とあるメイドの優雅な日常

夕凪子凪

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その1

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 「おはようございます。アイリ様。」「…………おはようございます…。」言いつつ部屋に入ると、この国の第一王子の奥様であるアイリ様がベットの上で恥ずかしそうにこちらを見ておりました。昨日は1週間ぶりでしたので、いろいろと激しかったのでしょう。今はもう太陽も空高く上って沈みどちらかというと「こんばんは」という時間帯です。  昨日どのように求められたのか知りたいという衝動に迫られますが理性でおしとどめます。
「お湯の支度が出来ております。どうぞ、昨日の疲れをとってきてくださいませ。」「あっ、ありがとうございます。」恥ずかしそうに浴室に入かれるのを見届け、ベットのシーツを綺麗なものに取り替えます。お妃様のお世話をさせていただくのは私1人しかいないので、時間との勝負です。手早く、ですが丁寧に。シーツを取り替えたあとは、朝食兼昼食の準備です。窓の近くにある机にお皿の準備をしておきます。丁度終わった頃、アイリ様の声が聞こえてきました。「お風呂終わりました….。」「かしこまりましたすぐに参ります。」クローゼットからドレスを取り出し浴室へ。「お待たせ致しました。」下着の上から手早くお妃様にドレスを着せていきます。さっと髪を結わえて着替えは完了です。「終わりました」「ありがとう」にっこりと微笑みお礼を言われ 一瞬意識がとびかけました。アイリ様の笑顔は国宝級だと思います。さて、気を取り直して。「お食事のご用意が出来ておりますどうぞこちらへ。」アイリ様を腰掛けたのを確認し、紅茶の用意に取り掛かります。しっかりと茶葉を蒸らして、ベストドロップと呼ばれる最後の一滴まで注ぎきります。
「どうぞ、お飲み物でございます。」「ありがとう。セイラの淹れた紅茶は本当に美味しいわ。」「お褒めいただき光栄でございます。」しばし穏やかな時間が流れます。毎日、アイリ様は昨日の夢の話や惚気としか思えない陛下への愚痴をほんのりと頬を赤らめながらお話してくださいます。それを聞くのが私の毎日の楽しみでございます。
「アイリ!」突然ドアが開き、アイリ様が誰かに抱きつかれました。「ひゃっ!で、殿下!?」この国の第一王子のエリアス・ルーツ様でした。フワフワの金髪に青い瞳、そして整った顔立ちに均整のとれた体つき。ザ・王子。それがアイリ・ルーツ様の旦那さまです。
 「殿下、お仕事は?!」「もう、終わらせてきたよ。だからご褒美をくれないかな。」エリアス様は私に気づいていないのでしょう。というか、そもそも視界にすら入っていないのでしょう。いちゃいちゃモードにはいられました。そのままベットインしそうな勢いです。というか、するでしょう。
 私はお邪魔のようなので退散させていただきましょう。「それでは、アイリ様、殿下失礼致します。」もう聞こえてはいないでしょうが、挨拶をしてお皿をワゴンに載せ部屋を出ました。そのまま厨房にむかいます。(ああ、アイリ様、殿下、今日もバカップルぷりを見せていただけけ私は幸せ者でございます。)思いつつお皿を厨房に届け少し遅い夕食を取り自室へ。(萌え~っ!)ベットに寝転がり妄想に浸り、ベットでしばし悶えます。
 「さて、と。」メイド服から簡素なワンピースに着替え、メモ帳をもってお城の中庭へ向かいます。ある目的のために。
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