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ようこそボロアパート
②
ぴんぽん。
軽快な音が上がる。
というか、軽快すぎる。インターホンなんて上等なものなはずはなく、ドアベルといったほうが適切かもしれないそれ。
随分古いからだろう。こんな突拍子もない音が上がるのは。
ああ、数日前が懐かしい。
というか、口惜しい。
奈々はベルの音ひとつにすらそんなふうに思ってしまい、はぁっと内心ため息をついた。
内心にしておいたのは、ひとを訪ねてきているからである。
このベルのついているドア、外階段を上がった二階の端っこの一室。そこに『大家さん』が住んでいるからだ。
もう契約は済んでいるけれど、今日から入居なのだ。挨拶をしておかなければいけない。
よって、菓子折りなど手にしてやってきたのだけど……。
出ない。
誰も出てこない。
あれ、なんか間違えたかな。
今日、訪ねますって言ったのに、留守、とか?
奈々は今度は実際に首をひねった。
しかし、もう一度鳴らしてみようと手を伸ばしかけたとき。
ドタン!
バタバタ!
中からなにかが暴れているような大きな音がした。
それすら聞こえるのだ。奈々はびくっとしてしまう。
誰かがいるのは確かなようだけど。これは……。
奈々の胸に違う意味の不安が広がったときであった。
バターン!
ドアは大きな音を立てて大きく開いた。
「すみません! いらっしゃい!」
ドアを全開に押し開けて。
大声で奈々を迎えてくれたのは。
とてもかわいらしい女の子であった。
ただし、同時に、とても目のやり場に困る格好をしていた。
黒のショートカットの髪はぼさぼさ。
上は薄手のタンクトップ一枚で、大きく開いた胸元から膨らみがはっきり見える。
下も下である。
太腿すら隠れていないショートパンツ。なんとか脚の付け根を隠しているだけ。
どう見ても、寝起き、の様子であった。
奈々は呆気にとられた。
どうして寝起きの女の子が出てくるというのだろうか。
『大家さんにご挨拶』に来たというのに。
なのにその、非常に目のやり場に困る格好の女の子は、にこっと笑ったのだった。まだ少し眠たそうな顔ではあったが。
「古谷 奈々(ふるや なな)さんですね! お待ちしてました!」
軽快な音が上がる。
というか、軽快すぎる。インターホンなんて上等なものなはずはなく、ドアベルといったほうが適切かもしれないそれ。
随分古いからだろう。こんな突拍子もない音が上がるのは。
ああ、数日前が懐かしい。
というか、口惜しい。
奈々はベルの音ひとつにすらそんなふうに思ってしまい、はぁっと内心ため息をついた。
内心にしておいたのは、ひとを訪ねてきているからである。
このベルのついているドア、外階段を上がった二階の端っこの一室。そこに『大家さん』が住んでいるからだ。
もう契約は済んでいるけれど、今日から入居なのだ。挨拶をしておかなければいけない。
よって、菓子折りなど手にしてやってきたのだけど……。
出ない。
誰も出てこない。
あれ、なんか間違えたかな。
今日、訪ねますって言ったのに、留守、とか?
奈々は今度は実際に首をひねった。
しかし、もう一度鳴らしてみようと手を伸ばしかけたとき。
ドタン!
バタバタ!
中からなにかが暴れているような大きな音がした。
それすら聞こえるのだ。奈々はびくっとしてしまう。
誰かがいるのは確かなようだけど。これは……。
奈々の胸に違う意味の不安が広がったときであった。
バターン!
ドアは大きな音を立てて大きく開いた。
「すみません! いらっしゃい!」
ドアを全開に押し開けて。
大声で奈々を迎えてくれたのは。
とてもかわいらしい女の子であった。
ただし、同時に、とても目のやり場に困る格好をしていた。
黒のショートカットの髪はぼさぼさ。
上は薄手のタンクトップ一枚で、大きく開いた胸元から膨らみがはっきり見える。
下も下である。
太腿すら隠れていないショートパンツ。なんとか脚の付け根を隠しているだけ。
どう見ても、寝起き、の様子であった。
奈々は呆気にとられた。
どうして寝起きの女の子が出てくるというのだろうか。
『大家さんにご挨拶』に来たというのに。
なのにその、非常に目のやり場に困る格好の女の子は、にこっと笑ったのだった。まだ少し眠たそうな顔ではあったが。
「古谷 奈々(ふるや なな)さんですね! お待ちしてました!」
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