悪役令息なのにエロトラに好かれてる俺

あまはねまきあ

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一年生

訪問!お礼!チートアイテム!

 降星夜は酷い思い出もあったが無事冬休みを迎えた。今日はフォアガード様が家に上がられる日。俺は寮の部屋を丁寧に掃除する。
 温かい暖炉からパチパチとなる火花の音を聞きながらリラックスしているとシャルヴァネラがミルクティーを淹れてくれた。
「ファルト様がだぁい好きなお砂糖たっぷりのミルクティーですよぉ」
「大好きは余計だ。……うん、美味いよ」
「んははっ、それはよかったです」
 色々激動の一年だったと思うが、未だにこの目の前の存在がこの世界において戦争を引き起こすほどの重要人物である実感が沸かない。国外追放になった後のファルトはどうなっていたのか……。
 悪寒がしたので考えるのはやめておこう。
 その時、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。俺は椅子から立ち上がりそのドアを開けた。予想通り、フォアガード様が居た。
「……来たぞ」
「こんにちはぁ、よく来はりましたねぇ、」
「ッ! ミュリリリカ様!! お慕いしておりました!」
 フォアガード様はドアを開けた俺を押しのけ、後ろで紅茶のティーポットを持っていたシャルヴァネラの手を握る。危ないのでやめて欲しいのだが、いやそれよりも俺を押しのけたフォアガード様の顔。かなりの回数フォアガード様のルートを攻略したが、こんなに顔が輝いているのは初めて見た。
 シャルヴァネラは困ったように眉を下げているが嫌がっている素ぶりはない。その様子に俺は一抹の寂しさに似た何かを感じるが、それ以上に嬉しかった。
 そう、シャルヴァネラはやさしくて良い奴なのだ。俺は誇らしげに思いながらソファに座った。
 椅子に座り、向かい側のシャルヴァネラに深く礼をしたフォアガード様は緊張しているのかゆっくり口を開いた。
「……今日、お邪魔させて頂いたのは御礼をしたかったからです」
「いやぁ、僕はそんな大層なことしてまへんよ?」
「いいえ。貴方が何とも思っていなくとも、私にはそれが全てなのです。こちらを」
「これは……」
 フォアガード様が差し出した何かの箱をシャルヴァネラの後ろから覗き込む。その箱の中には瓶が入っていた。中には蛍光色の水色をした液体が入っている。
「なんだ?」
「これは、エルフの秘薬エリクサーですね?」
「そうです。百年に一度、一本のみ精製されるエリクサーです」
「え!? それって!? あの!?」
「おや、ファルト様はご存知でしたか?」
 ご存知も何も、フォアガード様との好感度が最高の状態でエルフの里を訪問しないと手に入らないチートアイテムエリクサーとは。チート要素モリモリのそのアイテムは、好感度が上がりにくいフォアガード様を攻略した者にのみ与えられるご褒美アイテムで、所持さえしていればラスボスであろうと楽々攻略できるというアイテム。具体的には全能力のバフとかかっていたデバフの解除、数ターンデバフの無効に加え体力魔力の全回復の効果がある。そのチートアイテムが、目の前に。
 ゴクリと喉がなる俺にシャルヴァネラはくすりと笑う。
「んはは、ファルト様が釘付けになってはりますね。いいものを頂いてなんとお礼を言えばいいのか」
「先生ヤバいな!!」
「ヤバい……? 恩義はきちんと返すべきです。それでは」
 立ち去ろうとするフォアガード様の背に俺は声をかける。そう、彼はシャルヴァネラを崇拝レベルで好いているというのにやけにあっさりと去るでは無いか。
「先生、帰るの早くないですか?」
「用事が終われば帰るのは当然だろう。それに……いつまでも生徒の部屋にいてはいけないからな。お前は殿下の婚約者である為あまり長居してしまえば殿下の御耳に入ることになるだろう。そうなれば僕の首は無くなる」
「……た、確かに……。」
 結婚前に不貞を働いたと疑われて処刑エンドなんて、かなたんで攻略しているときは考えもしなかったが、ファルトになるとそんなこともあるのか。かなり厄介だな……。
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