消えない思い

樹木緑

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第145話 夜も更けて

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その後暫く僕達はダンスを楽しんだ。

パーティーはまだ続いていたけど、時計が夜中を回った頃、
僕達はお開きにすることに決めた。

試着場に戻って衣装を脱ぎ捨てた後僕は、
ス~ッと大きく息を吸い込んだ。

後少し長くコルセットをはめていたら、
きっと窒息死していたかもしれないと言うのは冗談だが、
本当にそんな気持ちだった。

今はコルセットを脱ぎ捨て、清々しい気持ちさえもした。
でも、閉まっていたお腹が緩んだせいかグーグーとなり始めて、
何だか夜食が欲しいなと思い始めた所だった。

試着室から出ると、先輩は既に着替えて僕の事を待っていてくれた。

「先輩、僕、お腹空いてるみたい……
さっきからお腹の虫が収まらなくて……」

そう言ったのと同時に、またお腹がグ~っと凄い音を立てて鳴った。

先輩は僕のそんなお腹の音を、
お腹を抱えながら笑っていたけど、

「丁度いい、
夜食をルームサービスで1時間後に予約したところさ。
タクシー捕まえてホテルへ帰ろう」

そう言って、表通りまで出ると、タクシーを拾った。

ホテルまでは15分ほどもすると着いた。

ホテルに入り、エレベーターを待っていると、
いくつかのグループと一緒になった。

先輩が35階を押すと、
エレベーターはスムーズに35階まで上りそこで停止した。

僕達がエレベーターから降りると、
それに続いて数人の女の子達も降りた。

僕達が部屋へ向かって歩いて行くと、
その子達も僕達の後についてきた。

僕が、

ん?

っと思っていると、
僕達の部屋の隣で彼女たちも立ち止まり、
カードキーをロックにかざした。

先輩がドアを開けるのを待っている間、
目が合った隣の彼女たちに会釈した。

その時一人の女の子が、

「あの……もし違ったらごめんなさい……
貴方たちもしかしたら、ベネツィア祭で
お話をしたカップルじゃないかしら?」

と尋ねて来た。

僕が先輩の顔を伺うと、

「あ、もしかして、スイーツの所に居た3人組の……」

と先輩が言った途端、彼女たちが

「そうです! そうです!」

と言った。

「いや~ 
お隣さんだなんて凄い偶然ですね。」

「本当に!
今日ここに泊まっている人はほとんどが祭りに来てる人だって
フロントで言ってたから、男性二人組を見て、
背格好が似てたからもしやと思って……」

「どうですか? もう遅いですが、少しの間
これからこちらに遊びに来られませんか?」

そう先輩が声を掛けると、

「お邪魔します、と言いたいところだけど……
恋人たちの邪魔はしないでおきます!

それにしてもあなた達こんな顔してたのね~
変装からは全く想像できなかったわ。

二人とも素敵よ」

そう言って彼女たちは自分たちの部屋へと消えて行った。

僕と先輩はお互いを見合った後、
部屋へと入って行った。

部屋に入ってフ~ッと一息つくと、
先輩は部屋のカーテンを全開にした。

そこには夜景がパ~ッと広がって、
沢山の光がすぐ目の前に迫って来た。

窓際に立つ先輩の隣に立ち、
目の前に広がる夜景に見入った。

「これ、昼に見た景色と同じ光景ですよね?
凄いですね。
僕、感動して言葉が出ません……
でも夜景って奇麗だけど、何故切なくもなるのでしょう?」

そう言って先輩を見上げたら、
先輩の顔が近ずいてきて
先輩の唇が僕の唇に重なった。

余りにも唐突だったので、
目を丸々としていると、
先輩が僕の腰に手を回し、
更に僕を引き寄せ、
僕の口の中に舌を入れて来た。

先輩が下を入れて来るタイミングは学んだ。

僕も同じタイミングで先輩を迎え入れたくなるから。

でも、まだディープなキスになれていない僕は、
長く続くと、息継ぎが旨く出来ず、
ずっと息を止めてると言う様な具合だった。

その時のディープキスは凄く長かった。
先輩は僕の唇に自分の唇を重ねたまま、
自分の舌で僕の口の中を犯してきた。

その長く続いた行為に最初にギブしたのは僕だった。
これ以上息が止めて居られないと思った瞬間、
先輩の唇目掛けてブ~ッと息を吹きかけた。

先輩はびっくりしたように僕を見たけど、

「お前! 鼻で息しろ! 鼻で!」

と言って大笑いした。

その時、

コン・コン・コン

とドアをノックする音がした。

先輩は束さず、

「きっとルームサービスだな」

と言い、ドアまで歩いていくと、
ドアスコープから外を覗き確認すると、
ドアを開けて食事を運んでくれたベルボーイを中に通した。

ベルボーイが持ってきてくれたのは、
出来立てのサンドイッチとスープ。

そしてシャンパンと、“い・ち・ご”……

僕はその苺を見た瞬間ブ~っと吹き出してしまった。

そんな僕を見て先輩は、

「お前、今夜は寝かせないと言っただろ!」

と真っ赤になって言っていたけど、
僕に取ってはどういう風にイチゴを使うのだろうと凄く楽しみだった。

「先輩、美味しそうなスープにサンドイッチですよ!
さあ、食べましょう!」

「まずはシャンパンで乾杯だな」

「あれ? 先輩、ケーキがありませんよ?」

「イチゴがあるからいいさ」

そう言って先輩は、グラスにシャンパンを注いだ。

ハッピーバースデーの歌を歌い乾杯をすると、
僕は一気にシャンパンを飲み干し、
スープとサンドイッチを素早く食べてしまった。

「お前、ちゃんと噛んで食べたのか?
やけに早いな」

「先輩、心配の仕方が最近、矢野先輩化してきてますよ」

そう言って僕が笑うと、
先輩はバツが悪そうにしていた。

先輩もサンドイッチとスープを食べ終えると、

「先輩、これプレゼント!」

そう言って先輩にプレゼントを渡した。

「開けても良いのか?」

「どうぞ」

僕がそう言うと、先輩はプレゼントの袋を開けた。

僕が先輩にあげた物は、ピロウ。

「先輩、今度から部室を尋ねる時は
それ持ってきてください!」

そう言うと、先輩は

「必ず!」

そう言って笑っていた。

「は~ お腹も一杯になったし、
今度は何をしますか?」

と僕が尋ねた。

「じゃあ、一緒にシャワーをしよう!
まだシャワーは一緒にしたこと無いよな」

先輩がそう言うと、僕達はシャワーをしにバスルームへと移った。

「先輩~ 今回も先にお願いします~」

僕が言うと、

「もう全部知ってる!
恥ずかしがらないでさっさと脱げ!」

と身も蓋も無い。

「先輩、それとこれとは話が違いますよ!
やっぱり恥ずかしいです~」

僕がそう言うと、先輩が僕を引き寄せて
シャツを脱がせ始めた。

「先輩~ こういう技、何時覚えたんですか!
前回より数段スムーズにやってますよ!
誰と練習したんですか!」

僕がブウブウと言いながらズボンを下ろすと、
先輩は笑いながら、シャワーの水を出していた。

「ほら、恥ずかしがってないで早く来い!
丁度良い具合にお湯に変わったぞ」

それで僕も先輩の待つシャワールームへと入って行った。

シャワールームは小さくは無かったけど、
すでにモクモクと湯気が立ち込めて、
中はうっすらと湯気で白味掛かっていたけど、
先輩の姿は、はっきりと見て取れた。

先輩が滑らないよう気を付けろと手を差し出すと、
僕は先輩の手を取った。

そして二人してお湯の中に身を任せた。

暫くお湯に当たっていると、
先輩が後ろから抱き着いて僕の首筋にキスをした。

先輩の方を向いて、濡れた髪を手でかき上げると、
先輩の顔が僕の顔の直ぐ近くにあった。

先輩がそっと僕にキスをすると、

「あ~ 俺、煩悩だらけだよな~
もうこんなになって……」

と僕の手を取ると、そのまま先輩の下腹部を触らせた。
僕がそこに目をやると、先輩はもう準備できていた。

僕は暫く静かにじーっとそこを見ていると、
先輩が顔を真っ赤をして言った。

「お前……
何か言ってくれよ!
俺一人で恥ずかしいだろ!」

僕は先輩の顔を見上げ、
先輩の恥ずかしそうな、
何かを期待しているような表情を見て取ると、

「ウワ~ 先輩!
何ですかこれ?
マグナム?
凄い!
おっきい!
ギャ~!」

と笑いながら叫んだ。

先輩としては

「……」

だったけど、直ぐに気を取り戻して、
僕の全身をくすぐり出した。

「お前!
可愛くないヤツにはこうだ!」

先輩のくすぐり攻撃にバランスを崩して前のめりになると、
先輩はシャワーのお湯を止め、
僕を抱きかかえると、
そのままベッドへと運んでくれた。

「先輩、ベッド、濡れちゃいますよ!」

「いいさ、もう一台あるから」

そしてそのまま僕達は我を忘れてお互いを激しく求めあった後、
祭りの疲れもあったせいか、
一度の達成で僕達は、泥の様に眠りに落ちた。

その後僕は、唇をなぞる何かの感覚で目覚めた。

瞼を開くと、先輩がイチゴを僕の唇に沿って這わせていた。

先輩と目が合うと、僕はいたずらの様にイチゴをカプッと食べた。
そして先輩の露わになった裸の上半身が目に入った。

ヒ~ッと思い布団で目隠しをすると、

「お前、今更……」

という先輩の声と共に、自分が裸である事にも気付いた。

「ほら、口開けろ。
もっと苺……」

そう言って先輩は僕の口にイチゴを押し入れた。

そしてイチゴと一緒に入って来た先輩の指をいたずらに舐めて吸うと、
先輩の物がまた元気になった。

先輩が僕の後ろに手を当てると、

「まだ柔らかいな。
お前、上に座れるか?」

そう言って僕を抱えると、自分の膝の上に座らせた。

僕はそのまま腰を先輩に近ずけて行くと、
ゆっくりと焦点を合わせて先輩の上に腰を下ろした。

少しの圧迫感と共に、
先輩が中まで入って来たけど、
昨夜の名残もあり、割とスームーズに事は運んだ。

先輩の上に跨りながらキスをすると、
まだ僕の中に残っていたイチゴは無残にもつぶれ、
そのジュースが僕の唇の端から流れ出した。

先輩がイヤらしくそのジュースを舐めると、
僕の物も元気を取り戻し始めた。
そして我慢できずにそれを先輩のお腹に擦り当て数回動くと、
もうそれは完全なものとなっていた。

僕の腰の動きに合わせて
先輩が奥を突くと、僕達は数分後に同時に果てた。

「お互い、意外と早かったな」

先輩がそう言って笑うと、僕は真っ赤になって先輩に枕を投げて、
先輩の肩に顔を埋めた。

「もう~! 少しはひたってくださいよ!
帰る準備しますか?」

と照れ隠しの様に言うと、先輩は、

「まだあと、数時間はあるさ。
もう1,2発いくか?」

と僕の頭にキスをしながらそう返した。
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