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第99話 矢野先輩の思い
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僕の反応に先輩は
ちょっと戸惑った様にして、
『ま、そういうことさ』
というように、両肩を上げて僕に目配せした。
僕は先輩の態度から、
何を言いたいのか良く分からなかったけど、
恐らく、触れない方が良いと思ったので、
あまり追求しないでおこうと思った。
そんな時、職員室の戸がガラッと開いて、
僕達を呼んでおいた山本先生が出てきた。
「おー! お前たち、声がするから
いると思ったよ」
そして佐々木先輩を見て、
「なんだ、佐々木、こいつらに用か?」
と尋ねたので、
「いえ、ちょっとした世間話をしていただけです
僕は部活動がありますので、これで失礼します」
と先輩は答えた。
「おう、バレー部はインハイに出るんだろ?
がんばれよ」
「ありがとうございます」
そう言って先輩は僕達を後にした。
先輩が去ると山本先生は、
「じゃあ、お前たちの罰だが、
チョット資料室まで来い」
そう言って、僕達を資料室まで
連行していった。
資料室まで行くと、資料室は物置の様に
ゴチャゴチャとしていて、
僕は、何をしなくてはいけないのか
直ぐに分かった。
山本先生が
「じゃ、ここの整理よろしくな」
と言って資料室を出ていくと柴田さんは、
「え~ こんなの方付けてたら、
明日になっちゃじゃない!
今日は友達とカラオケに行く予定だったのに~」
とブツブツ文句を言ってたので、
「あの、もしよかったら、僕一人でも大丈夫なので
帰っても良いですよ。
でも、クラブに顔を出して
事の状況を説明しないといけないので、
僕が帰って来るまで待っていてもらえますか?
もし先生が来て二人ともいなかったら大変なので」
「え? 良いの?
赤城君、ありがと~
助かっちゃう!
早く行っておいで。
ここでまってるから!」
そう彼女が言ったので、
僕は颯爽と部室まで走って行った。
矢野先輩に事の状況を説明すると、
先輩も来て手伝ってくれると言う事だったので、
僕は悪いと思いながらも、
先輩の好意に甘える事にした。
「柴田さん、すみません、ちょっと遅くなりましたが、
助けが来たので、もういいですよ」
僕がそう言うと、
「じゃあ、私はここで~」
と言った瞬間、
資料室に入って来た人物を見て、
「え? え?
助っ人って矢野先輩?!」
彼女が目を丸々として見開いて、
先輩を見たので、僕は少しおかしくなった。
「君は初めましてだね~
要君のクラスメイト?」
先輩がそう尋ねると、
彼女はモジモジとして
髪をクルクルと指で絡めながら、
「そうで~す」
と聞こえるか、聞こえないか位の
小さな声で言ったので、
僕はその180度の変わりように
また違った意味でびっくりした。
「僕の隣の席にいる柴田さんです」
そう言って先輩に紹介すると、
「柴田さん、初めまして。
要君のクラブの先輩の矢野です。
今日はクラブも暇だったし、
お手伝いにきたよ~」
と先輩は自分から自己紹介をした。
柴田さんは真っ赤になってうつ向いて、
「柴田です。
宜しくお願いします」
と、また小さな声で返答していた。
「あ、そうそう、
友達との時間大丈夫?
早く行った方が良いよ!」
そう言うと柴田さんは、
「あ、いや、私もやっぱり残ります!
これは私にも割り当てられた仕事なので!」
と変わり身の速さで残ることを決めた。
僕はその行動に、
ただ、ただ、呆気に取られていた。
でも、矢野先輩の気前の良さか、
人懐っこい性格の性か、
聞こえないような声で話していた柴田さんも、
段々と打ち解けて、
ついに矢野先輩にずっと僕達に探っていた
質問を投げかけた。
「あの~ 先輩って彼女さんいるんですか?」
僕はひ~っと思いながらも、
静かな表情をして
彼女たちの会話に聞き入った。
「う~ん、彼女と呼べる人はいないね
でも、今熱烈に一人の人に恋してるから、
その人以外はいらないかな?」
その時、先輩が僕の方を
チラッと見たような気がした。
うわ~ 先輩、
それ、先輩好きな人が聞いたら
凄い傷付きますよ~
相変わらずですね~
「その人には片思いなんですか?」
柴田さんも容赦ない。
「そうとも言えるね」
「告白はしないんですか?」
「多分しない」
「どうして?」
「僕の好きな人には恋人がいるから。
それも熱烈に恋してる恋人が……」
それを聞いた時、
僕は変な感覚がした。
多分僕は、先輩の好きな人が誰か気付いている。
先輩の口から聞いた今、
それがはっきりとした。
だから佐々木先輩の態度が
よそよそしかったんだ。
きっと先輩も知ってしまったから。
それがとても心苦しかった。
そして柴田さんの質問にドキッとした。
「奪おうとかはおもわないんですか?」
「それがね、思わないんだよ。
その人が幸せだったら僕も幸せだから
僕の好きな人が前にそう言ってたんだ。
その時はどうして?って思ったけど、
今だったらその気持ちがわかるかな?ってね」
僕は矢野先輩がそう言うのを聞いた時、
涙が出そうになった。
でも、ここで泣くわけにはいかないので、
ぐっとこらえた。
「え~ でも彼女欲しいとか思わないんですか?」
先輩は彼女を見て、
真剣な顔をして、
「思わない。
僕には彼しかいないから」
と答えた。
柴田さんも気付いた様だった。
「先輩の好きな人って
男の人なんですか?」
「男の人だと悪いの?」
「でも……
先輩はαですよね?
じゃあ、その人はΩ?」
「第2次性は関係無いでしょう?
僕はそんなことで愛する人を選ぶわけじゃないよ」
「その人って学校の人?
私の知ってる人ですか?
名前を聞いても?」
彼女もきっと真剣に先輩が好きなんだろう。
矢野先輩もそれが分かってか、
真剣に彼女の質問に答えていた。
でも、彼女の瞳をしかっりと見て、
「それはダメ。
これは僕だけの神聖な思いだから、
他の人とは分かち合わないんだ」
柴田さんはきっと矢野先輩のその人を思う気持ちに
圧倒されたんだろう。
それ以上は何も聞かなかった。
その夜僕は、
矢野先輩の恋愛の仕方を垣間見たような気がして、
その真剣さと愛情に、
凄く切なくなった。
そして目を閉じて、
矢野先輩の幸せを願わずにはいられなかった。
ちょっと戸惑った様にして、
『ま、そういうことさ』
というように、両肩を上げて僕に目配せした。
僕は先輩の態度から、
何を言いたいのか良く分からなかったけど、
恐らく、触れない方が良いと思ったので、
あまり追求しないでおこうと思った。
そんな時、職員室の戸がガラッと開いて、
僕達を呼んでおいた山本先生が出てきた。
「おー! お前たち、声がするから
いると思ったよ」
そして佐々木先輩を見て、
「なんだ、佐々木、こいつらに用か?」
と尋ねたので、
「いえ、ちょっとした世間話をしていただけです
僕は部活動がありますので、これで失礼します」
と先輩は答えた。
「おう、バレー部はインハイに出るんだろ?
がんばれよ」
「ありがとうございます」
そう言って先輩は僕達を後にした。
先輩が去ると山本先生は、
「じゃあ、お前たちの罰だが、
チョット資料室まで来い」
そう言って、僕達を資料室まで
連行していった。
資料室まで行くと、資料室は物置の様に
ゴチャゴチャとしていて、
僕は、何をしなくてはいけないのか
直ぐに分かった。
山本先生が
「じゃ、ここの整理よろしくな」
と言って資料室を出ていくと柴田さんは、
「え~ こんなの方付けてたら、
明日になっちゃじゃない!
今日は友達とカラオケに行く予定だったのに~」
とブツブツ文句を言ってたので、
「あの、もしよかったら、僕一人でも大丈夫なので
帰っても良いですよ。
でも、クラブに顔を出して
事の状況を説明しないといけないので、
僕が帰って来るまで待っていてもらえますか?
もし先生が来て二人ともいなかったら大変なので」
「え? 良いの?
赤城君、ありがと~
助かっちゃう!
早く行っておいで。
ここでまってるから!」
そう彼女が言ったので、
僕は颯爽と部室まで走って行った。
矢野先輩に事の状況を説明すると、
先輩も来て手伝ってくれると言う事だったので、
僕は悪いと思いながらも、
先輩の好意に甘える事にした。
「柴田さん、すみません、ちょっと遅くなりましたが、
助けが来たので、もういいですよ」
僕がそう言うと、
「じゃあ、私はここで~」
と言った瞬間、
資料室に入って来た人物を見て、
「え? え?
助っ人って矢野先輩?!」
彼女が目を丸々として見開いて、
先輩を見たので、僕は少しおかしくなった。
「君は初めましてだね~
要君のクラスメイト?」
先輩がそう尋ねると、
彼女はモジモジとして
髪をクルクルと指で絡めながら、
「そうで~す」
と聞こえるか、聞こえないか位の
小さな声で言ったので、
僕はその180度の変わりように
また違った意味でびっくりした。
「僕の隣の席にいる柴田さんです」
そう言って先輩に紹介すると、
「柴田さん、初めまして。
要君のクラブの先輩の矢野です。
今日はクラブも暇だったし、
お手伝いにきたよ~」
と先輩は自分から自己紹介をした。
柴田さんは真っ赤になってうつ向いて、
「柴田です。
宜しくお願いします」
と、また小さな声で返答していた。
「あ、そうそう、
友達との時間大丈夫?
早く行った方が良いよ!」
そう言うと柴田さんは、
「あ、いや、私もやっぱり残ります!
これは私にも割り当てられた仕事なので!」
と変わり身の速さで残ることを決めた。
僕はその行動に、
ただ、ただ、呆気に取られていた。
でも、矢野先輩の気前の良さか、
人懐っこい性格の性か、
聞こえないような声で話していた柴田さんも、
段々と打ち解けて、
ついに矢野先輩にずっと僕達に探っていた
質問を投げかけた。
「あの~ 先輩って彼女さんいるんですか?」
僕はひ~っと思いながらも、
静かな表情をして
彼女たちの会話に聞き入った。
「う~ん、彼女と呼べる人はいないね
でも、今熱烈に一人の人に恋してるから、
その人以外はいらないかな?」
その時、先輩が僕の方を
チラッと見たような気がした。
うわ~ 先輩、
それ、先輩好きな人が聞いたら
凄い傷付きますよ~
相変わらずですね~
「その人には片思いなんですか?」
柴田さんも容赦ない。
「そうとも言えるね」
「告白はしないんですか?」
「多分しない」
「どうして?」
「僕の好きな人には恋人がいるから。
それも熱烈に恋してる恋人が……」
それを聞いた時、
僕は変な感覚がした。
多分僕は、先輩の好きな人が誰か気付いている。
先輩の口から聞いた今、
それがはっきりとした。
だから佐々木先輩の態度が
よそよそしかったんだ。
きっと先輩も知ってしまったから。
それがとても心苦しかった。
そして柴田さんの質問にドキッとした。
「奪おうとかはおもわないんですか?」
「それがね、思わないんだよ。
その人が幸せだったら僕も幸せだから
僕の好きな人が前にそう言ってたんだ。
その時はどうして?って思ったけど、
今だったらその気持ちがわかるかな?ってね」
僕は矢野先輩がそう言うのを聞いた時、
涙が出そうになった。
でも、ここで泣くわけにはいかないので、
ぐっとこらえた。
「え~ でも彼女欲しいとか思わないんですか?」
先輩は彼女を見て、
真剣な顔をして、
「思わない。
僕には彼しかいないから」
と答えた。
柴田さんも気付いた様だった。
「先輩の好きな人って
男の人なんですか?」
「男の人だと悪いの?」
「でも……
先輩はαですよね?
じゃあ、その人はΩ?」
「第2次性は関係無いでしょう?
僕はそんなことで愛する人を選ぶわけじゃないよ」
「その人って学校の人?
私の知ってる人ですか?
名前を聞いても?」
彼女もきっと真剣に先輩が好きなんだろう。
矢野先輩もそれが分かってか、
真剣に彼女の質問に答えていた。
でも、彼女の瞳をしかっりと見て、
「それはダメ。
これは僕だけの神聖な思いだから、
他の人とは分かち合わないんだ」
柴田さんはきっと矢野先輩のその人を思う気持ちに
圧倒されたんだろう。
それ以上は何も聞かなかった。
その夜僕は、
矢野先輩の恋愛の仕方を垣間見たような気がして、
その真剣さと愛情に、
凄く切なくなった。
そして目を閉じて、
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