461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第32話 461さん、謎の男に勧誘される。

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 ナーゴの配信の後、アイルと別れて真っ直ぐ帰ろうとしたが、何だか自分で夕飯を作りたくなったので、足を延ばして上野のアメ横周辺までやって来た。ナーゴの影響かもな。

 アメ横の中にある食材店。冒険家Bのマスターに教えてもらったそこは、魚介類の他に食材用モンスターも取り扱っている店だった。


 パールクラブにリムサーモン……クランチフィッシュもいるな。こうやって並んでると他の魚介類と区別付かない。

「ううん……魚焼きグリルはあったよな。パールクラブはどうやって食えばいいんだ?」

「パールクラブは鍋にすると美味しいよ」

 店のおばさんがあれこれ調理法を教えてくれる。だがあいにくこんなデカい蟹が入る鍋なんて持ってないんだよなぁ……。

 散々悩んで、焼くと美味いと勧められたリムサーモンを買って店を出た。

「わ、鎧の人がいる!」
「あの人どっかで見たような……」

 ……流石に目立つか。

 秋葉原と違って上野はまだ人が多い。鎧の俺が歩くだけでみんなこちらを見てくる。

 う、気まずいな。

 人ごみを避けるように通りに出た。これからはちゃんと考えないとなぁ。場合によってはヘルムも外して……ってそうなると絶対気が抜けるだろうな。


 家のある湯島方面へ向かう信号を待っていると、男に声をかけられた。


「探索者461ヨロイだな」


 顔を上げると黒いスーツに後ろで髪を結んだ男……持っている長い袋は槍か? ホストみたいな格好だが、武器を持ってるって事は探索者か。

「勝負とかに興味は無いぞ」

「いやいやすまない。私はジークリードのような無礼者ではなくてね。君をスカウトに来たのさ」

「スカウト?」

「そう。我ら『九条商会』の一員に君を招きたい。『最強のD級』と呼ばれる君が入れば我らとしても非常に心強い」

「はぁ? 俺にはそんな大層な名前はねぇぞ。人違いだろ」

 男の横をすり抜けようとした時、男が行く手を遮るように立ち塞がった。

「急いでるんだ。勘弁してくれ」

「君はこの社会体制を不満だと思わないか? 人が魔族に管理され、ダンジョン探索を強いられる世界を」

 人の話を聞かねぇヤツだな。

「現在は配信者の影響もあり探索者は増え続けているが、いずれは減少へと転じるだろう。そうなればどうなる? ダンジョン探索は義務だ。システムを維持するために魔族共は徴兵制へと切り替えるだろう」

 黒スーツの男が視線だけで周囲を確認し、俺へと手を差し出す。

「最強のD級よ。私達とこの世界を元に戻そう」

「元に戻す?」

「無論。魔王軍に支配される前の世界にだ。奴らさえ倒せば、それができる」

 男が鋭い目をギラリと光らせる。自信に満ちた表情に鋭い目付き……相当腕に覚えがあるんだろうな。

 だけどなぁ……なんか厄介なヤツに話しかけられたな。ていうか俺に言うなよ。

「他を当たってくれ」

「……今東京のダンジョンの生態が変わっているのは知っているだろう? これは管理局も……魔族も魔王軍も体験したことが無い状況なんだ。今は千載一遇のチャンス。乗るなら今しかないが?」

「はぁ……」

 めんどくせ。こういうヤツが一番苦手なんだ。

「断る。俺は興味無い」

 立ち塞がった男を押し除け、横をすり抜ける。

「我らと共に来ればダンジョン産アイテムの安定した販売ルートも提供できるぞ?」

「俺は気楽なのが好きなんだ」

 点滅した信号に合わせるように走って信号を渡る。横断歩道を渡った後、気になって振り返ると男はジッと俺の事を見つめていた。


 なんだったんだアイツ?


 あ、そうだ。そんなことより、リレイラさんに品川攻略の件報告しないとな。



◇◇◇

~黒スーツの男~

 鎧の男が去っていく。あくまでも現状から目を背けるか。腕は確かだが我らとは相容れぬ存在……だがそれもまた一興。そのような強者を従えてこそ俺の立場も上がるというものだ。

鳴石なるいし様」

 背後から聞き慣れた声が聞こえる。振り返ると、メガネの男……部下の滝田たきたの姿があった。

「なんだ?」

「本当にあのような男を迎えるおつもりですか?」

「……先日のクイーンスパイダーとの戦いを聞いているだろう? あれは新たな仲間を集める呼び水となる。九条くじょう様もそれを望んでいるだろう」

「私には、どうもヤツの強さというものが分かりません」

「私も初めはそう思ったさ。だがな。ヤツの戦いを見た九条様は仰ったのだ『あの男が欲しい』と。ならば、それを叶えるのが我らの役目」

「は、はい」

 滝田は不満気な顔をしたが、何も言わずに頷いた。我らにとっては九条様の考えが絶対。滝田なりにそれを理解したのだろう。

 いずれにせよ、志が無い者であれば、別の方法で従えるまでだ。

「……ヤツの交友関係は狭い様子。ダンジョン管理局の担当魔族との関係性も良好……信じ難いことだがな」

「どうするので?」

「決まっている。断れない状況を作ればいい」

「断れない状態……ですか」

「まずは10人ほど人を集めろ。魔族狩り・・・・と行こうじゃないか」

 油断している魔族共が。貴様達が非力と蔑む我ら人でもお前達と戦えるすべがあることを教えてやろう。


「ふふ」


 ……461。非凡な才能を持つ貴様を、必ず従わせてみせるぞ。


 そして九条様の名の下に人類の解放を。


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