悪役令息なのにエロトラに好かれてる俺

あまはねまきあ

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二年生

出会い

 浣腸事件があったものの、俺は無事に二年へと上がることができた。二年生の特大イベントと言えば文化祭である。三年に一度の文化祭イベントということもあり、かなりの盛り上がりを見せるのだが……問題は別にある。そう、一年生だ。後輩キャラの中には俺の弟、レリックがいる。レリックルートにも勿論お邪魔キャラとしてファルトが登場するのだが、ヴォル様ほどの妨害はない。その理由が当主の座と関係があるかはわからないが昨年よりもかなたんをもっと注視して生活する必要がある。
 ラミレスの覚醒イベントを逃すという失態も帳消しにしてやる程の悪役令息ムーブをしてやるという決意を新たに、新年度を迎えた。
 二年生の学棟は一年時とは異なるため、その荷物運びを丸一日行う。ここで、かなたんと一年生キャラがランダムに出会う。その時にも当然かなたんにヤジを飛ばし惨めに論破される仕事が待っている。正史の悪役令息ムーブのイメージはばっちりだ! さあかかってこい! イベント……!
 と、思っていたのだが……。
「わっ、ごめんなさいっ!!」
「っ、どこを見ているんだ!! おま……えぇ……」 
 目の前には特徴的なピンク色の髪、そして視線の見えない程に長い前髪にフリルでひらひらの制服……彼はルミナ・ピスティク。二年時に出会う後輩隠しキャラである。出会う条件の中に魅力値がいくらか必要だったのだが、どうして、どうしてここで俺と会うんだっ!!
 かなたんはまだ登校していないため登校する前に俺だけ荷物を運びきって原作にあった『平民は荷物を運ぶのも一苦労だな』という煽りをしたかっただけなのに……。
 このルミナ、あろうことかかなたんの魅力が高いとそこに惚れ込んで前髪を切り心機一転! 新しくなった俺を見てと言わんばかりにわんこ系後輩となりアタックを始めるタイプだ。タンカーでもあってダンジョンの最後、女神の穢れそのものと戦う時に非常に優秀な為ほぼ外せないキャラとなっている。隠しキャラなだけあって強い。
 散らばった教科書、参考書類を拾い集めながら視線がかち合う。
「あ……」
「ふん、鈍臭いヤツめ。……僕の教科書が床に落ちてしまったじゃないか」
「ごめんなさい……」
「君の謝罪は受け取るに値しない。これに反省したら精々、そのだらしない前髪を切って僕の視界に入らないよう精進するんだな」
 とりあえず悪役っぽいことを言い残して俺はそそくさとその場を去ることにした。
 こんな所でアイツに会うとは思わなかった。この時間に彼がいたということは恐らく入学準備が進められているのだろう。新入生がいるってことはもしかしたらレリックも居るかもしれない。出会ったら最悪だ。
 ため息を吐きながら早足でその場を去る。早くかなたんと会って心を癒したい……いや、虐めるのだけれど。朝の清々しい空気が少しだけ淀んだ気がした。
「兄さん」
「ミ゚ッ!!! れ、レリック……飛び級したらしいな、お前……」
「えぇ。兄さんの学園での生活は参考にさせて頂きました」
「な、なんだその含みのある言い方は……」
「いいえ、なんでもありません。兄さんは……」
 視線が何となく気持ち悪い。
 本能的嫌悪感を感じる為視線を逸らしているとぽたりと雫が滴った。視線の先、レリックの足元のタイルに液体があった。
 パッと顔を上げればレリックは複眼をこちらに向けていた。
「お変わり、無いようでよかったです」
「クソッ、その気持ち悪い目を僕に向けるな!!」
 いつだか……レリックルートでのファルトのセリフ。
 つい、出てしまった。
 しまった、と思いつつも言ってしまったことだしファルトが実際に言っていたことだから大丈夫だろうとその場を立ち去ろうとわざと肩をぶつけてやる。
 しかし、レリックは狼狽えることなく俺をじっと見つめていた。何がそこまで執着させるのか全くわからないが、とにかく悪役として満点の評価を貰えるくらいに自信ある演技ができたと思う。




 教室に戻ると、既にラミレスは来ていたようでロッカーの中を整理しながら話しかけてきた。
「あ、ファルちゃん。遅かったね?」
「ふん、僕は荷物が多いんだ」
「へー? あ、じゃあ俺の荷物も運んでよ~」
「それくらい自分で運べ!」


 
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