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魔王さま、倒れる
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いつもは日没までに部屋へ引っ込むようにして
いるが、今日は馬車から降りた途端急に気分が
悪くなり ――
自室へ続く廊下を歩いている途中で呪いが切れ、
青年の姿に戻った。
「(ったく、どうしちまったんだ……うう” ――
めっちゃ気持ちわりぃ……)」
いつもは2~3分で到着するハズなのに、
10分経っても辿りつけない。
やっとの思いで辿り着いた2部屋手前の部屋の壁に
もたれかかるよう立ち止まり、
はぁ~~っと大きくため息をついた。
” ―― で、これからど~する? 俺……
もう、一歩だって歩けねぇ…… ”
さぁて、ど~したものやら……と、まるで人事のように
ぼんやり考え半ば途方に暮れ、立ち尽くしていると、
後方から ” タッ タッ タッ ――― ” と、
小走りに近づいてくる人の気配があって、
「あ、あのぉ ―――― 」
”やっべぇ……目ぇまで霞んできやがった……”
「―― あのぉ、どこかお加減悪いんですか?」
そう言って、あま~い花の香りをまとった
誰かが傍らで立ち止まった。
”あーー?
これで元気ハツラツにでも見えるかぁ?? ”
その誰かと視線が合う寸前で、とうとうエディは
意識を手放した。
*** *** ***
ほんの少し揺れた気がして、
エディは目を覚ました。
ぼやける視界には、見慣れぬ部屋の天井と、
何となく見覚えのある端正な顔立ちが見えた。
「……?」
「あ、良かったぁ ―― 気がつかれました?
お医者様は過労と軽いストレスだって仰っていました
ので、もう少し休んで行って下さい」
そうっと髪を撫でられて、ふと気づく。
自分を覗き込んでいる彼女の角度を考えると、
自分の左耳の辺りはこの娘の腹部になるはずだ。
「……?」
「どうか、なさいましたか?」
頭の下は、柔らかな生地のエプロンスカートで。
言うなれば、膝枕をされている……?
でもって彼女は……あ、あ、あ~~っっ!!
りーフぅぅ~~??
お、俺は、ど、どうしてこんな、事に……。
やっべぇー、完全に記憶がぶっ飛んでる。
「あ、あの……」
「……な、なんだ?」
うわっ ―― 俺ってば緊張のあまり、
声裏返ってるし。カッコわりぃぃ!
「あなたはランカスター城の南側通路で倒れたので、
私の一存では御座いましたが、このお部屋へお連れ
したんです」
それでどうして、キミに膝枕されているんだ?
そう、聞きたかったが上手く喋れねぇ。
「ほんとに良うございました。キャサリン姉様が
普通に休ませているより、膝枕の方が回復が
早いって教えて下さったんですよ」
キャスの奴ぅぅ……余計な事を!
でも俺は卑怯だ。
かなり元気も回復したと、離れていこうとする
リーフを引き留めた。
「ま、待ってくれ」
「え?」
「……わ、悪いが、もうしばらくこのままで
いてくれんか?」
「でも、私(わたくし)のような者でいいんですか?
ちゃんとした術師の方に――」
「構わん。頼む。このままで、いてくれ」
「……分かりました」
そう言えば、実年齢の姿で会うのは初めて
だったな。
じゃあ、それなりに接しなければ……
「キミの名を聞いても良いか?」
「はい ―― はし……じゃなくて、リーフと
申します。失礼ながらあなた様のお名前も
お聞きして宜しいでしょうか?」
「お、俺は、エ ―― エドガーってんだ宜しく」
「こちらこそ宜しくです。エドガー様」
「あ、その”様”ってのは止めてくれないか?
固っ苦しくていけねぇや」
「(えっ ―― このフレーズ、前にも聞いた事が
あるわ)」
リーフは初めてエディとベネットに会った時の
事を思い出した。
==========
「その殿下っての止めろよ。固っ苦しくていけねぇ」
==========
まじまじとエドガーと名乗った男の顔を
凝視するリーフ。
「……どうかしたか?」
「あ、いえ、失礼しました。何でもないです」
(まさか、ね)
いるが、今日は馬車から降りた途端急に気分が
悪くなり ――
自室へ続く廊下を歩いている途中で呪いが切れ、
青年の姿に戻った。
「(ったく、どうしちまったんだ……うう” ――
めっちゃ気持ちわりぃ……)」
いつもは2~3分で到着するハズなのに、
10分経っても辿りつけない。
やっとの思いで辿り着いた2部屋手前の部屋の壁に
もたれかかるよう立ち止まり、
はぁ~~っと大きくため息をついた。
” ―― で、これからど~する? 俺……
もう、一歩だって歩けねぇ…… ”
さぁて、ど~したものやら……と、まるで人事のように
ぼんやり考え半ば途方に暮れ、立ち尽くしていると、
後方から ” タッ タッ タッ ――― ” と、
小走りに近づいてくる人の気配があって、
「あ、あのぉ ―――― 」
”やっべぇ……目ぇまで霞んできやがった……”
「―― あのぉ、どこかお加減悪いんですか?」
そう言って、あま~い花の香りをまとった
誰かが傍らで立ち止まった。
”あーー?
これで元気ハツラツにでも見えるかぁ?? ”
その誰かと視線が合う寸前で、とうとうエディは
意識を手放した。
*** *** ***
ほんの少し揺れた気がして、
エディは目を覚ました。
ぼやける視界には、見慣れぬ部屋の天井と、
何となく見覚えのある端正な顔立ちが見えた。
「……?」
「あ、良かったぁ ―― 気がつかれました?
お医者様は過労と軽いストレスだって仰っていました
ので、もう少し休んで行って下さい」
そうっと髪を撫でられて、ふと気づく。
自分を覗き込んでいる彼女の角度を考えると、
自分の左耳の辺りはこの娘の腹部になるはずだ。
「……?」
「どうか、なさいましたか?」
頭の下は、柔らかな生地のエプロンスカートで。
言うなれば、膝枕をされている……?
でもって彼女は……あ、あ、あ~~っっ!!
りーフぅぅ~~??
お、俺は、ど、どうしてこんな、事に……。
やっべぇー、完全に記憶がぶっ飛んでる。
「あ、あの……」
「……な、なんだ?」
うわっ ―― 俺ってば緊張のあまり、
声裏返ってるし。カッコわりぃぃ!
「あなたはランカスター城の南側通路で倒れたので、
私の一存では御座いましたが、このお部屋へお連れ
したんです」
それでどうして、キミに膝枕されているんだ?
そう、聞きたかったが上手く喋れねぇ。
「ほんとに良うございました。キャサリン姉様が
普通に休ませているより、膝枕の方が回復が
早いって教えて下さったんですよ」
キャスの奴ぅぅ……余計な事を!
でも俺は卑怯だ。
かなり元気も回復したと、離れていこうとする
リーフを引き留めた。
「ま、待ってくれ」
「え?」
「……わ、悪いが、もうしばらくこのままで
いてくれんか?」
「でも、私(わたくし)のような者でいいんですか?
ちゃんとした術師の方に――」
「構わん。頼む。このままで、いてくれ」
「……分かりました」
そう言えば、実年齢の姿で会うのは初めて
だったな。
じゃあ、それなりに接しなければ……
「キミの名を聞いても良いか?」
「はい ―― はし……じゃなくて、リーフと
申します。失礼ながらあなた様のお名前も
お聞きして宜しいでしょうか?」
「お、俺は、エ ―― エドガーってんだ宜しく」
「こちらこそ宜しくです。エドガー様」
「あ、その”様”ってのは止めてくれないか?
固っ苦しくていけねぇや」
「(えっ ―― このフレーズ、前にも聞いた事が
あるわ)」
リーフは初めてエディとベネットに会った時の
事を思い出した。
==========
「その殿下っての止めろよ。固っ苦しくていけねぇ」
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まじまじとエドガーと名乗った男の顔を
凝視するリーフ。
「……どうかしたか?」
「あ、いえ、失礼しました。何でもないです」
(まさか、ね)
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