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【2】尊きは安らかなる日常
2-1 たまには屋根上で昼食を
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四階建ての屋敷の、見晴らしの良い屋根の上。そこで少年は、街の景色を眺めていた。
今日も良い天気だ。暖かい日差しを浴びて、作物はすくすくと育っている事だろう。
ふと、作物が楽しそうに笑うイメージが湧き上がり、シロガネは小さく微笑んだ。
「シロガネせんぱ~~い、昼飯ッスよ。一緒に食べましょうや」
炎のように逆立った髪型の青年が、屋根裏部屋の窓から顔を出し、バスケットを持ってニコリと笑顔を見せる。
王宮戦士寮の食事は、寮の管理人さんが用意してくれる。食事は基本的に一階の食堂でとなっているが、シロガネが食堂を利用すれば、管理人さんの命を吸ってしまう。
そこでシロガネには特別に、屋根の上でも食べられるよう、バスケットに入れて用意してくれているのだ。
ただし、レパートリーはサンドイッチとおにぎりの二択である。シロガネは右手が使えないため、どうしても選択肢が絞られてしまうのだ。
今日の昼食はおにぎり。エンジャの分も一緒なので、数もいつもの二倍入っている。
「食堂のおばちゃん、いつも美味しいお弁当をありがとう。いただきます」
「いっただきま~~~すっと……ん?」
エンジャはおにぎりを頬張ろうとした瞬間、シロガネの奇行が目に止まり、思わず固まってしまう。
シロガネは最初の一つを左手で取ると、死神腕の右手の上に乗せたのだ。
「何やっとるんですか? 管理人さんお手製のおにぎりが台無しですぜ?」
「うん。後はちゃんと食べるよ。でも、これはクロガネの分だから…」
「はぁ……。そうッスか…」
おにぎりは干からびて縮み、ついには原型を維持できなくなり、塵のようになって崩れ落ちた。
おにぎりに含まれるエネルギーを完全吸収して、肉体維持に活かしているのだから、食事には違いないか。しかし…
「オレは別に気にしませんが、そいつは人前ではやらない方が良いですぜ、先輩。テーブルマナーに反するというか、エチケット違反というか…。普通にビビりますわ」
「そうなの? ……そうか。そうだよね。じゃあ、みんなのいないところでやるよ」
どうやら止めるという選択肢は無いようだ。儀式的なものか、お供え物か、とにかくシロガネにとっては大事な事なのだろう。
まあ、人は人。自分は自分だ。誰だって譲れないものの一つや二つ、あるものさ。そう思いながら、エンジャはおにぎりを頬張る。
「うっ!? これはっ!?」
「…どうしたの? エンジャ?」
「おにぎりの中に! 丸ごとっ……丸ごとイチゴがっ!!」
育ち盛りのシロガネに、おにぎりかサンドイッチしか食べさせられないなんて、あんまりだ!
そう思った管理人さんは、せめて中に入れる具だけでも工夫することにした。
それが管理人さんお手製のスペシャルメニュー、"奇っ怪おにぎり"&"壮絶サンドイッチ"である。
9割9分9厘シロガネのためだけに用意されているが、希に食堂でお目にかかる事がある。
これは新たな具材の組み合わせを模索するための味見実験であり、寮に住む者は強制的に付き合わされる。ライオ隊長ですら拒否権はないという。
「何か変? おいしいよ?」
「え~~~~~~!? マジスかっ!? そりゃ、管理人さんの料理ですから食えん事は無いですけど、主食とデザートは分けるべきっしょ。って……いや、何でも無いッス」
美味しそうに食べるシロガネを見ているうちに、奇っ怪なおにぎりなど、どうでも良くなってしまった。
なるほど。管理人さんが張り切るのも分かる気がする。こんな笑顔を見せられてはね。
でも、昼飯の付き合いは今回限りにしよう、そうしよう。決意を堅くするエンジャであった。
今日も良い天気だ。暖かい日差しを浴びて、作物はすくすくと育っている事だろう。
ふと、作物が楽しそうに笑うイメージが湧き上がり、シロガネは小さく微笑んだ。
「シロガネせんぱ~~い、昼飯ッスよ。一緒に食べましょうや」
炎のように逆立った髪型の青年が、屋根裏部屋の窓から顔を出し、バスケットを持ってニコリと笑顔を見せる。
王宮戦士寮の食事は、寮の管理人さんが用意してくれる。食事は基本的に一階の食堂でとなっているが、シロガネが食堂を利用すれば、管理人さんの命を吸ってしまう。
そこでシロガネには特別に、屋根の上でも食べられるよう、バスケットに入れて用意してくれているのだ。
ただし、レパートリーはサンドイッチとおにぎりの二択である。シロガネは右手が使えないため、どうしても選択肢が絞られてしまうのだ。
今日の昼食はおにぎり。エンジャの分も一緒なので、数もいつもの二倍入っている。
「食堂のおばちゃん、いつも美味しいお弁当をありがとう。いただきます」
「いっただきま~~~すっと……ん?」
エンジャはおにぎりを頬張ろうとした瞬間、シロガネの奇行が目に止まり、思わず固まってしまう。
シロガネは最初の一つを左手で取ると、死神腕の右手の上に乗せたのだ。
「何やっとるんですか? 管理人さんお手製のおにぎりが台無しですぜ?」
「うん。後はちゃんと食べるよ。でも、これはクロガネの分だから…」
「はぁ……。そうッスか…」
おにぎりは干からびて縮み、ついには原型を維持できなくなり、塵のようになって崩れ落ちた。
おにぎりに含まれるエネルギーを完全吸収して、肉体維持に活かしているのだから、食事には違いないか。しかし…
「オレは別に気にしませんが、そいつは人前ではやらない方が良いですぜ、先輩。テーブルマナーに反するというか、エチケット違反というか…。普通にビビりますわ」
「そうなの? ……そうか。そうだよね。じゃあ、みんなのいないところでやるよ」
どうやら止めるという選択肢は無いようだ。儀式的なものか、お供え物か、とにかくシロガネにとっては大事な事なのだろう。
まあ、人は人。自分は自分だ。誰だって譲れないものの一つや二つ、あるものさ。そう思いながら、エンジャはおにぎりを頬張る。
「うっ!? これはっ!?」
「…どうしたの? エンジャ?」
「おにぎりの中に! 丸ごとっ……丸ごとイチゴがっ!!」
育ち盛りのシロガネに、おにぎりかサンドイッチしか食べさせられないなんて、あんまりだ!
そう思った管理人さんは、せめて中に入れる具だけでも工夫することにした。
それが管理人さんお手製のスペシャルメニュー、"奇っ怪おにぎり"&"壮絶サンドイッチ"である。
9割9分9厘シロガネのためだけに用意されているが、希に食堂でお目にかかる事がある。
これは新たな具材の組み合わせを模索するための味見実験であり、寮に住む者は強制的に付き合わされる。ライオ隊長ですら拒否権はないという。
「何か変? おいしいよ?」
「え~~~~~~!? マジスかっ!? そりゃ、管理人さんの料理ですから食えん事は無いですけど、主食とデザートは分けるべきっしょ。って……いや、何でも無いッス」
美味しそうに食べるシロガネを見ているうちに、奇っ怪なおにぎりなど、どうでも良くなってしまった。
なるほど。管理人さんが張り切るのも分かる気がする。こんな笑顔を見せられてはね。
でも、昼飯の付き合いは今回限りにしよう、そうしよう。決意を堅くするエンジャであった。
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