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第5章 二コラルートを強制攻略!?
2 いい後輩?
しおりを挟むブランカと名前を呼ばれて、私は努めて冷静に尋ねた。
「どちら様ですか?」
平静を装ったつもりだったが、声が震えてしまった。
「あ~~震えてるの? 大丈夫。俺、君のこと好みじゃないし。そんなことより君が僕を呼んだんだろう?」
(手紙? 私は最近手紙なんて……もしかして!?)
そう思って私は恐る恐る顔を上げた。
「もしかして、あなたがニコラ・ロウエズ殿ですか?」
男性は面倒そうに言った。
「そう、正解。ところで、さぁ~~気が利かないな~~さっさとソファーに案内して、お茶とか出しなよ」
「こちらへ」
私はニコラをソファーに案内した後に、お茶の用意をした。
「どうぞ」
お茶を出すと、ニコラが座ったまま私を見上げながら言った。
「ねぇ、ブランカ。君、いつまでその姿でいるつもり?」
私は、ニコラを見ながら心を落ち着けながら答えた。
「卒業はしたいと思います。ですので、私のことはジェイドと呼んで下さいませんか?」
二コラは、カップに口を口を付けた後に言った。
「結構飲めるじゃん。期待してなかったけど、お茶くらいは入れられるんだ?」
「お口に合ってよかった。それよりも、私のことはジェイドと呼んで下さい!!」
私がニコラに注意をすると、ガチャガチャとドアノブを回す音がした。
『あれ? ジェイド、いないのか?』
ドアの外から、ランベール殿下の声が聞こえた。
二コラが私を見上げながら言った。
「ほら、鍵」
「はい」
私は小走りで生徒会室の扉を開けた。
「申し訳ございません、ランベール殿下……」
私があやまると、ランベール殿下が首を傾けた。
「どうした?」
するとニコラがソファーから立ち上がると、それはそれは美しく少し瞼を閉じながら反省していますと言った様子で言った。
「ついくせで、鍵をかけてしまいました」
ランベール殿下は、「ニコラ、先についていたのだな。待たせてすまない。なるほど、くせならしょうがない」と言って中に入った。
私は、はっとして床に散らばった書類を集めた。
「ジェイド、書類を落としたのか……大丈夫だったか?」
「はい」
ランベール殿下がほっとしたように「そうか、よかった」と言って今度は、ニコラを見た。
「一人か? 他に誰かいないのか?」
ニコラは困ったように言った。
「そうですね、懇意にしている方々はいますが、今年一年、学院生活を通じて適正のある人材を見極めようと思います。こちらにいらっしゃるジェイド殿のような……」
(あ、ブランカじゃなくて、ジェイドって呼んだ……そっちの名前も知ってたんだ……ニコラって二重人格?? さっきと別人だけど……)
私がニコラの態度の激変に首を傾けていると、ランベール殿下が驚いたように言った。
「慎重だな……だが、そうだな。ジェイドのような人材を見つけるのは大変だろうからな。ゆっくりと探せばいい。ニコラは4人での活動で問題ないのか?」
「はい。もちろんです」
人をあまり信用しないランベール殿下もニコラには好印象だった。
その後、遅れてきたアルフレッド殿下も、ニコラがすぐに仕事内容を理解し、的確に質問するのを見て『いい人材が入った』と嬉しそうだった。
私だけがニコラの二面性に怯えていたのだった。
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