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第一章 一節。
第17話 襲撃。
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◇◇◇
「リコリー嬢。流石にやり過ぎだ。庇いきれない。学園長はどうですか?」
「殿下の仰る通り、どうにもなりません。仕方がないので、暫く謹慎、と言うことで………。」
フレデリーク、ジャクリーン、エレーヌの私物全てを焼き付くしたのだ。ついでにベッド机も……。
フレデリークは侯爵家。ジャクリーンとエレーヌは伯爵家。
因みにジャン=リュックも侯爵家だが、階位は五位。フレデリークのル・フォール家は従四位とジャンの家より家格が上だ。
そう言うことで、ルーセル殿下がいくら王族だからと貴族三家に対し、どうこう言える迄も無く、それに私事である。
私刑だろうが、私事。
だから、処分が謹慎なのでは無く、処分保留で謹慎なのだ。
令嬢三人も学園には来ていない。リコリーも謹慎中。
一年A組の20人中四人がいない教室。「ルー君、何だか寂しいね。」と言うベルナールの言葉を訊いたルーセル王子は、直ぐ殴り掛かって来るリコリーを思うのであった。
◇◇◇
処分保留のまま10日が過ぎた。前期末試験は明後日から。多分、ではない絶対試験は受けられ無いだろう。
「それでも、お勉強はするのね?白ちゃん。」
「……はい。」
「もう、私寝るわよ?一緒に寝ましょう?」
「また今度。」
夜は更けて行く。
「………せんぱい、グレースせんぱい。先輩、起きて。」
「…なあにい?一緒に寝るう。」
「違います。誰か、来ます。」
「誰か、って、誰?」
――――ガチャァァーーーーンン。
窓ガラス飛び、鈍色の軽装鎧を装着した。おそらく男性であろう……が、リコリーに剣を振りおろした。
義手の装着が間に合わず、廊下に転がり出されたリコリー。
グレースは、ベッドの中で震えている。
(先輩は平気だ、と思う。ならわたしが目的……敵の目標ね。)
場所を変えなければ……。
リコリーは、女子寮の外へと飛び出す。
リコリーを追って、鈍色の鎧男も外へと出て来た。
(しくじったぁー。義手は無い。靴も履けて無い。武器も無い。無い無い三重苦かしら?さて……)
「ははっはははっはあぁぁぁ!殺る殺れる。やっと、やっと勝てるぅ!リコリー嬢ぉぉぉーーー!!!勝負だぁー!」
「ああ、ピカード様でしたか。勝負?ですの?丸腰のわたくしに?凄いですわ。畏れ入りました。まさかこのような矜持をお持ちの令息がいらっしゃるとは……。驚いて呆けそうですわ。」
「煩い煩い煩い!勝つんだ!僕は勝つ。そうしたら、帝国貴族になれるんだぁあああ!」
「ああ、帝国にそそのかれた。と言う訳ですか。情けない男。
ところで、本当に勝てるとお思いで?」
「当たり前だ。丸腰なのだからなあ。」
「本当に可哀想な、バカ。」
―――――ュヒュウオオオオオオオオオーーーーー。。。
ジャンの身体の動きが緩慢になる。
「あ、あれ?動か、な、い?」
「寒く無いですの?」
―――え?寒い?って。。。あ、あ、あ、あ、ぁ、ぁ、。
「チェイッサッ!」
すっかり凍ったジャンの身体であったそれが、砕けた。
(もう、学園には、いられないかなぁ。楽しかったな。中途で無断で退学で、さぁ、行こうか。。。)
◇◇◇
「ああー、さ、寒いですの。」
ミリディアは王都の北部にいる。
昨日、誕生日を迎えて13歳になったばかりだ。第二王女エステルの侍女マリーの報告書にリコリーの生年月日も書いてあったのだ。
「ああ、あー、デビュタントしたかったなあー。ダンス踊りたかったなあー。婚約しとけば良かった………のか?」
「あ、そこは疑問詞になるにですね?」
「つか、何故、コリーが犬の?」
「『つか、何故、マリーがいるの?』で、ございます。そもそも、リコリー様、私は姫様の任務を遂行中だっただけです。そこに貴女が……」
リヴィエール王国王都プレスキール、『リコリー・ブランシュ製作所王都支店』で夜中、旅支度をしていたリコリー。
そこに賊が押し入った……「コッソリ」入って来た。だから、リコリーは普通(この場合の普通と言う物の定義は分からない)に撃退した。
賊の他に侵入者がいたのだが、一緒くたに攻撃してしまったリコリーは、怪我をした………、させたマリーを介抱する。
で、なり行きで一緒に旅をしている。
訳が分からない。
で、『冒険者組合』に登録するのだが、リコリーやましてミセリコルディアで登録するのは、足が付く、と考え『ミリディア』と言う名を名乗っている。
「王都では、大騒ぎでしょうね。聖女白姫の失踪。侯爵家令息の殺人事件。リコリー・ブランシュ製作所の襲撃。リコ…ミリディア、全部貴女の事案ですよ?」
「仕方なかったの。ピカードが殺しに来るし、支店は何者かに忍び込まれるし、もう、嫌になっちゃったー。」
「最後のが本音ですね?」
「ああ、うん。」
「では、参りましょう。何処へ行きますか?」
「帝都。帝国の帝都のソレイユ邸。」
「目的は?」
「復讐に決まっているじゃない。」
「リコリー嬢。流石にやり過ぎだ。庇いきれない。学園長はどうですか?」
「殿下の仰る通り、どうにもなりません。仕方がないので、暫く謹慎、と言うことで………。」
フレデリーク、ジャクリーン、エレーヌの私物全てを焼き付くしたのだ。ついでにベッド机も……。
フレデリークは侯爵家。ジャクリーンとエレーヌは伯爵家。
因みにジャン=リュックも侯爵家だが、階位は五位。フレデリークのル・フォール家は従四位とジャンの家より家格が上だ。
そう言うことで、ルーセル殿下がいくら王族だからと貴族三家に対し、どうこう言える迄も無く、それに私事である。
私刑だろうが、私事。
だから、処分が謹慎なのでは無く、処分保留で謹慎なのだ。
令嬢三人も学園には来ていない。リコリーも謹慎中。
一年A組の20人中四人がいない教室。「ルー君、何だか寂しいね。」と言うベルナールの言葉を訊いたルーセル王子は、直ぐ殴り掛かって来るリコリーを思うのであった。
◇◇◇
処分保留のまま10日が過ぎた。前期末試験は明後日から。多分、ではない絶対試験は受けられ無いだろう。
「それでも、お勉強はするのね?白ちゃん。」
「……はい。」
「もう、私寝るわよ?一緒に寝ましょう?」
「また今度。」
夜は更けて行く。
「………せんぱい、グレースせんぱい。先輩、起きて。」
「…なあにい?一緒に寝るう。」
「違います。誰か、来ます。」
「誰か、って、誰?」
――――ガチャァァーーーーンン。
窓ガラス飛び、鈍色の軽装鎧を装着した。おそらく男性であろう……が、リコリーに剣を振りおろした。
義手の装着が間に合わず、廊下に転がり出されたリコリー。
グレースは、ベッドの中で震えている。
(先輩は平気だ、と思う。ならわたしが目的……敵の目標ね。)
場所を変えなければ……。
リコリーは、女子寮の外へと飛び出す。
リコリーを追って、鈍色の鎧男も外へと出て来た。
(しくじったぁー。義手は無い。靴も履けて無い。武器も無い。無い無い三重苦かしら?さて……)
「ははっはははっはあぁぁぁ!殺る殺れる。やっと、やっと勝てるぅ!リコリー嬢ぉぉぉーーー!!!勝負だぁー!」
「ああ、ピカード様でしたか。勝負?ですの?丸腰のわたくしに?凄いですわ。畏れ入りました。まさかこのような矜持をお持ちの令息がいらっしゃるとは……。驚いて呆けそうですわ。」
「煩い煩い煩い!勝つんだ!僕は勝つ。そうしたら、帝国貴族になれるんだぁあああ!」
「ああ、帝国にそそのかれた。と言う訳ですか。情けない男。
ところで、本当に勝てるとお思いで?」
「当たり前だ。丸腰なのだからなあ。」
「本当に可哀想な、バカ。」
―――――ュヒュウオオオオオオオオオーーーーー。。。
ジャンの身体の動きが緩慢になる。
「あ、あれ?動か、な、い?」
「寒く無いですの?」
―――え?寒い?って。。。あ、あ、あ、あ、ぁ、ぁ、。
「チェイッサッ!」
すっかり凍ったジャンの身体であったそれが、砕けた。
(もう、学園には、いられないかなぁ。楽しかったな。中途で無断で退学で、さぁ、行こうか。。。)
◇◇◇
「ああー、さ、寒いですの。」
ミリディアは王都の北部にいる。
昨日、誕生日を迎えて13歳になったばかりだ。第二王女エステルの侍女マリーの報告書にリコリーの生年月日も書いてあったのだ。
「ああ、あー、デビュタントしたかったなあー。ダンス踊りたかったなあー。婚約しとけば良かった………のか?」
「あ、そこは疑問詞になるにですね?」
「つか、何故、コリーが犬の?」
「『つか、何故、マリーがいるの?』で、ございます。そもそも、リコリー様、私は姫様の任務を遂行中だっただけです。そこに貴女が……」
リヴィエール王国王都プレスキール、『リコリー・ブランシュ製作所王都支店』で夜中、旅支度をしていたリコリー。
そこに賊が押し入った……「コッソリ」入って来た。だから、リコリーは普通(この場合の普通と言う物の定義は分からない)に撃退した。
賊の他に侵入者がいたのだが、一緒くたに攻撃してしまったリコリーは、怪我をした………、させたマリーを介抱する。
で、なり行きで一緒に旅をしている。
訳が分からない。
で、『冒険者組合』に登録するのだが、リコリーやましてミセリコルディアで登録するのは、足が付く、と考え『ミリディア』と言う名を名乗っている。
「王都では、大騒ぎでしょうね。聖女白姫の失踪。侯爵家令息の殺人事件。リコリー・ブランシュ製作所の襲撃。リコ…ミリディア、全部貴女の事案ですよ?」
「仕方なかったの。ピカードが殺しに来るし、支店は何者かに忍び込まれるし、もう、嫌になっちゃったー。」
「最後のが本音ですね?」
「ああ、うん。」
「では、参りましょう。何処へ行きますか?」
「帝都。帝国の帝都のソレイユ邸。」
「目的は?」
「復讐に決まっているじゃない。」
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