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15 新たな恋の気配
しおりを挟む「和泉さーん、ちょっといい?」
まだ週明け月曜日なのに、既に疲れた表情の課長が私の事を呼んだ。
入社して7年経っても慣れない臭い。
整髪料が他の臭いと混じって、私の胸を気持ち悪くする。
「いきなりで申し訳ないんだけど、明日の朝イチで大阪に出張できる? 帰りはゆっくりでいいから」
「私がですかっ?」
「ほら、例の新レーベルの話。いよいよ本格的に稼働する事になってね。一応、西と東も打ち合わせないといけないだろう?」
そう言って懇願するように私を見る課長は、マジキレするとかなり危ないって噂で。
仕事ならしょうがない……
「……で、大阪支社の担当の方はどなたです?」
「そうか、行ってくれるか ―― いやぁ、助かったよあちらさんからは、出来れば人当たりの良い女子を頼むって言われていたもんだからね」
でも大阪、か……京都、かなり近いよね。
ばったり出くわしてしまいそうで、怖い。
夜、予定だけど2泊分の荷物を準備してから早めに就寝。
11月の大阪、もう結構寒いだろうなぁ。
いつまでも虎河との事を引きずってる私を見かねて利沙が紹介してくれた人がたまたま大阪在住の人で。
お互い共通の趣味があるから気も合って。
5回目のデートで『付き合って下さい』と彼の方から告白され、私は東京、彼は京都、という遠距離恋愛が始まった。
だけどそれも、たった2年で破局。
告白は彼の方からだったのに、別れを言い出されたというか、゛別れ゛の原因を作ったのも彼だった。
それは、まぁ、あるあるなんだけど、彼の浮気。
あいつ――よりによって、男とも寝てた。
しかもその浮気相手は私とも、友達。
自分のあまりの男運のなさに、呆れて笑うくらいしか出来なかった。
それが、かれこれ3年前の事だ。
どうせ行くなら気の合った同僚と行きたかったかも。
でも出張は嫌いじゃないし、担当の人と会うのも楽しみだったりして。
何より大阪人は人懐っこいって言うから。
元彼と鉢合わせするかも? って不安はあるけど思いのほか足取りは軽い。
小型のスーツケースを転がしながら、予約した新幹線に間に合うよう東京駅に向かった。
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