サイアミーズに破滅の寵愛を。

久遠れお

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2話

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目が大きく、鼻が高く、まさに、「目鼻立ちがはっきりとした」という言葉がぴったりなその青年。
だがそれだけだと他の王子も負けてはいなかった。

彼が他の王子より突き抜けていると言われる所以はそのきめ細かな白い肌にぷっくり赤い唇が妙に色っぽく、側室の母親譲りの銀髪に国王の父親譲りの黄金のように輝く瑠璃色の瞳が神秘的。
その顔は華奢な体格と相まって女性に見え、彼が醸し出すフェロモンは男でありながら男を魅了する。



彼目当てに来た客も少なくないはず。

その彼が今、他のモノ同様首輪に繋がれ鎖を引っ張られるようにしてステージ上へと連れていかれた。
その行為に他のモノとは違い抵抗する様子はなく、さも何もされていないかのように王族らしく堂々とステージに立った。


あまりの堂々たる振る舞い、凛とした顔つき、他のモノとは違い態度で観客は一瞬の動揺を見せたがすぐに落ち着きを取り戻した。
奴隷程度の行動で取り乱すわけにはいかないと思ってのことだろう。


会場は先ほどと打って変わって今までにないぐらい張り詰めている。
司会が値段を提示し、それを歯切りに各々値段を提示していく。
値段はみるみるうちに上がっていき、すぐに他を超えた。


一億という値段で落札されるかと思ったその時、どこからとも無く高笑いが聞こえてきて会場にいた全員がそっちのほうを見た。


そこにいた人物は今回のセリの主役、メルヴィン本人であった。

「俺の買値がたった1億だって?冗談でしょ?俺の価値はそれっぽっちじゃない!安すぎて笑いが止まらないよ。俺を買いたきゃ10億は出してもらわなきゃ」

あははと笑いながら声を張り上げたかと思うと真顔に戻り意味深な笑顔を見せながら、10億という値段を提示され驚愕を露わにしている客席に詰め寄った。


10億なんて大金を戦を始める前ならともかく、勝利したとはいえ戦を終えたばかりの国の一貴族が払えるわけがない。


それは言った本人もわかっているはずだ。


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