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バイス王国征服編
第54話 侵略戦争
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イリアス救出より3ヶ月の時が経った。
——魔王の間。
魔王デモニカ・ヴェスタスローズの鎮座する古代遺跡に血族の者達が次と移動魔法で現れる。
俺とレオリア。フィオナ、ナルガインが魔王の前に跪く。イリアスが最後に現れ、慌てて俺達を真似て跪いた。
「ヴィダル。我らを呼んだ目的を述べよ」
「デモニカ様の望み、この世界の征服について開始の準備が全て整った。フィオナ、兵力の説明を」
フィオナへと視線を送ると、彼女は頷いて「鏡影召喚」を唱える。すると魔王の間に一際大きな鏡が現れる。そこには魔王軍、エルフェリア軍の兵士達が映っていた。
「我がエルフェリア軍の召喚士育成は終了しました。エルフェリア軍兵力2万、召喚士5000。デモニカ様の魔王軍兵力2万4000。合わせて4万9000。大国と十分に渡り合える兵力となります」
彼女の説明に合わせさらに状況を伝える。俺の説明に合わせ、鏡にゴーレム兵が映った。
「魔王軍戦力内にはゴーレム兵、フェンリル族、ダロスレヴォルフ、ディープドラゴンが含まれる。通常の兵力よりも高く見積もって良い。ここからは国家間のバランスを気にせず、我らの力を見せつける」
デモニカは噛み締めるように目を閉じる。そして、再び目を開くとナルガインとイリアスを見つめた。
「領土状況を教えよ」
イリアスが立ち上がり、得意気に胸を張った。
「エルフェリアとメリーコーブ国境地点の防衛は万全じゃ! 領土侵犯を行っていた海竜人共は妾の部隊が分からせてやったのじゃ!」
「あれはやり過ぎです。全員殺してしまっては調査の為に再び人が送られるでしょう?」
フィオナが苦言を呈すとイリアスが舌を出して挑発する。
「送られて来たらまたやっちまうからいいのじゃっ!!」
「そういう問題では……」
揉めそうな2人を止め、話をナルガインへと振った。
「オレに命ぜられた領土拡張……グレンボロウ他小国3国周辺の村、街を攻め落とし、我らの領土はバイス王国との緩衝地帯目前まで広がっている」
ナルガインが「バイス」という単語を発した時、デモニカの顔が曇った気がした。
「バイス王国とはなんじゃ?」
俺の持つ知識と密偵に収集させた情報を伝えていく。
「バイス王国はヒューメニア含め4大国に次ぐ中規模国家。推定兵力は5万。今回召集したのは他でも無い。バイス王国への侵攻を立案したい」
デモニカの表情が笑みへと変化する。
「ほう。続けよ」
「今の俺達と同格の兵力を持つバイス王国へ戦争作法を守った上で……仕掛ける。それを正式に打ち倒すことで、我らは他国同様に国家運営の資格を得ることになるだろう」
「国家運営の資格?」
レオリアが首を傾げる。周囲を見渡すとナルガインとイリアスも良く分かっていないようだった。
……少し説明が必要か。
「いいか? 俺達は支配した後のことも考えなければならない。我らがこの世界のルールも守れぬ無法者と認識されれば民は支配を拒み、他国が交渉テーブルにつくことも無くなってしまう」
イリアスが大袈裟に手を叩く。
「そうか! ルールに則って勝利するとみんなが妾達を認めてくれるということじゃな!」
「そう。国として認識されるとはそういうことだ。抵抗が激しくては次の侵略に支障が出る。交渉テーブルが用意できなければゲームをコントロールできないからな」
「さすがですねヴィダル。常に2手先へ思考を巡らせるなんて……」
フィオナが微笑みを浮かべた。その視線に熱が篭っているような気がするが、気付かないフリをした。
「それが俺の仕事だからな」
「それで、戦争のルールって、オレ達は何をすれば良いんだ?」
「宣戦布告。合戦場の指定。降伏勧告。これを行う。要は敵へ準備期間を与えるということだ」
しかし、これはあくまで今回の戦争の上澄みでしかない。俺の本当の狙いはこの先にある。
全員を見渡し、ゆっくりと言葉を伝える。
「バイス王国。密偵の情報によると強烈な圧政が敷かれている。この国の王は暴君と言っても良いだろう」
「圧政」と聞いてレオリアが唇を噛み締める。
……彼女の村がそうであったからな。
労わるようにその手を取った。
「我ら魔王軍は暴君から民を救う。この大義を持って戦争を引き起こす」
「え~? なんかまどろっこしいの~」
「覚えておけイリアス。侵略戦争には大義が必要なんだ。大義があるか否か……それが今後の明暗を分けると言っても過言ではない」
「そ、そうなのか? 覚えておくのじゃ」
「魔王が大義か……それも面白い」
デモニカが呟く。
「大義とそれに伴う結果さえあれば良いんだ。例え過程がどうであろうと」
正義などと言う概念は周囲をコントロールする為に掲げるものだ。それを掲げ、勝利する。そうすることで他国は俺達を非難する道理は無くなる。下手に攻め立てれば今度は己が悪の烙印を押されるからな。
「良いだろう。まずはバイス王国へ使い魔を送れ。宣戦布告を行いその暴君とやらに冷や水を浴びせてやろう」
魔王デモニカは笑みを消した。
「バイス王国への侵攻を開始せよ」
——魔王の間。
魔王デモニカ・ヴェスタスローズの鎮座する古代遺跡に血族の者達が次と移動魔法で現れる。
俺とレオリア。フィオナ、ナルガインが魔王の前に跪く。イリアスが最後に現れ、慌てて俺達を真似て跪いた。
「ヴィダル。我らを呼んだ目的を述べよ」
「デモニカ様の望み、この世界の征服について開始の準備が全て整った。フィオナ、兵力の説明を」
フィオナへと視線を送ると、彼女は頷いて「鏡影召喚」を唱える。すると魔王の間に一際大きな鏡が現れる。そこには魔王軍、エルフェリア軍の兵士達が映っていた。
「我がエルフェリア軍の召喚士育成は終了しました。エルフェリア軍兵力2万、召喚士5000。デモニカ様の魔王軍兵力2万4000。合わせて4万9000。大国と十分に渡り合える兵力となります」
彼女の説明に合わせさらに状況を伝える。俺の説明に合わせ、鏡にゴーレム兵が映った。
「魔王軍戦力内にはゴーレム兵、フェンリル族、ダロスレヴォルフ、ディープドラゴンが含まれる。通常の兵力よりも高く見積もって良い。ここからは国家間のバランスを気にせず、我らの力を見せつける」
デモニカは噛み締めるように目を閉じる。そして、再び目を開くとナルガインとイリアスを見つめた。
「領土状況を教えよ」
イリアスが立ち上がり、得意気に胸を張った。
「エルフェリアとメリーコーブ国境地点の防衛は万全じゃ! 領土侵犯を行っていた海竜人共は妾の部隊が分からせてやったのじゃ!」
「あれはやり過ぎです。全員殺してしまっては調査の為に再び人が送られるでしょう?」
フィオナが苦言を呈すとイリアスが舌を出して挑発する。
「送られて来たらまたやっちまうからいいのじゃっ!!」
「そういう問題では……」
揉めそうな2人を止め、話をナルガインへと振った。
「オレに命ぜられた領土拡張……グレンボロウ他小国3国周辺の村、街を攻め落とし、我らの領土はバイス王国との緩衝地帯目前まで広がっている」
ナルガインが「バイス」という単語を発した時、デモニカの顔が曇った気がした。
「バイス王国とはなんじゃ?」
俺の持つ知識と密偵に収集させた情報を伝えていく。
「バイス王国はヒューメニア含め4大国に次ぐ中規模国家。推定兵力は5万。今回召集したのは他でも無い。バイス王国への侵攻を立案したい」
デモニカの表情が笑みへと変化する。
「ほう。続けよ」
「今の俺達と同格の兵力を持つバイス王国へ戦争作法を守った上で……仕掛ける。それを正式に打ち倒すことで、我らは他国同様に国家運営の資格を得ることになるだろう」
「国家運営の資格?」
レオリアが首を傾げる。周囲を見渡すとナルガインとイリアスも良く分かっていないようだった。
……少し説明が必要か。
「いいか? 俺達は支配した後のことも考えなければならない。我らがこの世界のルールも守れぬ無法者と認識されれば民は支配を拒み、他国が交渉テーブルにつくことも無くなってしまう」
イリアスが大袈裟に手を叩く。
「そうか! ルールに則って勝利するとみんなが妾達を認めてくれるということじゃな!」
「そう。国として認識されるとはそういうことだ。抵抗が激しくては次の侵略に支障が出る。交渉テーブルが用意できなければゲームをコントロールできないからな」
「さすがですねヴィダル。常に2手先へ思考を巡らせるなんて……」
フィオナが微笑みを浮かべた。その視線に熱が篭っているような気がするが、気付かないフリをした。
「それが俺の仕事だからな」
「それで、戦争のルールって、オレ達は何をすれば良いんだ?」
「宣戦布告。合戦場の指定。降伏勧告。これを行う。要は敵へ準備期間を与えるということだ」
しかし、これはあくまで今回の戦争の上澄みでしかない。俺の本当の狙いはこの先にある。
全員を見渡し、ゆっくりと言葉を伝える。
「バイス王国。密偵の情報によると強烈な圧政が敷かれている。この国の王は暴君と言っても良いだろう」
「圧政」と聞いてレオリアが唇を噛み締める。
……彼女の村がそうであったからな。
労わるようにその手を取った。
「我ら魔王軍は暴君から民を救う。この大義を持って戦争を引き起こす」
「え~? なんかまどろっこしいの~」
「覚えておけイリアス。侵略戦争には大義が必要なんだ。大義があるか否か……それが今後の明暗を分けると言っても過言ではない」
「そ、そうなのか? 覚えておくのじゃ」
「魔王が大義か……それも面白い」
デモニカが呟く。
「大義とそれに伴う結果さえあれば良いんだ。例え過程がどうであろうと」
正義などと言う概念は周囲をコントロールする為に掲げるものだ。それを掲げ、勝利する。そうすることで他国は俺達を非難する道理は無くなる。下手に攻め立てれば今度は己が悪の烙印を押されるからな。
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