オオカミは淫らな仔羊に欲情する

NADIA 川上

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東京編

悪魔の囁き


 今日から2学期。

 今日から私は商業科のクラスへ移行した。

 それは言うまでもなく、
 もし、高卒で就職するなら
 ”手に職を付けておいた方が絶対有利”
 と、言われたからなんだけど。

 そろそろ、本命(第一志望)と滑り止めくらいは
 決めておかなきゃいけないこの時期に、
 私は? と言えば、業種さえ絞り込めていないような
 状況で……。


 ***  ***  ***


 昼休み明けの5・6時限目まで担当授業はないので
 屋上に行き一服タイム。

 ――と、まだ授業中だというのに、
 絢音が姿を現した。


「あ、竜二先生だぁー。今日はよく会うね」

「会うね、じゃないよ。まだ授業中だぞ」

「そーゆう先生だって実はサボり?」

「俺の次の授業は5・6時限目だ」

「な~んだ、そうなのかぁ……でも、私のサボりは
 見逃してよー。数学の迫田、チョ~苦手なんだもん」

「それは奇遇だな、俺もだ……しゃーない、今だけ
 見逃してやる」

「ふふふ ―― ラッキー、ありがとね、竜二センセ」

「つーか、今日はお前1人か? 久住はどうした?」

「別に柾也とはいっつもツルんでる訳じゃないし、
 あいつは基本的に真面目くんだから、私と同じに
 考えないでやってね」


 そう言って、気持ち良さそうに大きく背伸びを
 してから、
 コンクリートの地面にそのまま横たわった。


「こう、天気がいいと眠くなっちゃう……」

「オイオイ、こんな所で寝るなよ。風邪引くぞ」


 (―― って、そうじゃねぇだろ俺)


 今は9月の下旬、まだ夏服なので、
 当然それなりに薄着だ。

 横たわると重力でシャツが体に密着し
 自然と……が……。

 それに、花の高校3年生・17才 ―― イヤ、
 こいつの場合、計3回留年してるらしいから
 もう成人しているが。
 見かけはちっこくても、
 中身は完全に成熟した女そのもので……。

 そんなじっと直視してはいかん……と、
 思いつつも俺の視線は絢音の胸元へ
 誘(いざな)われる。

 ―― ん? あの、てっぺんにちょこんと見える
 黒っぽい粒は、ひょっとして……。

 こ、こいつ、ノーブラかよ??

 それを意識したとたん、
 俺の息子がビクンと反応した。

 俺のばかっ! 
 相手はまだケツの青いガキだ、しかも教え子。

 ま、初対面では、そうとは知らず、
 最後までイタしてしまったが。

 絢音は俺の緊急事態など気にする素振りもなく
 (当たり前だが)
 スヤスヤ気持ち良さそうに眠っている。

 今ならまだ、間に合う。

 頼む絢音、起きてくれ。


「あ、いずみー……こんな所で寝てるとマジ
 風邪引くぞー、休むなら保健室にしなさい」

「ん、んン~ン……」


 寝言は返ってきたが、
 絢音はまるで起きる気配なし。

 その間にもムスコの方はぐんぐん力を持ち始め。

 俺自身も絢音から目が離せなくなる。

 ……マジ、ヤバい……。

 そんな建前とは裏腹に、
 俺は顔をゆっくり彼女へ近付けていき、
 気が付けば絢音の柔らかい唇へ自分のソレを
 重ねていた。

 ”チュッ”っと、小さなリップ音をたてて唇同士が
 離れたと同時に、
 絢音はやっと目を覚ました。

 うっ! 
 ま、まさか、今のキス、気付いたんじゃ……。


「ふぁぁ~ぁ、良く寝たぁ……ね、ひょっとしたら今、
 私にキスしてた?」


 やっぱ、いくら鈍な奴だって気づくよなぁ……。


「な、何を言い出すかと思ったら、バカも休み休み言え
 これでも俺は教師だぞ」

「だよねぇ~、私の勘違いだったかぁ」

 
 へ? 気付いて、ない?

 それはそれで問題だぞ、絢音。

 これじゃ、たとえ寝込み襲われても突っ込まれでも
 しない限り気付かんだろ、お前。


「じゃ、センセ、私そろそろ教室戻るね」

「あ、あぁ、気を付けてな」


 絢音が出て行った昇降口を見つめ深い溜息をついて
 自己嫌悪に陥る。

 何とごまかそうと、ひと廻りも年下の教え子に、
 欲情しキスしちまったのは紛れも無い事実だ。

 多分これから先俺は、絢音と顔を合わせる度、
 さっきのキスを思い出すんだろうな。

 かなりしんどいぞ。大丈夫か? 俺。
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