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黒煙
②
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「……どういうことだよ……」
辰之助は呆然と言った。
私をやっと下ろしてくれたので、私は小さく息をつきながら地面に立つ。
が、それどころではなかった。
「辰さん……!」
やってきて、火の出ている道場を見ながら呟いた辰之助のところに、ばたばたとやってくるひとがいた。それはお流である。
がばっと辰之助に抱きつく。その様子は痛々しいものであった。
「お流、どういうこった、こりゃ……!」
煙を上げている道場は勿論、放置されているなんてことはなく、消火隊かなにかだろう、大勢のがたいのいい男たちにより、次々に水をかけられて、消火されようとしていた。
そのことで私は思う。
これは多分、本当の火なのだろうと。
妖魔絡みだったら、普通の水で消えるものか。
ではどうしてこんな、いきなり火事なんて。
「急に出火したんだ。外に積んであった薪だろうとの見立てだ」
そこへやってきたのは宗太郎。強張った顔でそれだけ言う。
「マジかよ……放火ってことか!?」
「そうかもしれん」
こんな平和な街で、放火事件など。
おまけに昼間に堂々と。
私はそのやりとりを聞いて思ったのだけど、すぐ思い当たった。
辰之助も同じことを思っただろう。
「暗疎のやつか……!」
「おそらくそうだろうな」
その通りのことを二人もやり取りする。
辰之助は呆然と言った。
私をやっと下ろしてくれたので、私は小さく息をつきながら地面に立つ。
が、それどころではなかった。
「辰さん……!」
やってきて、火の出ている道場を見ながら呟いた辰之助のところに、ばたばたとやってくるひとがいた。それはお流である。
がばっと辰之助に抱きつく。その様子は痛々しいものであった。
「お流、どういうこった、こりゃ……!」
煙を上げている道場は勿論、放置されているなんてことはなく、消火隊かなにかだろう、大勢のがたいのいい男たちにより、次々に水をかけられて、消火されようとしていた。
そのことで私は思う。
これは多分、本当の火なのだろうと。
妖魔絡みだったら、普通の水で消えるものか。
ではどうしてこんな、いきなり火事なんて。
「急に出火したんだ。外に積んであった薪だろうとの見立てだ」
そこへやってきたのは宗太郎。強張った顔でそれだけ言う。
「マジかよ……放火ってことか!?」
「そうかもしれん」
こんな平和な街で、放火事件など。
おまけに昼間に堂々と。
私はそのやりとりを聞いて思ったのだけど、すぐ思い当たった。
辰之助も同じことを思っただろう。
「暗疎のやつか……!」
「おそらくそうだろうな」
その通りのことを二人もやり取りする。
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