355 / 362
* 死神生活三年目&more *
第355話 住職はつらいよ②
しおりを挟む
「大丈夫! お前ならやれるよ! 誰がなんと言おうと、俺はお前を信じてる! だから、さあ!」
住職が寮の管理権限を渡されてから少しして、寮の住人たちは廊下に垂れ下がっているランタンを懸命に励ます彼を見かけた。誰かが「灯りが切れてるところがあるから、どうにかしてくれ」と申告したらしく、住職は灯りを取り戻すべく必死にランタンに話しかけていた。
死神寮の外観や内装は西洋の古い家のようなデザインとなっている。そのため灯りもランタンなのだが、だからといって松明や蝋燭を燃やしているというわけではない。しかしながら、中で何かが揺らめいているように見えるのだ。なので、住職は〈社員食堂の火の番をイフリートさんがしているように、寮の灯りも何かしらの精霊が関与しているのでは〉と思い、話しかけてみるという手段に出たらしい。
「なあ、あいつ、いつまであそこでランタンを励ましてるつもりなんだ? かれこれ一時間はああしてるだろう」
「なんか、できることならマコさんに助けを求めずに自力で解決したいんだって」
現場を通りかかった死神ちゃんが同居人に呆れ気味に尋ねると、彼女は苦笑いを浮かべてそう答えた。――だとしても、マニュアル的なものがあるだろうから読めばいいのに。そう思いながら、死神ちゃんは同居人と一緒にリビングへと入っていった。
「もう。何で管理マニュアルを確認しないのよ。アンタ、もしかして、取扱説明書や手引書は確認しないタイプなの?」
しばらくして、買い物から帰ってきたマッコイが呆れ返りながらランタンの手入れを住職にして見せた。どうやら、寮の灯りは普通に電気でついているらしい。ビットご自慢の超科学により魔法的な電気が通っているのだが、ランタンの耐久年数もかなり長いため灯りが灯らなくなるということもほとんどないのだという。だから、ランタンの不具合に今まで遭遇したことのなかった住職はそのカラクリを知ることはなかったのだ。
「とりあえずやってみるというチャレンジ精神はとても素晴らしいですけれどね、取説があるものは見てみましょうよ。そうしたら、無駄が省けるから」
「そうだな……。最初からそうしていれば、一時間以上もランタンに熱血メッセージを送り続けて、周りから失笑を買うということもなかったよな……」
「そもそも、そんな時間をかけるものでもないでしょう? 自力で何とかしようとするのはいいことだけれど、そこまで時間をかけるくらいなら、聞いてちょうだいよ」
「はい、すみません。次からはそうします……」
住職はしょんぼりとうなだれながらも、マッコイに教えてもらいながらランタンの手入れを自分でもやってみることにした。
彼は寮長を引き継いでから、一生懸命に何かをしては空回りをしていた。破戒僧を拗らせて鬼へと堕ちたという生前を持つ彼は、力に溺れて暴れまわるという不良気質だったがゆえに細かいことやお勉強が大の苦手だった。別に頭が悪く学がないというわけではないのだが、頭を使うよりも先に体を動かしたくなってしまうのだ。そのため、今回のような恥ずかしい失敗をしでかしてしまうことが度々あった。
管理業務は意外と細かく作業があり、デスクワークもたくさんあった。彼の知っている〈寮長〉たちは、過去も現在も、のほほんとしている者が結構多かった。だから、彼だけではなく誰もが〈管理業務で大変なのは死神としての実務にかかる部分だけであり、寮の管理は特にすることがないから片手間で同時にできるのだろう〉と思っていた。
しかし、実際は結構なハードワークだった。班長として一括で管理を任されているがために、寮の管理も業務の一環として任されているのだが、よくもまあ今まで副長を置かずに班長一人でこの膨大な仕事をこなしていたものである。住職は班長職を狙っていたが結局選ばれず、マッコイをやっかんでいた昔の自分を恥じた。そして、六ヶ月で全ての業務を覚えることが果たしてできるのだろうかと不安に思った。
「あらいやだ、そんな不安がらないでよ。アタシはごく普通の会社勤めなんかしたことがないから、アリサに聞いてみたんだけれども。大抵どこの会社も試用期間三ヶ月の間に業務を覚え込ませたり、一年かけてじっくり育てたりするらしいわよ。つまり、最低でも三ヶ月あれば、ある程度は使い物になるってことでしょう? だから、六ヶ月間きちんと真面目に業務に取り組めば、ちゃんと独り立ちできるようになるわよ」
「そういうもんか? 本当に、そうなれるかな。俺、班長向いてないんじゃあないかな……」
「なれるわよ。むしろ、ならなきゃ。だって、アンタ、一日でも早く〈復活〉したいんでしょう?」
「うん、だって、子ども欲しいし。そのためには、いつまでも待たせるわけにはいかないから」
「アンタなら大丈夫だと思ったからアタシは副長にアンタを推したし、後任にも選んだのよ。だから、頑張って。役職手当で給料がアップする分、復活も近くなるんだから」
住職はうなずくと、おみつへの愛のために研修の日々に打ち勝とうと気合いを入れ直した。しかし、年度末に入って班長としての業務の予習や新入社員を迎えるための準備が始まると、彼は再び根を上げ始めた。新人研修を円滑に行うために模擬研修を何度か行ったのだが、生徒役を買って出てくれた同居人たちからの評価がいまいちだったのだ。
頭を抱える住職に、クリスが苦笑いで言った。
「大丈夫だよ。住職の研修は、グレゴリーさんや軍曹よりは分かりやすかったよ。あの人たち、体で覚えろタイプだから、マコ姉みたいに手取り足取り丁寧には教えてくれなかったんだよね」
住職はその一言で気持を持ち直すと、新年度に備えた。
新年度になると、住職の肩書きは〈死神課第三班副長〉から〈班長〉へと変わった。役職の面では、完全にマッコイから引き継ぎが完了した状態になったのだ。しかし、彼の研修期間はまだあと三ヶ月は残っている。ここで脱落して短い班長人生とならぬよう、気を引き締めていこうと住職は気合いを入れ直した。
新人を迎えるという日、彼はマッコイから〈こちらの世界に来たばかりの者の中でも性格矯正を受けた者は特に、こちらの世界の生活に馴染むまでの数日から数ヶ月は荒れることがある〉と説明を受けた。この説明は準備期間中にも聞いており、また住職自身も経験があることなので理解と把握はきちんとしていた。
「アタシもアンタの研修者として一緒に立ち会うけれど、アンタが助けを求めるまでは何があっても動かないから」
「あれだよな、もしも暴れるようなことがあった場合には、手荒なことをしてでも止めていいんだよな?」
「ええ。凶悪犯だった子とかだと、魔道士様にはいい顔しておいて、こちらに来てすぐにやんちゃし始めることがあるのよね。性格が落ち着いてきたら安定して暴れることもなくなるんだけれど、はじめのうちはどうしてもそういうことがあるから」
「任せろ。新人の履歴書を見た限りでは、戦闘経験者ではないらしいから。パワー勝負には自信があるし、そもそも素人に負けるなんて破戒僧が廃るからな。仮に暴れられたとしても、お前の手を煩わせること無く収めてやるさ」
そう胸を張って挑んだ新人のお迎えだったが。暴れた新人をねじ伏せたのは住職ではなく、なんと死神ちゃんだった。
死神ちゃんはクリスのとき同様、偶然その場に居合わせた。そして新人は幼女が先輩だということに馬鹿にされたような気持ちになり、死神ちゃんを蹴飛ばした。お腹を思いきり蹴られてうずくまった死神ちゃんを見て住職が動転していると、起き上がった死神ちゃんが新人に対して諜報員時代に仕込まれた格闘術を仕掛けたのだった。
「おいこら、新人。この世界の住人をな、見かけだけで判断したら痛い目に遭うんだぜ。覚えておくんだな」
小さな幼女にねじ伏せられた新人は、いろいろとショックだったようで一週間ほど自室に引きこもった。平謝りする死神ちゃんに「大丈夫だ、問題ない」と返しながらも、住職は半ば半泣きで新人のケアに当たった。
「性格を矯正された反動で引きこもるヤツは今までもたくさんいたがさ、まさか幼女に投げ飛ばされたのがショックで引きこもるだなんて。そんな事例はもちろん無いから、どう対応したらいいか分からなかったよ……」
ひとまず新人研修を終えることができたころ、住職はマッコイと反省会を兼ねた〈お疲れ様飲み会〉を開いていた。酒を煽りながらしょんぼりと肩を落とす住職に、マッコイは同情の言葉をかけた。
「でも、これからも薫ちゃんに対してそういう反応をする新人は現れると思うわよ。アタシがいる間に、一通りのアクシデントが起こるといいわね」
「不吉なこと言わないでくれよ!」
「あら、だって、側ですぐに教えてくれる人がいる間に一通りそういうことを経験しておけば、一人になったときに困らないでしょう」
「そうだけどもさあ……」
住職はため息をつくと「薫ちゃんが幼女姿から解放されて常におっさん姿でいられるようになったら、こんな事態も起きないだろうに」とこぼした。新人を迎えるというのは毎年のようにあるわけではない。しかし、お迎えをするたびに〈何故、幼女がいるのか〉を説明しないといけないのは面倒くさいと住職は思った。また、マッコイがいなくなったら、死神ちゃんの幼女スイッチが入ったときにあやすことができる筋肉が一部位減るのだ。
「俺、体を鍛えること、やめないよ……。薫ちゃんが満足のいく上腕二頭筋を維持できるように頑張るよ……」
住職が何やらまた迷走しはじめたのを、マッコイは心配そうに表情を曇らせた。そして住職がよく分からない使命感を燃えたぎらせ酒を煽るように飲み干すのを見つめながら、本当にあと三ヶ月で独り立ちしてくれるのだろうかとマッコイは若干不安に思ったのだった。
――――住職の迷走は凄まじく、彼主導のもと〈マッスル同好会〉が発足したという。活動の主眼が〈筋肉神の御心を満たす〉だったこともあり、死神ちゃんは本気で「外堀を埋めるようなことは止めてくれ」と思ったそうDEATH。
住職が寮の管理権限を渡されてから少しして、寮の住人たちは廊下に垂れ下がっているランタンを懸命に励ます彼を見かけた。誰かが「灯りが切れてるところがあるから、どうにかしてくれ」と申告したらしく、住職は灯りを取り戻すべく必死にランタンに話しかけていた。
死神寮の外観や内装は西洋の古い家のようなデザインとなっている。そのため灯りもランタンなのだが、だからといって松明や蝋燭を燃やしているというわけではない。しかしながら、中で何かが揺らめいているように見えるのだ。なので、住職は〈社員食堂の火の番をイフリートさんがしているように、寮の灯りも何かしらの精霊が関与しているのでは〉と思い、話しかけてみるという手段に出たらしい。
「なあ、あいつ、いつまであそこでランタンを励ましてるつもりなんだ? かれこれ一時間はああしてるだろう」
「なんか、できることならマコさんに助けを求めずに自力で解決したいんだって」
現場を通りかかった死神ちゃんが同居人に呆れ気味に尋ねると、彼女は苦笑いを浮かべてそう答えた。――だとしても、マニュアル的なものがあるだろうから読めばいいのに。そう思いながら、死神ちゃんは同居人と一緒にリビングへと入っていった。
「もう。何で管理マニュアルを確認しないのよ。アンタ、もしかして、取扱説明書や手引書は確認しないタイプなの?」
しばらくして、買い物から帰ってきたマッコイが呆れ返りながらランタンの手入れを住職にして見せた。どうやら、寮の灯りは普通に電気でついているらしい。ビットご自慢の超科学により魔法的な電気が通っているのだが、ランタンの耐久年数もかなり長いため灯りが灯らなくなるということもほとんどないのだという。だから、ランタンの不具合に今まで遭遇したことのなかった住職はそのカラクリを知ることはなかったのだ。
「とりあえずやってみるというチャレンジ精神はとても素晴らしいですけれどね、取説があるものは見てみましょうよ。そうしたら、無駄が省けるから」
「そうだな……。最初からそうしていれば、一時間以上もランタンに熱血メッセージを送り続けて、周りから失笑を買うということもなかったよな……」
「そもそも、そんな時間をかけるものでもないでしょう? 自力で何とかしようとするのはいいことだけれど、そこまで時間をかけるくらいなら、聞いてちょうだいよ」
「はい、すみません。次からはそうします……」
住職はしょんぼりとうなだれながらも、マッコイに教えてもらいながらランタンの手入れを自分でもやってみることにした。
彼は寮長を引き継いでから、一生懸命に何かをしては空回りをしていた。破戒僧を拗らせて鬼へと堕ちたという生前を持つ彼は、力に溺れて暴れまわるという不良気質だったがゆえに細かいことやお勉強が大の苦手だった。別に頭が悪く学がないというわけではないのだが、頭を使うよりも先に体を動かしたくなってしまうのだ。そのため、今回のような恥ずかしい失敗をしでかしてしまうことが度々あった。
管理業務は意外と細かく作業があり、デスクワークもたくさんあった。彼の知っている〈寮長〉たちは、過去も現在も、のほほんとしている者が結構多かった。だから、彼だけではなく誰もが〈管理業務で大変なのは死神としての実務にかかる部分だけであり、寮の管理は特にすることがないから片手間で同時にできるのだろう〉と思っていた。
しかし、実際は結構なハードワークだった。班長として一括で管理を任されているがために、寮の管理も業務の一環として任されているのだが、よくもまあ今まで副長を置かずに班長一人でこの膨大な仕事をこなしていたものである。住職は班長職を狙っていたが結局選ばれず、マッコイをやっかんでいた昔の自分を恥じた。そして、六ヶ月で全ての業務を覚えることが果たしてできるのだろうかと不安に思った。
「あらいやだ、そんな不安がらないでよ。アタシはごく普通の会社勤めなんかしたことがないから、アリサに聞いてみたんだけれども。大抵どこの会社も試用期間三ヶ月の間に業務を覚え込ませたり、一年かけてじっくり育てたりするらしいわよ。つまり、最低でも三ヶ月あれば、ある程度は使い物になるってことでしょう? だから、六ヶ月間きちんと真面目に業務に取り組めば、ちゃんと独り立ちできるようになるわよ」
「そういうもんか? 本当に、そうなれるかな。俺、班長向いてないんじゃあないかな……」
「なれるわよ。むしろ、ならなきゃ。だって、アンタ、一日でも早く〈復活〉したいんでしょう?」
「うん、だって、子ども欲しいし。そのためには、いつまでも待たせるわけにはいかないから」
「アンタなら大丈夫だと思ったからアタシは副長にアンタを推したし、後任にも選んだのよ。だから、頑張って。役職手当で給料がアップする分、復活も近くなるんだから」
住職はうなずくと、おみつへの愛のために研修の日々に打ち勝とうと気合いを入れ直した。しかし、年度末に入って班長としての業務の予習や新入社員を迎えるための準備が始まると、彼は再び根を上げ始めた。新人研修を円滑に行うために模擬研修を何度か行ったのだが、生徒役を買って出てくれた同居人たちからの評価がいまいちだったのだ。
頭を抱える住職に、クリスが苦笑いで言った。
「大丈夫だよ。住職の研修は、グレゴリーさんや軍曹よりは分かりやすかったよ。あの人たち、体で覚えろタイプだから、マコ姉みたいに手取り足取り丁寧には教えてくれなかったんだよね」
住職はその一言で気持を持ち直すと、新年度に備えた。
新年度になると、住職の肩書きは〈死神課第三班副長〉から〈班長〉へと変わった。役職の面では、完全にマッコイから引き継ぎが完了した状態になったのだ。しかし、彼の研修期間はまだあと三ヶ月は残っている。ここで脱落して短い班長人生とならぬよう、気を引き締めていこうと住職は気合いを入れ直した。
新人を迎えるという日、彼はマッコイから〈こちらの世界に来たばかりの者の中でも性格矯正を受けた者は特に、こちらの世界の生活に馴染むまでの数日から数ヶ月は荒れることがある〉と説明を受けた。この説明は準備期間中にも聞いており、また住職自身も経験があることなので理解と把握はきちんとしていた。
「アタシもアンタの研修者として一緒に立ち会うけれど、アンタが助けを求めるまでは何があっても動かないから」
「あれだよな、もしも暴れるようなことがあった場合には、手荒なことをしてでも止めていいんだよな?」
「ええ。凶悪犯だった子とかだと、魔道士様にはいい顔しておいて、こちらに来てすぐにやんちゃし始めることがあるのよね。性格が落ち着いてきたら安定して暴れることもなくなるんだけれど、はじめのうちはどうしてもそういうことがあるから」
「任せろ。新人の履歴書を見た限りでは、戦闘経験者ではないらしいから。パワー勝負には自信があるし、そもそも素人に負けるなんて破戒僧が廃るからな。仮に暴れられたとしても、お前の手を煩わせること無く収めてやるさ」
そう胸を張って挑んだ新人のお迎えだったが。暴れた新人をねじ伏せたのは住職ではなく、なんと死神ちゃんだった。
死神ちゃんはクリスのとき同様、偶然その場に居合わせた。そして新人は幼女が先輩だということに馬鹿にされたような気持ちになり、死神ちゃんを蹴飛ばした。お腹を思いきり蹴られてうずくまった死神ちゃんを見て住職が動転していると、起き上がった死神ちゃんが新人に対して諜報員時代に仕込まれた格闘術を仕掛けたのだった。
「おいこら、新人。この世界の住人をな、見かけだけで判断したら痛い目に遭うんだぜ。覚えておくんだな」
小さな幼女にねじ伏せられた新人は、いろいろとショックだったようで一週間ほど自室に引きこもった。平謝りする死神ちゃんに「大丈夫だ、問題ない」と返しながらも、住職は半ば半泣きで新人のケアに当たった。
「性格を矯正された反動で引きこもるヤツは今までもたくさんいたがさ、まさか幼女に投げ飛ばされたのがショックで引きこもるだなんて。そんな事例はもちろん無いから、どう対応したらいいか分からなかったよ……」
ひとまず新人研修を終えることができたころ、住職はマッコイと反省会を兼ねた〈お疲れ様飲み会〉を開いていた。酒を煽りながらしょんぼりと肩を落とす住職に、マッコイは同情の言葉をかけた。
「でも、これからも薫ちゃんに対してそういう反応をする新人は現れると思うわよ。アタシがいる間に、一通りのアクシデントが起こるといいわね」
「不吉なこと言わないでくれよ!」
「あら、だって、側ですぐに教えてくれる人がいる間に一通りそういうことを経験しておけば、一人になったときに困らないでしょう」
「そうだけどもさあ……」
住職はため息をつくと「薫ちゃんが幼女姿から解放されて常におっさん姿でいられるようになったら、こんな事態も起きないだろうに」とこぼした。新人を迎えるというのは毎年のようにあるわけではない。しかし、お迎えをするたびに〈何故、幼女がいるのか〉を説明しないといけないのは面倒くさいと住職は思った。また、マッコイがいなくなったら、死神ちゃんの幼女スイッチが入ったときにあやすことができる筋肉が一部位減るのだ。
「俺、体を鍛えること、やめないよ……。薫ちゃんが満足のいく上腕二頭筋を維持できるように頑張るよ……」
住職が何やらまた迷走しはじめたのを、マッコイは心配そうに表情を曇らせた。そして住職がよく分からない使命感を燃えたぎらせ酒を煽るように飲み干すのを見つめながら、本当にあと三ヶ月で独り立ちしてくれるのだろうかとマッコイは若干不安に思ったのだった。
――――住職の迷走は凄まじく、彼主導のもと〈マッスル同好会〉が発足したという。活動の主眼が〈筋肉神の御心を満たす〉だったこともあり、死神ちゃんは本気で「外堀を埋めるようなことは止めてくれ」と思ったそうDEATH。
0
あなたにおすすめの小説
悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました
ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公
某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生
さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明
これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語
(基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる