14 / 83
13 縁談・恋愛、etc.……
しおりを挟むパシフィックオーシャンビュー東京で夢美乃先生の原稿を無事頂いた後、社へ帰り谷田部さんへ原稿を手渡して、叔父、宮藤 孝に呼び出され、幹部(重役)専用フロアーの応接室に向かった。
「何事かと思えばそんな事ですか――」
「そんな事とは何だ、そんな事とは―― 日栄警備の西野専務知ってるだろ?彼の甥っ子さんなんだがなぁ。ぜひにと。写真も……ほら。今時のイケメンだろう? どうだ? そろそろまじめに考えてみないか?」
(まぁ ―― 和子叔母さんといい、この叔父さんといい、手を変え品を変え次々によくもこう考えつくもんだわ……)
絢音は見合い写真を閉じ、叔父に返した。
「ホント素敵な方ですね。私にはもったいないくらい」
「だろー、だろー、そうだろ。じゃ、仲介の坂本さんへOKの返事をしてもいいな?」
「いいえ。私には、もう心に決めている人がいるので」
「絢音ぇ……」
「すみません。では私、急いでるんで失礼します」
絢音はそう言うとカバンと上着を小脇に持ちソファーから立ち上がり、さっさと廊下へ出たところで後輩に声をかけられた。
「あー、和泉先輩、今日飲みにいきませんかー? 秘書課の男子達とー……」
「ごめん。急いでるから」
そう言うと絢音は応接室を後にした。
「えー、和泉先輩は絶対連れて来いって言われてるのにぃ、ヤバいどうしよう……」
「ハハハ ―― いばら姫は本日も難攻不落か」
北原は後輩にそう言う。
「北原さんてば、笑い事じゃないですってばぁ……」
絢音はエレベーターを降りると、たまたま得意先外郭団体の人事部長に出くわした。
「お世話になっております。本日は?」
企画部に配属されてから、こんな感じで外郭団体の幹部さんとも知り合い、人脈の幅も広がった。
「いやなに、近くまで来たものだから。和泉さん、今から一杯どうかね?」
「申し訳ありません。あいにくまだ仕事が残っておりますので、北原なら空いていると思われます」
(たしか今度こそ決めるって言ってた彼女にフラれたばかりだって言ってたよね? 先輩、ごめんっ)
絢音は心の中で北原に謝りながら、自分の名刺ケースから名刺を一枚取り出した。
「今、北原の携帯お教えしますので ――」
名刺に北原の仕事の携帯番号を書き込んで統括に手渡す。
「こちらに電話してやってください。多分OKですよ?」
「そうするか。次はキミも是非付き合ってくれよ?」
「はい。喜んでお供させて頂きます」
絢音はそう言って会釈をしエントランスを飛び出した。
そして駐車場へ向かい車に乗り込む。
相模物産に行って見積もり資料を渡し、**統括のお見舞いもして、今日の予定は全部完了! っと。
如何に渋滞を回避しつつ、最短で目的の場所を回れるか?
頭の中で周辺地図を展開しながら、ゆっくりアクセルを踏みこんだ。
*** *** ***
全ての予定を順調に消化して帰る途中、**通りで予期せぬ交通規制に遭い、そのせいの渋滞で車がノロノロとしか動かせず、
”チッ ――”
思わず、舌打ちが出た。
イライラも最高潮に達しつつある時、羽柴メール着信。
”**時から、**通りで交通規制あり。気を付けろ”
「もうっ、今頃遅いよ~、ゼンさん……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる