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完結編

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玉手箱で老人にされた浦島太郎は己に起こったことがすぐには理解できなかった。鏡に映った自分の姿を見て絶望した。
「なぜですか乙姫様ーーーー!!!私はただ亀を助けただけなのに竜宮城に連れて行かれて親類も家族も何もかも失い、この上時間までも…
人の命を…人生を弄んだ貴方に…いや、貴方達に…」
浦島の目は復讐に燃えた。
「駆逐してやる!!!!この世から…一匹残らず…」
それから2000年後。突如として竜宮城の入口が爆破された。「おいっ!大丈夫かっ!?」
瓦礫の下に埋もれた龍宮人に声をかけた龍宮人に、銃弾が襲いかかる。
「ガッ…!」
そう、浦島の子孫が復讐しに来たのだ。
乙姫はその頃竜宮城中心にいた。「何事です!?」
「ハッ、何者かによる爆破テロと思われます。」
「テロリストだと?一体誰だそんなふざけたことをするのは!!」
「そいつらの目的はわかりません!とにかく避難を!」
そういった龍宮人の頭が撃ち抜かれた。
「えっ!?」
「よう、久しぶりだな乙姫。いや俺は会ったことないんだがな?」
「あ……あなたは……まさかあの時の……浦島太郎の子孫!?」
「そうだよ、お前らに散々コケにされた浦島さんの子孫だよぉ!!竜宮城の話を聞いたときはにわかには信じられなかったが、どうやら本当だったようだな。
先祖が世話になったなあ!?」
「なんということだ……こんなことが……」
「どうせお前らは全員殺す予定だったから手間が省けた。死ね。」
「ま、待ちなさい。誤解よ!」
「何が誤解なんだ?」「あれは事故なの!信じて!お願いだから!玉手箱を開けさせるつもりはなかったの!」
「なんだと…?」
「あれは持ってるだけで私達と再開できるっていう御守りみたいなものだったの!だからあの人には再三開けないようにと……」
「言い訳なんか聞きたくねえんだよ!!俺の先祖から何もかも奪いやがって!!それに、玉手箱はそれでいいとして、何故数十年も時代を進ませ、先祖を孤立させた!?こればっかりは言い訳しようがねえぞ!!」
「それは…悪いとは思ったけど浦島さんに行ってほしくなかったの…」
「テメエ……許さねぇ!!皆殺しにしてやる!!」
「待ってください!!私を殺しても何にもならないわよ!」
「うるせぇ!!!」
「うぐぁっ!」
乙姫は凶弾を受けその場に崩れ落ちた。
「一瞬で逝けて良かったな…先祖はその何千倍もの時間を苦しんだんだぜ…」
こうして竜宮城は滅んだ。その後、竜宮城跡地からは様々な武器が発見された。そしてその全てには、龍宮人の名前が彫られていた。
時は流れ、一人の男が竜宮城跡地にいた。男は廃墟となった竜宮城を見て涙した。「乙姫様……今更遅いかもしれませんが仇をとりました……。これでようやく安心して眠れます……。」
男の手に握られた拳銃には「乙姫」の文字が刻まれていた。男は拳銃を自らの眉間に当てるとー
ー完ー
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