴族が絶賛して、私に多くの婚約の申し込みが殺到してしまったのだ。

 兄は、ルジェク王子を見つめながら言った。

「殿下。文化交流祭での殿下の行動は、決して褒められた行動ではございません。陛下も今回、私と妹の機転に感謝されて、私たちに判断を委ねるとおっしゃって下さいました」
「父上が……」

 兄に言葉にルジェク王子が肩を落とした。
 推しのしょんぼりとした顔には心が痛むが、私も幸せな結婚がしたい。
 出来れば、本当に自分と合う人と結婚したい。

 兄は、「フォルトナの幸せのためならどんなことでもしよう!!」と言って、求婚を受けた人々と面談をする日々を送っている。そして、兄のお眼鏡にかなった人にだけ私は会っているので、正直、素敵な男性ばかりだ。
 非常に優秀な兄は、私がよりよい男性に嫁げるように、私の結婚プロデューサーまで引き受けてくれるらしい。

 兄はルジェク王子を見ながら、笑顔で言い放った。

「全ての決定権は、フォルトナとフォルトナの兄であるこの私にございますので、どうぞ、あしからず」

 私と兄は、ルジェク王子の馬車を見送った。

「兄上、ありがとうございました」

 私が兄を見上げて微笑むと、兄が私のおでこにキスをした。

「可愛いフォルトナのためなら、私はなんでもしよう!!
 幸せになってくれ、フォルトナ!!」

 私は兄を見上げて、心からの笑顔を見せながら笑った。

「はい、コルネリウス兄上♡」
「うっ……名前……もう一度呼んでくれ」

 もうしばらくは、手下(×)ではなく、兄と一緒に理想の結婚相手を探すことにした。
 そう遠くない未来に、私は大切な人の隣に立っているのかもしれない。









――――――――――



この後は、エンディングが分岐いたします。
お好きなキャラクターのエンディングにお進みください。
 m(_ _)m

※ルート選択※

○コルネリウス ルート
○ルジェク   ルート

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