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第41話 渋谷ダンジョンと新パーティ
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品川ダンジョンを攻略してから1週間。
俺とアイルとリレイラさんは冒険家Bで次に挑むダンジョンについて打ち合わせする事になった。
早朝の冒険家Bはアイテムの納品や仕入れを終えた探索者達で賑わい、マスターが忙しそうに厨房を動き回っている。時折愚痴るような声も聞こえるし……相当イラついてるなこれは。
「ああクソッ! 繁盛するのはいいが忙しすぎる! そろそろバイトでも雇うか!?」
ナーゴの料理配信で冒険家Bは一部から熱烈な支持を得るようになったらしい。ナーゴが卸したブリッツアンギラの身は2日で完売。その間に店を訪れた探索者や一般人が、マスターの腕に惚れ込み繁盛するようになった。
「でもまさかブリッツアンギラの蒲焼きが食べたいって人が押し寄せるなんてねぇ」
アイルが運ばれて来たラルサーモンのムニエルを齧る。美味しかったのかその顔が一気に綻んだ。
「ダンジョン管理局にも近隣種の問い合わせが殺到しているよ。よほど日本人は鰻とやらを求めていたんだな」
リレイラさんの話によると、あまりの要望の多さにダンジョン管理局もブリッツアンギラの近隣種調査に躍起になっているみたいだ。
「あ゛~やっと捌き終わったぜえ~」
肩を落としたマスターが何かをテーブルに置く。
「ほらよ。差し入れ」
それは白いカップに入ったカプチーノだっだ。
「あ、ナーゴが描いてある」
アイルの声にカップに視線を移すと、カプチーノの泡の上にココアパウダーで描かれたナーゴの顔があった。猫の顔に大きな目。それを見てるだけでにゃーにゃー声が聞こえて来そうだ。
「ナーゴのおかげで店も繁盛しただろ? だから作ってみたんだよな!」
豪快にガハハと笑うマスター。彼のスキンヘッドが朝日を反射しキラリと輝いた。
「ん? なんだ461の兄ちゃん。俺の顔になんかついてるかい?」
「あ、いや……別に何も」
スキンヘッドに顎髭、屈強な体格を持つマスターがこんなオシャレなラテアートができるとは……人は見かけに寄らないなぁ。
「お、また客か。ゆっくりしてってくれよな3人とも!」
忙しそうにするマスターを横目に俺達は打ち合わせを始めることにした。
……。
「この前言った通り。次は渋谷ダンジョンを攻略しようと思う」
渋谷……今まで攻略した中では群を抜いて難易度が高いダンジョン。品川でのアイルを見て条件を満たせば攻略できると考えた。
高難度のダンジョン……それをクリアできればアイルにとって自信に繋がるはずだ。
「アイル。アイツらと連絡は取れたか?」
「バッチリ! 六本木の時約束してたからかな? 向こうも2つ返事でコラボ条件飲んでくれたわ。もうすぐ来ると思うわよ!」
アイルが嬉しそうにスマホを操作する。チラッと見えたのはツェッターの画面。何か告知をしてるみたいだな。
「リレイラさん。ダンジョン管理局側としても問題無かったですよね?」
「ああ。君達と彼等の一時パーティ申請は無事受理されたよ。普段彼等がこなしている救出系の任務も他の探索者へ委託済み。攻略への支障は全て取り除いた」
「流石リレイラさん。頼りになるぜ」
「はは……許可が出るまで1週間もかかってしまったのに……」
「な、なんかリレイラがニヤニヤしてると気持ち悪いわね……」
「こ、コホン! この通り許可証もあるぞ」
リレイラさんが端末を見せてくれる。そこ写った書類にはしっかりと「許可」という印が押されていた。そしてそこに書かれているのは俺とアイルの探索者名と……。
その時、カランという音と共に2人組の影が見えた。
「あ! 来たわね2人とも!」
「アイルちゃん久しぶり~!」
「……」
扉から入って来たのは体にフィットした装備にその上からパーカーを着た男、そして白い帽子に白マントを装備した女の2人組……ジークリードとミナセのコンビだった。
「よぉジーク。怪我はもう大丈夫か?」
「……全快だ。それよりも渋谷ダンジョンだったか? 早く詳細を……」
ジークは隣の2人がけ席に座ると、リレイラさんの端末を覗き込んだ。
「ちょっとジークリード。いきなり本題に入らないで。先に担当者さんに挨拶でしょ?」
「あ、ああ……そうだったな」
ミナセがジークの腕を掴むとリレイラさんの方へと向き直った。タジタジのジーク。この前の六本木の時となんかイメージが違うな。
「ぷっ。ミナセさんの方が強そう~」
アイルが吹き出しそうになったのをジークが睨む。アイルは慌てて視線を逸らした。
「A級探索者ミナセとジークリードです。今回はよろしくお願いします。ほら」
「よろしく、頼む」
「君達を一時預かる事になったリレイラ・ヴァルデシュテインだ。こちらこそよろしく」
俺とアイルの時もそうだったが探索者がパーティになる時はダンジョン管理局の担当管轄も変わる。ただ、ジークとミナセはA級探索者……それもリレイラさんの上司が管轄だ。今回は渋谷ダンジョンに挑む期間だけの限定パーティとすることで2人ともリレイラさんが見ることになったらしい。
「よっしゃ。じゃあリレイラさん。渋谷ダンジョンの解説頼むぜ」
◇◇◇
リレイラさんが端末を操作し、渋谷ダンジョンのMAPを表示させる。 そこに映し出されたのは渋谷駅の構内図だった。リレイラさんがタップすると、「地下5階」と書かれた場所に赤い点が灯る。
「渋谷ダンジョンはモンスターが非常に強力な為、特殊な魔法障壁が展開されている。旧副都心線の路線内からでなければ侵入はできない」
「何これ!? めちゃくちゃ複雑じゃない!?」
アイルが驚くのも無理はない。表示されたのは立体地図。それも複雑に入り組んだ構成で、MAPだけでは内部が全く想像できないような代物だった。
「あ~アイルちゃん達は渋谷ダンジョンに挑もうと思ったのも初めてなんだ」
「ジーク達は挑んだ事あるのか?」
「……救出任務でな。だが、本当にダンジョンのさわりだけだ。行動不能になった探索者を連れて最深部には向かえないと判断した」
リレイラさんがジークの言葉にコクリと頷く。
「渋谷は小型新宿迷宮と言っても良いほどの複雑さを持つダンジョンだ。地下から攻略を開始し、一度地上まで登る。その後商業ビルの2階へと下り連絡通路へ。最後に渋谷ヒカリエというタワーを11階まで攻略しなければならない」
「そうだよ~。地下は迷宮。ヒカリエはモンスター蔓延るタワーダンジョン。並大抵の探索者じゃヒカリエにすら辿り着けないと言われてるね~」
ミナセがスマホを操作し、ダンジョン配信マニアの「ウォタク」という人物のホームページを表示した。様々なダンジョンをランク付けしたサイト。そこに渋谷ダンジョンは「高難易度」と表示されていた。
「へ~ウォタクさんってこんなホームページ運営してるのね」
「なんだアイル? 知ってるのか?」
「知ってるも何も代々木公園あたりからずっとコメントくれる人よ。界隈で有名だってことだけは知ってたけどすごい人かも」
「このホームページかなり参考になりそうだぜ。すっげ! こんな情報まであんのか! 尊敬するぜ~」
渋谷ダンジョンのモンスター一覧まで書いてある。注意書きに「ただし生態系変化前」と書かれてる。生態系変化の事まで理解してんのか。只者じゃないなコイツ。
……。
ん?
「なんでリレイラさん顔赤いんですか?」
「い、いいいいや! そそそんなななことないよ! も、もう良いじゃないかそんなウォタクなんてヤツのことは!」
なんかリレイラさんの様子が変だな。何をそんなに慌てているんだ?
不思議に思っているとジークが言いにくそうに口を開いた。
「……渋谷ダンジョン解説の続きを頼む」
「コホン! す、すまなかった。続きだったな」
リレイラさんが端末に印を付ける。ヒカリエの最上階に。
「ボスは1体。だが強敵だぞ」
「……渋谷ダンジョンのボスなんだ。一筋縄では行かないだろうな」
「バラバラに動いて隙を突かれるとかありそう~」
「ああ。だから数日間の合宿をしたい」
「合宿……だと?」
「そうだぜ。俺の家の近くの不忍池……あそこは小型ダンジョンの周辺地区なんだ。スキルも魔法も抜刀も許可された地帯。お互いの能力を知るにはうってつけだろ?」
「……いいだろう。俺は乗った」
「私も?」
「もちろん。アイルには特に必要だろ? 全員の動きが分からないと魔法撃てないだろうしよ」
「分かったわ。しっかりジークの動きも覚えてやるんだから!」
「天王洲までその呼び方をするのか……」
「良いじゃない。そっちのが呼びやすいし。パーティでの戦いは『意思疎通は迅速に』が原則でしょ? ね? ヨロイさん!」
「まぁ……構わないが……」
ジークが横を向いて頬を掻く。これは……照れてるな。なんだかんだでジークも乗り気じゃねぇか。
「それ良いね~私もじゃあそう呼じゃお! ね? ジーク?」
「ミナセはやめろよ」
「え~!? なんで~!?」
喧嘩を始めるジークとミナセ。それをからかうアイル。俺達のせいでガヤガヤとうるさい店内。
4人パーティか。孤独なダンジョン探索には無い雰囲気。昔ゲームや漫画で見たような探索者達が集う酒場の様な……何だか、新鮮だな。
ふとリレイラさんと視線が合う、彼女は俺の顔を見ると優しげに微笑み、耳打ちしてきた。
「良かったな。ヨロイ君」
リレイラさんの嬉しそうな声。彼女もこの状況を喜んでくれているような……それが何だか妙に嬉しかった。
よし、渋谷ダンジョン……絶対に攻略してやるぜ。その為にはまずパーティメンバーの能力を知らないとな!
俺とアイルとリレイラさんは冒険家Bで次に挑むダンジョンについて打ち合わせする事になった。
早朝の冒険家Bはアイテムの納品や仕入れを終えた探索者達で賑わい、マスターが忙しそうに厨房を動き回っている。時折愚痴るような声も聞こえるし……相当イラついてるなこれは。
「ああクソッ! 繁盛するのはいいが忙しすぎる! そろそろバイトでも雇うか!?」
ナーゴの料理配信で冒険家Bは一部から熱烈な支持を得るようになったらしい。ナーゴが卸したブリッツアンギラの身は2日で完売。その間に店を訪れた探索者や一般人が、マスターの腕に惚れ込み繁盛するようになった。
「でもまさかブリッツアンギラの蒲焼きが食べたいって人が押し寄せるなんてねぇ」
アイルが運ばれて来たラルサーモンのムニエルを齧る。美味しかったのかその顔が一気に綻んだ。
「ダンジョン管理局にも近隣種の問い合わせが殺到しているよ。よほど日本人は鰻とやらを求めていたんだな」
リレイラさんの話によると、あまりの要望の多さにダンジョン管理局もブリッツアンギラの近隣種調査に躍起になっているみたいだ。
「あ゛~やっと捌き終わったぜえ~」
肩を落としたマスターが何かをテーブルに置く。
「ほらよ。差し入れ」
それは白いカップに入ったカプチーノだっだ。
「あ、ナーゴが描いてある」
アイルの声にカップに視線を移すと、カプチーノの泡の上にココアパウダーで描かれたナーゴの顔があった。猫の顔に大きな目。それを見てるだけでにゃーにゃー声が聞こえて来そうだ。
「ナーゴのおかげで店も繁盛しただろ? だから作ってみたんだよな!」
豪快にガハハと笑うマスター。彼のスキンヘッドが朝日を反射しキラリと輝いた。
「ん? なんだ461の兄ちゃん。俺の顔になんかついてるかい?」
「あ、いや……別に何も」
スキンヘッドに顎髭、屈強な体格を持つマスターがこんなオシャレなラテアートができるとは……人は見かけに寄らないなぁ。
「お、また客か。ゆっくりしてってくれよな3人とも!」
忙しそうにするマスターを横目に俺達は打ち合わせを始めることにした。
……。
「この前言った通り。次は渋谷ダンジョンを攻略しようと思う」
渋谷……今まで攻略した中では群を抜いて難易度が高いダンジョン。品川でのアイルを見て条件を満たせば攻略できると考えた。
高難度のダンジョン……それをクリアできればアイルにとって自信に繋がるはずだ。
「アイル。アイツらと連絡は取れたか?」
「バッチリ! 六本木の時約束してたからかな? 向こうも2つ返事でコラボ条件飲んでくれたわ。もうすぐ来ると思うわよ!」
アイルが嬉しそうにスマホを操作する。チラッと見えたのはツェッターの画面。何か告知をしてるみたいだな。
「リレイラさん。ダンジョン管理局側としても問題無かったですよね?」
「ああ。君達と彼等の一時パーティ申請は無事受理されたよ。普段彼等がこなしている救出系の任務も他の探索者へ委託済み。攻略への支障は全て取り除いた」
「流石リレイラさん。頼りになるぜ」
「はは……許可が出るまで1週間もかかってしまったのに……」
「な、なんかリレイラがニヤニヤしてると気持ち悪いわね……」
「こ、コホン! この通り許可証もあるぞ」
リレイラさんが端末を見せてくれる。そこ写った書類にはしっかりと「許可」という印が押されていた。そしてそこに書かれているのは俺とアイルの探索者名と……。
その時、カランという音と共に2人組の影が見えた。
「あ! 来たわね2人とも!」
「アイルちゃん久しぶり~!」
「……」
扉から入って来たのは体にフィットした装備にその上からパーカーを着た男、そして白い帽子に白マントを装備した女の2人組……ジークリードとミナセのコンビだった。
「よぉジーク。怪我はもう大丈夫か?」
「……全快だ。それよりも渋谷ダンジョンだったか? 早く詳細を……」
ジークは隣の2人がけ席に座ると、リレイラさんの端末を覗き込んだ。
「ちょっとジークリード。いきなり本題に入らないで。先に担当者さんに挨拶でしょ?」
「あ、ああ……そうだったな」
ミナセがジークの腕を掴むとリレイラさんの方へと向き直った。タジタジのジーク。この前の六本木の時となんかイメージが違うな。
「ぷっ。ミナセさんの方が強そう~」
アイルが吹き出しそうになったのをジークが睨む。アイルは慌てて視線を逸らした。
「A級探索者ミナセとジークリードです。今回はよろしくお願いします。ほら」
「よろしく、頼む」
「君達を一時預かる事になったリレイラ・ヴァルデシュテインだ。こちらこそよろしく」
俺とアイルの時もそうだったが探索者がパーティになる時はダンジョン管理局の担当管轄も変わる。ただ、ジークとミナセはA級探索者……それもリレイラさんの上司が管轄だ。今回は渋谷ダンジョンに挑む期間だけの限定パーティとすることで2人ともリレイラさんが見ることになったらしい。
「よっしゃ。じゃあリレイラさん。渋谷ダンジョンの解説頼むぜ」
◇◇◇
リレイラさんが端末を操作し、渋谷ダンジョンのMAPを表示させる。 そこに映し出されたのは渋谷駅の構内図だった。リレイラさんがタップすると、「地下5階」と書かれた場所に赤い点が灯る。
「渋谷ダンジョンはモンスターが非常に強力な為、特殊な魔法障壁が展開されている。旧副都心線の路線内からでなければ侵入はできない」
「何これ!? めちゃくちゃ複雑じゃない!?」
アイルが驚くのも無理はない。表示されたのは立体地図。それも複雑に入り組んだ構成で、MAPだけでは内部が全く想像できないような代物だった。
「あ~アイルちゃん達は渋谷ダンジョンに挑もうと思ったのも初めてなんだ」
「ジーク達は挑んだ事あるのか?」
「……救出任務でな。だが、本当にダンジョンのさわりだけだ。行動不能になった探索者を連れて最深部には向かえないと判断した」
リレイラさんがジークの言葉にコクリと頷く。
「渋谷は小型新宿迷宮と言っても良いほどの複雑さを持つダンジョンだ。地下から攻略を開始し、一度地上まで登る。その後商業ビルの2階へと下り連絡通路へ。最後に渋谷ヒカリエというタワーを11階まで攻略しなければならない」
「そうだよ~。地下は迷宮。ヒカリエはモンスター蔓延るタワーダンジョン。並大抵の探索者じゃヒカリエにすら辿り着けないと言われてるね~」
ミナセがスマホを操作し、ダンジョン配信マニアの「ウォタク」という人物のホームページを表示した。様々なダンジョンをランク付けしたサイト。そこに渋谷ダンジョンは「高難易度」と表示されていた。
「へ~ウォタクさんってこんなホームページ運営してるのね」
「なんだアイル? 知ってるのか?」
「知ってるも何も代々木公園あたりからずっとコメントくれる人よ。界隈で有名だってことだけは知ってたけどすごい人かも」
「このホームページかなり参考になりそうだぜ。すっげ! こんな情報まであんのか! 尊敬するぜ~」
渋谷ダンジョンのモンスター一覧まで書いてある。注意書きに「ただし生態系変化前」と書かれてる。生態系変化の事まで理解してんのか。只者じゃないなコイツ。
……。
ん?
「なんでリレイラさん顔赤いんですか?」
「い、いいいいや! そそそんなななことないよ! も、もう良いじゃないかそんなウォタクなんてヤツのことは!」
なんかリレイラさんの様子が変だな。何をそんなに慌てているんだ?
不思議に思っているとジークが言いにくそうに口を開いた。
「……渋谷ダンジョン解説の続きを頼む」
「コホン! す、すまなかった。続きだったな」
リレイラさんが端末に印を付ける。ヒカリエの最上階に。
「ボスは1体。だが強敵だぞ」
「……渋谷ダンジョンのボスなんだ。一筋縄では行かないだろうな」
「バラバラに動いて隙を突かれるとかありそう~」
「ああ。だから数日間の合宿をしたい」
「合宿……だと?」
「そうだぜ。俺の家の近くの不忍池……あそこは小型ダンジョンの周辺地区なんだ。スキルも魔法も抜刀も許可された地帯。お互いの能力を知るにはうってつけだろ?」
「……いいだろう。俺は乗った」
「私も?」
「もちろん。アイルには特に必要だろ? 全員の動きが分からないと魔法撃てないだろうしよ」
「分かったわ。しっかりジークの動きも覚えてやるんだから!」
「天王洲までその呼び方をするのか……」
「良いじゃない。そっちのが呼びやすいし。パーティでの戦いは『意思疎通は迅速に』が原則でしょ? ね? ヨロイさん!」
「まぁ……構わないが……」
ジークが横を向いて頬を掻く。これは……照れてるな。なんだかんだでジークも乗り気じゃねぇか。
「それ良いね~私もじゃあそう呼じゃお! ね? ジーク?」
「ミナセはやめろよ」
「え~!? なんで~!?」
喧嘩を始めるジークとミナセ。それをからかうアイル。俺達のせいでガヤガヤとうるさい店内。
4人パーティか。孤独なダンジョン探索には無い雰囲気。昔ゲームや漫画で見たような探索者達が集う酒場の様な……何だか、新鮮だな。
ふとリレイラさんと視線が合う、彼女は俺の顔を見ると優しげに微笑み、耳打ちしてきた。
「良かったな。ヨロイ君」
リレイラさんの嬉しそうな声。彼女もこの状況を喜んでくれているような……それが何だか妙に嬉しかった。
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