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第2章 硝子の禁域
2-3.「オリジン」 --- 絶頂の観測
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2021年12月25日。劇場初日。
黒崎が設計した「オリジン」は、観客にとっての聖域であると同時に、彼自身の独占欲を完成させるための装置でもあった。
暗転した劇場内。
観客席を埋めるのは、この一瞬の「生」を観るために大金を積んだ者たちだ。
段差のある円形劇場の中心で、ライトアップされた巨大な丸底フラスコだけが、宝石のように蒼く輝いている。
黒崎は客席の上階、演者がフラスコに入る潜る場所を兼ねた楽屋で、サラと一緒にいた。そばには複数の高精度モニターがある。
観客はガラス越しにサラを「鑑賞」するが、黒崎だけは彼女の心拍数、肺の残気量、そして表情のわずかな痙攣までをデジタルデータとして独占し、同時に肉声の届く距離で彼女を「支配」していた。
「サラ、ネックへ入れ。観客がお前を待っている」
黒崎の低く冷徹な声に従い、サラは最後の一呼吸を深く吸い込み、直径2メートル、長さ2メートルの縦トンネルへと滑り込んだ。
直径8メートルの球体部分へと躍り出たサラの全裸の肉体は、海水に濡れて発光し、見る者の理性を奪う。
彼女が優雅に、かつ野生的な力強さで舞うたびに、会場には異様な熱気が立ち込めていった。5分、6分……。無酸素状態が続くにつれ、サラの肌は水圧で紅潮し、官能的な色気を増していく。
7分30秒。
サラは球体の最底部、観客が最も間近で彼女を凝視できるポイントに沈んだ。彼女は両脚を大きく開き、自らの指先をその場所に沈める。
モニターを見つめる黒崎の指が、コンソールを強く握りしめた。
アクリル越しの観客たちは、目の前で繰り広げられる「死と隣り合わせのオナニー」に、呼吸を忘れて釘付けになる。
酸素を限界まで使い切ったサラの肉体は、わずかな刺激にも過剰に反応し、その背中が美しい弧を描いて何度も跳ねる。
8分10秒。
サラの瞳が、天井に設置されたカメラ、すなわち黒崎の視線と重なった。
その瞬間、彼女は激しく身悶えし、水中で声なき叫びを上げた。全身を駆け抜ける絶頂の波。
その圧倒的な生命の爆発に、観客たちの興奮も臨界点を超えた。暗闇の客席のあちこちで、数人の男たちがこらえきれずに腰を突き出し、その高価なスラックスを汚して絶頂に達していた。
それは、彼女の究極の美に当てられた、敗北に近い射精だった。
8分19秒。
サラは空っぽになった肺を抱え、一気に上方のネックへと蹴り上がった。
水面を割ると同時に、待機していた黒崎の腕に抱きとめられる。
「……ハァッ、エドワード……今の、見てた……?」
サラは黒崎のシャツを掴み、激しく上下する胸を彼に押し当てた。
黒崎はモニターに映る客席の混乱を一瞥し、征服感に満ちた笑みを浮かべて彼女の耳元で囁いた。
「ああ、見ていた。下の連中は、君という劇薬に脳を焼かれたようだ。だが、その熱を知っているのは、私だけでいい」
黒崎は、海水と愛液で濡れたサラの体を、バスタオル越しに力強く抱き上げた。
フラスコの底で観客に放たれた官能の余韻を、彼はこの楽屋で、彼女の生の鼓動とともに独占する。
それが、この劇場における彼自身の「絶頂」であった。
黒崎が設計した「オリジン」は、観客にとっての聖域であると同時に、彼自身の独占欲を完成させるための装置でもあった。
暗転した劇場内。
観客席を埋めるのは、この一瞬の「生」を観るために大金を積んだ者たちだ。
段差のある円形劇場の中心で、ライトアップされた巨大な丸底フラスコだけが、宝石のように蒼く輝いている。
黒崎は客席の上階、演者がフラスコに入る潜る場所を兼ねた楽屋で、サラと一緒にいた。そばには複数の高精度モニターがある。
観客はガラス越しにサラを「鑑賞」するが、黒崎だけは彼女の心拍数、肺の残気量、そして表情のわずかな痙攣までをデジタルデータとして独占し、同時に肉声の届く距離で彼女を「支配」していた。
「サラ、ネックへ入れ。観客がお前を待っている」
黒崎の低く冷徹な声に従い、サラは最後の一呼吸を深く吸い込み、直径2メートル、長さ2メートルの縦トンネルへと滑り込んだ。
直径8メートルの球体部分へと躍り出たサラの全裸の肉体は、海水に濡れて発光し、見る者の理性を奪う。
彼女が優雅に、かつ野生的な力強さで舞うたびに、会場には異様な熱気が立ち込めていった。5分、6分……。無酸素状態が続くにつれ、サラの肌は水圧で紅潮し、官能的な色気を増していく。
7分30秒。
サラは球体の最底部、観客が最も間近で彼女を凝視できるポイントに沈んだ。彼女は両脚を大きく開き、自らの指先をその場所に沈める。
モニターを見つめる黒崎の指が、コンソールを強く握りしめた。
アクリル越しの観客たちは、目の前で繰り広げられる「死と隣り合わせのオナニー」に、呼吸を忘れて釘付けになる。
酸素を限界まで使い切ったサラの肉体は、わずかな刺激にも過剰に反応し、その背中が美しい弧を描いて何度も跳ねる。
8分10秒。
サラの瞳が、天井に設置されたカメラ、すなわち黒崎の視線と重なった。
その瞬間、彼女は激しく身悶えし、水中で声なき叫びを上げた。全身を駆け抜ける絶頂の波。
その圧倒的な生命の爆発に、観客たちの興奮も臨界点を超えた。暗闇の客席のあちこちで、数人の男たちがこらえきれずに腰を突き出し、その高価なスラックスを汚して絶頂に達していた。
それは、彼女の究極の美に当てられた、敗北に近い射精だった。
8分19秒。
サラは空っぽになった肺を抱え、一気に上方のネックへと蹴り上がった。
水面を割ると同時に、待機していた黒崎の腕に抱きとめられる。
「……ハァッ、エドワード……今の、見てた……?」
サラは黒崎のシャツを掴み、激しく上下する胸を彼に押し当てた。
黒崎はモニターに映る客席の混乱を一瞥し、征服感に満ちた笑みを浮かべて彼女の耳元で囁いた。
「ああ、見ていた。下の連中は、君という劇薬に脳を焼かれたようだ。だが、その熱を知っているのは、私だけでいい」
黒崎は、海水と愛液で濡れたサラの体を、バスタオル越しに力強く抱き上げた。
フラスコの底で観客に放たれた官能の余韻を、彼はこの楽屋で、彼女の生の鼓動とともに独占する。
それが、この劇場における彼自身の「絶頂」であった。
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