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ヒューメニア戦争編
第99話 ヒューメニア戦争開戦 ーヴィダルー
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——ヒューメニア近郊。エリュシア草原。
ヒューメニア領が目前へと迫った所で魔王軍は進軍を止めた。
ここから先はヤツらの視界へと入る。そこを突破する為の策をここで行う。
「イリアス。召喚士達へ魔力向上魔法を」
「了解じゃヴィダル!」
イリアスが魔力向上魔法「声咆哮術」を唱えると、フィオナを含めた召喚士達が淡い緑の光を帯びていく。
「にゃふふ。妾に感謝するのじゃぞフィオナぁ?」
フィオナは、イリアスをチラリと見てため息を吐く。そして召喚士達へと語りかけた。
「水の精霊を召喚せよ」
召喚士達が次々に水の精霊を召喚していく。
「続いて召喚士は魔力を私へ。発動後は空間操作に集中しなさい」
フィオナが青いエルフ文字を空中へと描く。それは空へと昇っていき、黄金の球体を作り出した。
「渾沌の使者」
フィオナが唱えた直後、広大な草原が真っ黒な大地……混沌の使者の空間へと塗り潰される。
「これから私は空気中の水元素の操作に入ります。混沌の使者での戦闘補助は期待しないで」
「分かってる。イリアスとザビーネは手筈通りオレと来い。連中の布陣に風穴を開けてやる」
ナルガインのフルヘルムから赤い光が漏れる。彼女の戦意を見てその部隊の者は感嘆の声を上げた。
「うぅ……怖いですよぉ~」
「大丈夫じゃザビーネ、頃合いを見て妾が元のザビーネに戻してやるからの」
「で、でもぉ……」
イリアスとザビーネのやり取りを見たレオリアが手を叩いて注目を集めた。
「はいはい雑談はおしまい! 今からヴィダルとデモニカ様の話があるよ~みんな聞くように!」
血族の者の視線が集まる。デモニカの顔を見ると、彼女は静かに頷いた。
「事前に説明した通り、今回の攻撃は二方面から行う。ナルガイン、イリアス、ザビーネは部隊を率いてヒューメニアの東側へ攻撃。俺とレオリアはデモニカ様と共に西側より攻撃を行う目的は……」
「地点記録魔法を打つことじゃろ?」
「そうだ。血族の者で移動魔法が使える者はイリアスとデモニカ様。俺達はこの2人を守る。2人のうちどちらかがヒューメニア内へと侵入し、地点記録魔法を放つ。これが決まれば俺達の勝利だ」
「移動魔法で国内へ直接部隊を送り込むのじゃ! ハーピオンの時と同じじゃ!」
「ふふふふふ……あの時の鳥女達の顔、笑えたな~」
「い、嫌な思い出ですぅ……」
「レオリア、貴方までヴィダルの言葉を邪魔してどうするのですか……」
召喚魔法を操作しているフィオナが苦しそうな声でレオリアを嗜める。
「あ?」
瞳孔を細くして威嚇するレオリアをなだめながら、皆へ細かな攻撃ポイントを共有した。
◇◇◇
「以上で作戦説明は終了だ」
俺が話し終えると、デモニカがフワリと空中へ舞い上がる。その視線の先には魔王軍へと編入された兵士達が彼女の言葉を待っていた。
自ら足を踏み入れた者、敗北して従った者、様々な種族から集まった者達……皆経緯は違うが、同じ眼をしていた。
それはデモニカを敬愛する眼。
彼女の元に居場所を見出し、支配されることを望む眼だった。
彼女が話すタイミングに合わせて、イリアスが拡声魔法を放つ。
デモニカは、目の前に並んだ兵士達1人1人に届けるように言葉を紡いだ。
「皆、今日までご苦労であった。貴様達の働きにより、我が魔王軍の戦いはここまでの局面を迎えることができた」
張り詰めた緊張感の中、彼女の声だけが草原に響き渡る。
「ヴィダルより聞いたであろう。我は創世の神であり、世界を破壊し尽くそうとした魔神である」
俺がその事実を告げた時、兵士達は誰も疑わず、そして……彼女を恐れなかった。
それは今のデモニカを知っているから。冷酷でありながら、慈愛を持ち合わせる彼女を知っているから。
「だが、我が名乗るのは魔王。それはなぜか?」
彼女は一度言葉を止めると、皆の顔をゆっくりと見渡した。
「この世界は欲望に支配されている。人が人を虐げ、奪い、操る。己こそが絶対たる王だと自負して止まない者達が支配している。己の利の為に他の全ての者から奪っている。その尊厳を」
全員が押し黙る。皆経験があるんだ。屈辱を味わったことが。
「人が人を支配するなど……おこがましいにも程がある。そんな世界は我らが力を持って破壊しよう! 我が作るのは欲望抱く者達へ絶対なる恐怖を与える世界! 故に我は名乗ろう! 奴らにとっての『魔王』だと!」
デモニカが魔王と口にした瞬間、歓声が上がる。熱狂が湧き上がる。その熱狂を飛び越えるように彼女はさらに声を張った。
「我の元に下った者達には繁栄を! この世界の支配者は我1人で良い! 我の支配の元で貴様達は真の自由を勝ち取るであろう!」
その言葉と共にフィオナ達による魔法の霧が発生する。視界の遥か前方から霧のベールに包まれていく。
仲間達に向かってナルガインが槍を掲げた。
「これが最後の決戦だ! 我が魔王軍の総力を尽くし、デモニカ様へ勝利を!」
熱狂の中、仲間達が雄叫びを上げる。
その様子を見て、デモニカは開戦の言葉を放った。
「これより、この世界の征服を開始する」
ヒューメニア領が目前へと迫った所で魔王軍は進軍を止めた。
ここから先はヤツらの視界へと入る。そこを突破する為の策をここで行う。
「イリアス。召喚士達へ魔力向上魔法を」
「了解じゃヴィダル!」
イリアスが魔力向上魔法「声咆哮術」を唱えると、フィオナを含めた召喚士達が淡い緑の光を帯びていく。
「にゃふふ。妾に感謝するのじゃぞフィオナぁ?」
フィオナは、イリアスをチラリと見てため息を吐く。そして召喚士達へと語りかけた。
「水の精霊を召喚せよ」
召喚士達が次々に水の精霊を召喚していく。
「続いて召喚士は魔力を私へ。発動後は空間操作に集中しなさい」
フィオナが青いエルフ文字を空中へと描く。それは空へと昇っていき、黄金の球体を作り出した。
「渾沌の使者」
フィオナが唱えた直後、広大な草原が真っ黒な大地……混沌の使者の空間へと塗り潰される。
「これから私は空気中の水元素の操作に入ります。混沌の使者での戦闘補助は期待しないで」
「分かってる。イリアスとザビーネは手筈通りオレと来い。連中の布陣に風穴を開けてやる」
ナルガインのフルヘルムから赤い光が漏れる。彼女の戦意を見てその部隊の者は感嘆の声を上げた。
「うぅ……怖いですよぉ~」
「大丈夫じゃザビーネ、頃合いを見て妾が元のザビーネに戻してやるからの」
「で、でもぉ……」
イリアスとザビーネのやり取りを見たレオリアが手を叩いて注目を集めた。
「はいはい雑談はおしまい! 今からヴィダルとデモニカ様の話があるよ~みんな聞くように!」
血族の者の視線が集まる。デモニカの顔を見ると、彼女は静かに頷いた。
「事前に説明した通り、今回の攻撃は二方面から行う。ナルガイン、イリアス、ザビーネは部隊を率いてヒューメニアの東側へ攻撃。俺とレオリアはデモニカ様と共に西側より攻撃を行う目的は……」
「地点記録魔法を打つことじゃろ?」
「そうだ。血族の者で移動魔法が使える者はイリアスとデモニカ様。俺達はこの2人を守る。2人のうちどちらかがヒューメニア内へと侵入し、地点記録魔法を放つ。これが決まれば俺達の勝利だ」
「移動魔法で国内へ直接部隊を送り込むのじゃ! ハーピオンの時と同じじゃ!」
「ふふふふふ……あの時の鳥女達の顔、笑えたな~」
「い、嫌な思い出ですぅ……」
「レオリア、貴方までヴィダルの言葉を邪魔してどうするのですか……」
召喚魔法を操作しているフィオナが苦しそうな声でレオリアを嗜める。
「あ?」
瞳孔を細くして威嚇するレオリアをなだめながら、皆へ細かな攻撃ポイントを共有した。
◇◇◇
「以上で作戦説明は終了だ」
俺が話し終えると、デモニカがフワリと空中へ舞い上がる。その視線の先には魔王軍へと編入された兵士達が彼女の言葉を待っていた。
自ら足を踏み入れた者、敗北して従った者、様々な種族から集まった者達……皆経緯は違うが、同じ眼をしていた。
それはデモニカを敬愛する眼。
彼女の元に居場所を見出し、支配されることを望む眼だった。
彼女が話すタイミングに合わせて、イリアスが拡声魔法を放つ。
デモニカは、目の前に並んだ兵士達1人1人に届けるように言葉を紡いだ。
「皆、今日までご苦労であった。貴様達の働きにより、我が魔王軍の戦いはここまでの局面を迎えることができた」
張り詰めた緊張感の中、彼女の声だけが草原に響き渡る。
「ヴィダルより聞いたであろう。我は創世の神であり、世界を破壊し尽くそうとした魔神である」
俺がその事実を告げた時、兵士達は誰も疑わず、そして……彼女を恐れなかった。
それは今のデモニカを知っているから。冷酷でありながら、慈愛を持ち合わせる彼女を知っているから。
「だが、我が名乗るのは魔王。それはなぜか?」
彼女は一度言葉を止めると、皆の顔をゆっくりと見渡した。
「この世界は欲望に支配されている。人が人を虐げ、奪い、操る。己こそが絶対たる王だと自負して止まない者達が支配している。己の利の為に他の全ての者から奪っている。その尊厳を」
全員が押し黙る。皆経験があるんだ。屈辱を味わったことが。
「人が人を支配するなど……おこがましいにも程がある。そんな世界は我らが力を持って破壊しよう! 我が作るのは欲望抱く者達へ絶対なる恐怖を与える世界! 故に我は名乗ろう! 奴らにとっての『魔王』だと!」
デモニカが魔王と口にした瞬間、歓声が上がる。熱狂が湧き上がる。その熱狂を飛び越えるように彼女はさらに声を張った。
「我の元に下った者達には繁栄を! この世界の支配者は我1人で良い! 我の支配の元で貴様達は真の自由を勝ち取るであろう!」
その言葉と共にフィオナ達による魔法の霧が発生する。視界の遥か前方から霧のベールに包まれていく。
仲間達に向かってナルガインが槍を掲げた。
「これが最後の決戦だ! 我が魔王軍の総力を尽くし、デモニカ様へ勝利を!」
熱狂の中、仲間達が雄叫びを上げる。
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