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第一章「声」
宇宙は、静かだった。
銀河の外縁、軌道すら不明の無名の惑星。その地表に、かろうじて立っている観測ポッドが一基だけあった。
嵐はない。ただ、重力が奇妙に“ゆらいでいる”。波打つような質量の感覚──それは空間そのものが「うたっている」かのようだった。
アレイ・カザルは、膝をついたまま、ヘルメット越しにその音を聞いていた。
耳ではない。脳の奥、あるいはそれより深い“存在の中核”に響いてくる。意味ではない。だが確かに、それは“声”だった。
「聞こえるか……アレイ」
それは自分の名を呼んでいた。
彼は気がつくと、地面に手をついていた。
金属のグローブの中で、指先が微かに震えている。重力が不安定だからではない。何かが、自分の存在そのものを測っている。そんな感覚だった。
──この星には、生物はいない。水もない。酸素も、磁場も、生命を支える要素は何ひとつなかった。
それでも、アレイの意識は鮮明だった。
「ここは、始まりでもあり、終わりでもある」──言葉ではなく、そうした概念の束が、星の核から直接彼に注ぎ込まれている。
やがて、地表がわずかに揺れた。
否、揺れたのではない。“脈動”した。
アレイはヘルメットを脱いだ。
空気があるはずがない。だが彼の肺は、確かに呼吸をしていた。
「おかしい……なぜ、生きてる……?」
視界の端で、空が割れていた。
星ではない。恒星でもない。宇宙の奥から“目”のようなものが、彼を見ている。
それが、自分を呼んでいる存在だと、アレイにはわかった。
──この星は、**子宮(うみ)**だ。
宇宙がまだ、宇宙と呼ばれる以前に、この惑星はすでに在った。
星々を孕み、銀河を送り出し、意識の原型だけを残して“沈黙”していた存在。
アレイの存在が、その眠りを破った。
やがて彼の身体は、ゆっくりと浮き上がった。
重力でも推進でもない──空間そのものが、彼を“歓迎”していた。
その瞬間、アレイ・カザルは人間ではなくなった。
**宇宙の“胎”と共鳴する、最初の存在(ネイティブ・リンク)**となった。
宇宙は、静かだった。
銀河の外縁、軌道すら不明の無名の惑星。その地表に、かろうじて立っている観測ポッドが一基だけあった。
嵐はない。ただ、重力が奇妙に“ゆらいでいる”。波打つような質量の感覚──それは空間そのものが「うたっている」かのようだった。
アレイ・カザルは、膝をついたまま、ヘルメット越しにその音を聞いていた。
耳ではない。脳の奥、あるいはそれより深い“存在の中核”に響いてくる。意味ではない。だが確かに、それは“声”だった。
「聞こえるか……アレイ」
それは自分の名を呼んでいた。
彼は気がつくと、地面に手をついていた。
金属のグローブの中で、指先が微かに震えている。重力が不安定だからではない。何かが、自分の存在そのものを測っている。そんな感覚だった。
──この星には、生物はいない。水もない。酸素も、磁場も、生命を支える要素は何ひとつなかった。
それでも、アレイの意識は鮮明だった。
「ここは、始まりでもあり、終わりでもある」──言葉ではなく、そうした概念の束が、星の核から直接彼に注ぎ込まれている。
やがて、地表がわずかに揺れた。
否、揺れたのではない。“脈動”した。
アレイはヘルメットを脱いだ。
空気があるはずがない。だが彼の肺は、確かに呼吸をしていた。
「おかしい……なぜ、生きてる……?」
視界の端で、空が割れていた。
星ではない。恒星でもない。宇宙の奥から“目”のようなものが、彼を見ている。
それが、自分を呼んでいる存在だと、アレイにはわかった。
──この星は、**子宮(うみ)**だ。
宇宙がまだ、宇宙と呼ばれる以前に、この惑星はすでに在った。
星々を孕み、銀河を送り出し、意識の原型だけを残して“沈黙”していた存在。
アレイの存在が、その眠りを破った。
やがて彼の身体は、ゆっくりと浮き上がった。
重力でも推進でもない──空間そのものが、彼を“歓迎”していた。
その瞬間、アレイ・カザルは人間ではなくなった。
**宇宙の“胎”と共鳴する、最初の存在(ネイティブ・リンク)**となった。
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