魔王の果実Ⅱ【朽ちてゆく者】

亜坊 ひろ

文字の大きさ
13 / 17

魔王の果実Ⅱ朽ちてゆく者【第13話】

しおりを挟む


 降り立った埠頭の光景に唖然とする二人。

「痛ぇ…助けて…くれ…」

 あの老人ホームで見た暴力団の組員らしき男たちが、血だらけの状態で倒れていた。数にすれば4、50人。まさに戦場のような光景だった。

 「な、なんじゃ…これは…」

 するとその中からあの時の若頭らしき男が足を引きずりながらベルルに助けを求めてくる。

 「た、助けてくれ!あんた、あの女の知り合いだったろ!あの女狂って…グワッ!“ブシュー!”」

 頭から血しぶきをあげてこと切れる男。

 するとラナリュがすぐに水銀灯の上のマドリアに反応する。

 「おばさん!上!」

 「誰が狂ってるだと…?薄汚れたブタが…言葉はわきまえて使わないとなぁ…」

 対峙するベルル達とマドリア。

 「マドリア…。おぬしなんということを…」

 「来たか…ベルル…。今使えないゴミを始末していた所だ。それとこないだの小僧…。ちゃんとピスコの石は持って来たろうな…ハアァ!“グレイズ!”」

 紫色の光弾がベルルとラナリュを襲う。即座に2方向へ飛びかわす。

 「ラナリュ!グレイズは誘導弾じゃ!追ってくるぞ!」

 「はいはい、こんなのは防御すりゃ、簡単でしょ…”シルド!“」

 ”ズバーン!”

 ベルルもスサノオで弾きかえす。

 「タァア!!」

 “ダーン!”

 「随分な挨拶だね…マドリアのおばさん、俺はそこのベルおばさん見たいに、やさしくないよ~そぉれ!“インパルス!”」

 ”バリバリ!!”

 電磁力の波動がマドリアを襲う。

 「ハァ!」

 ラナリュの攻撃を素早くかわし地上へ降りるマドリア。

 「やはりな…。ただの小僧ではないと思っていたが、その魔力、その魔術の素早さは…あんた王族だね…」

 「へぇ…俺のインパルスをいとも簡単に交わしちゃうなんて。でも…これはやりすぎじゃない?…。いい加減にしないと…殺るよ」

 ラナリュの魔力が蒸気の様に身体から立ち上る。

 「腹の立つ小僧だ…。じゃまずは貴様から葬ってやる!天から授かりし…魂の息吹!ハアァ!“ビュラーマ!”」

 ”バシューン!!“

 ラナリュに向けられた突風の刃。

 「そうこなくちゃ…楽しませてくれよ!狂気の魔女狩りだぁ!凍てつく蒼光!ウリァア!”ブリーゼス!”」

“パキーン!”

 二人の強大な魔力のぶつかり合い。ベルルは震えで動けずにいた。

 「な、なんという闘いじゃ…あのマドリアの最高度魔法自体を凍らせるとは…。あれがラナリュの本当の力…。今のわしでは本当に足手まとい…」

 そんなベルルの一瞬の心の隙をつかれニヤリと笑うマドリア。

 「では、これはどうかな…?焔集えしこの掌に…そして弾けろ!“バストラーダ!”」

 ラナリュへと思いきや咄嗟にベルルに向けられる最大爆裂魔法。

 「しまった!ベルおばさん!逃げて!」

第14話へ続く

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...