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第13話 知らせ
しおりを挟むジャガイモの可能性を探った俺は、馬車でアレクシアを送って行った。侯爵家に到着すると、アレクシアが俺を見ながら言った。
「テオドール、今日は美味しかったし、楽しかったわ。明日も楽しみね」
明日はアレクシアの両親の代理で演劇を見に行くことになっていた。俺も自分でも不思議なほど楽しみにしていた。
「そうだな! 気になる内容だし。明日は劇場で待ち合わせでいいんだよな?」
「ええ。寄るところがあるから」
「じゃあ、明日。おやすみ」
「ええ……おやすみなさい……テオドール」
俺は少し名残惜しく思いながら、侯爵家を後にした。
アレクシアを馬車で送った後に、家に帰るとルーカスが訪ねてきていた。
「テオ、待っていた!!」
「ルーカス!? どうしたんだ? 約束してたか?」
俺が首を傾けると、ルーカスが俺を見てほっとしたように言った。
「いや、悪い。だがどうしても今日中にテオに伝えたくて!!」
「なんだろう? どうした?」
俺は、ルーカスの前のソファーに座りながら尋ねた。
「今日、皆で集まって今後の方向性をもう一度話し合った結果、研究の方向性を変えることになった。みんなの意見を少しずつ取り入れ、以前の研究内容よりもずっとよくなった。テオ、感謝する!!」
わざわざそんなことを報告に来てくれるなんて、ルーカスだって忙しいだろうに義理堅い。
「それはよかったな」
俺が笑うと、ルーカスが「ああ」と笑った後に、真剣な顔で言った。
「今回の演劇はかなり感動的な物語らしく、婚約者と行きたいという者もいて、私は辞退することにした」
「なるほど。確かに感動する話なら恋人と行きたいよな……」
(おうし座の超人って、恋人と行きたい感動作って……恋愛系なのかな? どうしよう、ますます気になる……明日、アレクシアと見に行くのが楽しみだな~~どんな反応するかな、アレクシア)
俺がアレクシアの反応を期待していると、ルーカスが口を開いた。
「テオ、本当にすまなかった。当初の予定通り、明日は私がアレクシアと観劇に行こうと思う」
ルーカスの言葉を聞いた瞬間……
世界から……
色が……
――消えた気がした。
「あ……そっか……辞退……ルーカスが……」
俺はようやく、ルーカスがここに来た意味を理解した。
「なにより私が一般席で鑑賞すると他の者の迷惑になるし、警備の関係上許可できないと城の者たちに止められてな」
よく考えればわかることだ。
いくら学生と言えどもルーカスは王族。
一般席でなど見れるわけがない。
俺は下を向いたまま口を開いた。
「……明日は、開演時間の三十分前に――ボックス席用のエントランスで待ち合わせしています」
「待ち合わせ? 迎えに行くのではないのか?」
ルーカスが首を傾けた。
「はい。なんでもアレクシアには用事があるそうで、直接会場に向かうそうです」
「なるほど、わかった。では、テオ。迷惑をかけた。明日は私が行く」
胸が痛い
――そう思った。
だが、本来ならアレクシアはルーカスと行くはずだった。アレクシアもそれを望んでいた。
でもルーカスが行くことが出来ずに、両親に頼まれた大切な役目だったので、代理で公爵子息の俺が選ばれた。
(アレクシアにとって、喜ばしいことだ……俺はただの代理だ……)
俺は顔を上げて、笑顔で「いってらっしゃい」と言った。するとルーカスは笑って「ああ。行ってくる」と言った。
その後、ルーカスは自分たちの共同研究がどうなったのか丁寧に説明してくれたが、なぜかルーカスの話に集中できなかった。
胸の痛みが俺の集中力を欠いていたのは……明らかった。
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