義姉をいびり倒してましたが、前世の記憶が戻ったので全力で推します

一路(いちろ)

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第十三話 残党狩り

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夜明け前、王都の空はまだ暗く沈んでいた。
私は馬車の揺れに身を任せながら、手のひらを握り締めていた。

(ついに……残党狩りの時が来た)

記録庫襲撃の後、捕らえた者の証言を元に調査を進めた結果、ローレンス公爵の残党派閥が王都郊外に隠れ家を構えていることが判明した。
そこにはまだ多くの兵や資金が集められ、次なる反乱を画策しているという。

「アリシア嬢、本当にご同行なさるのですか?」

騎士団の青年が、心配そうに声を掛けてきた。

「当然です! 推しを狙う輩を放っておけるわけないでしょう!」

きっぱりと言い切ると、彼は苦笑しつつも頷いた。

隠れ家は郊外の森の奥。
木々に覆われた山小屋のような建物が、鬱蒼とした闇に紛れていた。

私たちは十数名の騎士団と共に、息を潜めて近づいた。

「周囲を確認……よし、火の気がある。中に十数名はいるな」

青年が囁く。

私は気持ちが高ぶっていた。

(ここで決着をつける……推しを脅かす残党は、今日で終わり!)

「突入!」

合図と共に騎士団が一斉に扉を破り、中へなだれ込む。
驚き叫ぶ残党たち。刃が交錯し、火花が散った。

私も手近の棒を掴み、敵の一人に飛びかかる。

「アリシア嬢!? 無茶です!」
「うるさい! 推しの敵は私の敵なんです!」

渾身の一撃を叩きつけると、男は悲鳴を上げて崩れ落ちた。

戦いは激しかったが、組織的な動きは見られなかった。
公爵を失って以降、彼らは烏合の衆に成り果てていたのだ。

だがその中心に、一際強面の男が立ちはだかった。
元はローレンス公爵の腹心と噂されていた、バーネット子爵。

「よくも我らの誇りを踏みにじったな……! セリーヌを担ぎ上げ、この国を牛耳ろうなど、許されぬ!」
「セリーヌ様を貶めるなぁぁぁぁ!!」

私は怒りのまま突きかかる。
だが子爵は大剣を振るい、圧倒的な力で迫ってきた。

必死に受け止めるが、腕が痺れる。
倒される――そう思った瞬間。

「アリシア嬢!」

青年騎士が割って入り、剣で受け止めてくれた。
その隙を突き、他の騎士団員が子爵を取り押さえる。

「ぐっ……離せ、離せぇっ!」

だが抵抗も虚しく、子爵は鎖で縛られた。

戦いが収まった後、森には煙と呻き声だけが残っていた。
捕らえられた残党は次々と引き立てられ、騎士団が報告書をまとめていく。

私は膝に手をつき、大きく息を吐いた。

(これで……ひとまずの脅威は去った。推しの尊さを脅かす牙は、また一つ折ったんだ)

その日の夕刻。
私は屋敷に戻り、セリーヌ様のもとを訪れた。

「アリシア……無事だったのね」

出迎えた彼女が心配そうに駆け寄る。

「はい。残党はほとんど捕らえました。もうセリーヌ様を狙う力は残っていません」

そう伝えると、彼女は安堵の息をつき、そっと微笑んだ。

「本当に……ありがとう。あなたがいてくれて、私は救われてばかりね」

その言葉に胸が熱くなる。

「救われているのは私です。セリーヌ様がいるから、私は戦えるんですから」

窓辺から差し込む夕陽に照らされ、彼女の瞳がきらめいた。
その尊さに、私は改めて強く誓う。

(残党を潰しても、まだ陰謀は終わらないかもしれない。でも、絶対に……推しを守り抜く!)

外の空には、嵐の気配がわずかに漂っていた。
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