博打の鬼師

ドルドレオン

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第2章:コドモドラゴンレース

田中一平は、桐山から送られた詳細な情報を見つめていた。そこに記載されていたのは、**「コドモドラゴンレース」**という、地下ギャンブルで行われる恐ろしい競技だった。

その名の通り、「コドモドラゴン」と呼ばれる生物が競技の中心であり、参加者たちはそのドラゴンに襲われるリスクを背負ってレースに参加するのだ。だが、この「コドモドラゴン」とは、伝説上のドラゴンではなく、実際に存在する爬虫類で、**「コモドオオトカゲ」**の亜種だ。

コモドオオトカゲは、その巨大な体と強力な顎で知られる、世界でも最も危険な爬虫類の一つである。だが、コドモドラゴンはその若い個体で、まだ成長過程にあるにも関わらず、驚くべきスピードと攻撃力を持っているという。

参加者たちは、この恐ろしい爬虫類の「顔を出す」タイミングを見計らい、レースの勝者となることを目指す。しかし、この競技はただのゲームではない。顔を出してしまうと、コドモドラゴンに襲われるリスクがある。そして、その攻撃は、たとえ一瞬の隙間であろうとも致命傷となりうる。

一平は、そのルールを読んだ瞬間、背筋が寒くなるのを感じた。

闇の競技場

数日後、一平は指定された施設の入口に立っていた。冷たい風が吹き荒れる外の世界と、目の前の地下の闇とのギャップに、彼は一瞬、ためらいの気持ちを抱いた。しかし、すでに遅い。桐山の言葉が頭に響く。

「これを乗り越えれば、君は大きな報酬を手に入れられる。でも、それだけじゃない。君が勝てば、全てが変わる。」

その言葉に押されるように、一平は施設内に足を踏み入れる。

薄暗い地下施設は、冷たい鉄の柱とむき出しのコンクリートの壁に囲まれ、まるで地獄のような雰囲気を漂わせていた。参加者たちは、全員が戦闘服を着て、顔に不安の色を浮かべながら集まっていた。その中で、一平もまた、周囲に囲まれるように指定されたポジションに立った。

目の前の巨大スクリーンが点灯し、司会者の冷徹な声が響く。

「コドモドラゴンレース、開始!」

その瞬間、参加者たちは一斉に、地下施設の至る所に掘られた小さな穴に顔を出し始めた。穴の中は暗く、外の世界と隔てられているため、視界が非常に悪い。だが、耳を澄ませると、遠くからコドモドラゴンが動き回る音が響いてきた。

その音は、重い足音と共に、徐々に近づいてくる。

一平は冷静に、その時が来るのを待った。顔を出しているその一瞬が、命の危険と隣り合わせだ。

襲われる者、死にゆく者

突然、目の前の穴から、大きな影が現れた。それはコドモドラゴンだ。普通のオオトカゲのように見えるが、その体長は3メートルを超えており、鋭い爪と牙を持つ獰猛な生物だ。

そのコドモドラゴンは、一平の目の前の穴に近づき、鋭い目で周囲を見渡していた。一平は息を呑んだ。ドラゴンは、非常に慎重にその動きを確認しているようだった。だが、その目線は徐々に一平の方に向かってきた。

「来る…」

一平は頭の中でその言葉を繰り返し、体を少しずつ後ろに引いた。だが、すでに遅かった。コドモドラゴンは素早い動きで穴を覗き込み、瞬時にその大きな顎を一平の顔に向けて開いた。

一平は必死に顔を引っ込め、穴の中に潜り込もうとしたが、その爪が一瞬で穴の縁に引っかかり、ガリガリと音を立てて掘り進んでくる。

その時、後ろの穴から、別の参加者が悲鳴を上げた。別のコドモドラゴンが、すでにその人物に向かって突進してきていた。その人物は、命からがら顔を引っ込めようとしたが、もう遅かった。ドラゴンの牙がその体を引き裂き、数秒後、彼の命は絶たれた。

一平は、そんな光景を目の当たりにしながらも、必死に顔を引っ込める。その瞬間、ドラゴンの爪がわずかに一平の顔に触れ、冷たい痛みが走った。

「危ない…」

一平は心臓が破裂しそうなほど速く打つのを感じながら、再び顔を穴に押し込んだ。しかし、そこからもドラゴンが次々と現れることは、すでに彼の頭の中で予測できた。逃げ場はない。

レースの終わり

時間が過ぎ、参加者たちの数は徐々に減っていった。コドモドラゴンに襲われて命を落とす者もいれば、恐怖に耐えきれず途中で顔を引っ込めてしまう者もいた。しかし、一平は必死に顔を出し続けていた。

もう後戻りできない。彼はこの競技に参加した以上、ただ一つ、目の前の「勝利」を手に入れるしかなかった。

その時、突如として、施設の隅から新たなコドモドラゴンが現れた。今度は、そのドラゴンが異常に大きく、すべての参加者の目がその獰猛な生物に釘付けになった。

一平は思わず震える手で、穴の縁をしっかりと握り、最後の試練を迎える覚悟を決めた。
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