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第5章 二コラルートを強制攻略!?
5 指導を受けて
しおりを挟む親切・丁寧・わかりやすい!!
ニコラは想像以上に有能だった。
父と兄と3人で、ニコラに交渉の指導を受けた。ニコラの説明はとても分かりやすく、何も知らない私でもわかるようになるほど完璧な説明だった。
「では、今日はここまでにしましょうか」
二コラは説明を終えて、見本となる書類綴りを閉じた。
父がすぐさまニコラにお礼を言った。
「ニコラ殿、ありがとうございます。では早速、書類を作成します」
「はい。明日、拝見します」
二コラが微笑むと、父と兄は早速、「お先に失礼します」と言って、交渉用の書類をまとめるために部屋を出た。
「ブランカ、お疲れ様~~」
二人きりになると、ニコラにいつものように抱きしめられたが、私は素直に「今日はありがとう」とお礼を言った。
「……は?」
お礼を言うと、ニコラが私を抱きしめる腕を緩めて、私をじっと見つめたので、改めてお礼を言った。
「だから、ありがとうございます。折角の休みなのに……リンハール家のために……」
そう、今日は学院はお休みなので、ニコラだって自分のしたいことをしたり、休めばいいのに、私たち家族を指導してくれたのだ。
だが、すぐにでも交渉は始まりそうなので、お休みの中、教えてくれて、しかも隣国との交渉がある一週間後まで家に泊まり込んで指導してくれるのだ。本当に感謝しかない。
すると二コラが私から離れて後ろを向いた。
「別に……」
てっきり何かを要求されるかと思ったが、ニコラは何も言わなかった。
(あれ……ニコラの耳赤い? 照れてる?)
思わず、ニコラの顔を覗き込むと、ニコラは真っ赤になっていた。
「あ……」
思わず呟くと、ニコラが顔を押さえた後に言った。
「な、何?」
「なんでもありません……」
なぜだろう、一日私たちのために懸命に指導してくれたり、素直にお礼を言ったら照れたり……私は少しだけニコラが怖いと思わなくなっていたのだった。
◇
次の日から一週間、ニコラは私の家から学院に行くことになった。
アルフレッド殿下たちには手紙で先に行ってほしいと、お願いしたが『絶対に迎えに行って話を聞く』と言っていつもより早い時間に迎えに来てくれることになった。
そして迎えに来てくれたアルフレッド殿下が不機嫌そうに言った。
「それで? 泊まり込むとは、どういうことだ!?」
どうやら隣国で新しい技術が開発されたことは二人には知らされていないようだ。
私はアルフレッド殿下とランベール殿下に事情を話した。
「そんな技術が……おめでとうジェイド!! リンハール家にとってはいい話だな」
私が説明した後に、アルフレッド殿下が嬉しそうに言った。するとニコラが二人に向かって真剣な顔で言った。
「もちろん、おめでたいことには変わりありません。しかし……正直に言いましょう。この技術で、リンハール家はかなりの財を築きます。そして、貴族間のバランスが崩れる可能性もあります。もしかしたら、リンハール家の跡取りのジーク殿だけではなく、ジェイド殿にも各方面から縁談が山のように申し込まれるかもしれません」
「え? ジェイドに……縁談?」
するとランベール殿下が声を上げた。
ランベール殿下は驚いているが、私に縁談の話が来ても受けることは不可能だ。
だが、兄にはこれからどんどん縁談の話が来るかもしれない。
そう考えていると、アルフレッド殿下がじっと私を見ていた。その視線がいつもよりもずっと熱くて、居心地が悪くなった。
そして説明が終わった頃、馬車は学院に到着した。
丁度、その日はアルフレッド殿下やランベールとは違う鉱石の授業だった。ニコラとも離れて、鉱石の授業の教室に向かうと、明るい声が聞こえた。
「おはよう、ジェイド!!」
「おはよう、クラウス」
私はクラウスの明るい笑顔にほっとしたのだった。
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