461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第99話 閃光vs鉄壁

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 ~461さん~

 俺と鍔迫り合いをしていた式島。彼は急に後ろへ飛び退き、俺から距離を取った。

「461……お前、亜沙山に喧嘩売るっていうのか?」

「ヨッさん! ミナセが何やったか知らんのやろ!? だから庇ってるだけなんやろ!?」

 訴えようとする武史を手で制す。

「事情が分かってないのはお前達だ。お前達は九条にいいように利用されてるだけだって」

 俺の言葉に式島がピクリと眉を動かす。

「被害者がミナセにやられたと言っている。言い逃れはできんぞ」

 式島は、言葉とは裏腹に何か含みのある表情だった。迷いのような、何だこの表情は?

 だが……まぁ信じる訳ないわな。亜沙山と接したとはいえ、俺はジーク達の仲間だ。ミナセを庇っていると思われても不思議じゃない。

 式島はギロリと俺を睨み付けながら抜刀の構えを取った。

「461、お嬢にとってあの地が穢されることにどんな意味があるか分かっているか?」

 ルリアにとって?

「中野はお嬢の一族が治めて来た場所。死んだ母親との唯一の繋がりでもある。そこをけがすということは、お嬢の人生その物を冒涜したことになる」

 式島がさらに深く構え、武史に視線を送る。武史は一瞬苦虫を噛み潰したような顔をした後、頬を叩いて大剣を向けた……やる気だな。

「ヨッさん。悪いがジークリードにつくならアンタも敵やぞ」

「一緒に探索したヤツとやり合うなんてよ、燃えるだろ?」

「はっ。アンタに見せたるわ。俺が1ヶ月で成長した所をな」


 武史のあの鎧。リフレクションが符呪エンチャントしてある。自分の弱点を装備で補い、攻撃力まで符呪で底上げしてやがる……いい選択だ。恐らく自力も鍛えているはずだ。アイツ、1ヶ月使ってさらに強くなりやがったな。


 それに……式島。リレイラさんから聞いた話だと俺と同じ第一世代。引退した身とはいえ、初期の死線を潜り抜けた探索者ならスキルだけではない「何か」がある。ジーク1人で2人を相手するのはキツイはずだ。


「ジーク。2対2でいこうぜ。やれるか?」


 ジークはふっと笑い、その愛剣を構えた。そこから伝わる感情。それはパーティになった者だけが分かる特別なものに思えた。

「既に初撃で助けられているからな。頼らせて貰う」

 コイツも変わったな。というか、ミナセにいい所見せようとして無理してたのかも……悪くないと思うぜ、そういうのは。俺には無いもんだからな。


「よし、スキルイーター戦・・・・・・・・を思い出せ」

「……あの時よりも上手くやれるはずだ」


 
 ジークと剣を構える。



 ジリジリと間合いを詰めていく。ヒリヒリとした緊張感が周囲を支配する。



 緊張が最大まで高まった時、式島が叫んだ。



「武史!! 大技だ!!」

「おう!!」


 武史が大剣を背中に担ぎ魔力を噴出させる。それに合わせるように式島が飛び込んで来る。

 一瞬で間合いを詰める式島。ヤツのスキルはやっぱ「居合い」か。

 居合い……それは居合い斬りの攻撃モーションのみ・・300%・・・・速度を増加させる特殊技スキル。

 懐かしいぜ。茨城のダンジョンでやり合った探索者が使って来たな。あの時は何度も死ぬかと思ったが……。


「あの時とは俺も違うからよぉ!!」


 思考と同時に体は動いていた。居合いのスキルの攻略法は体で覚えている。ヤツの握る刀のつか。そこから斬撃の軌道が予測できる。速さには予測で対応する。これが攻略法だ。


「ふんっ!!」


 鞘の中を走る刀身。柄の向き、握り手の力加減、それで斬撃の向きを「予測」する──。


「ここだ!!」


 斬撃の軌道上にショートソードを構える。放たれた斬撃を、俺のショートソードによって受け止める。


「なんだと……っ!?」


 式島が驚愕の表情を浮かべた瞬間、ジークが袈裟斬りに剣を放つ。直撃する軌道に速度。その全てが完璧のタイミング。

 が。

 式島は地面を蹴って横に飛び退いていた。ローリングでジークの斬撃を躱わす式島。コイツ……受けられた時点で即座に回避へ意識を向けやがった。


石流岩烈斬せきりゅうがんれつざん!!」


 その瞬間を狙ったかのように衝撃波を放つ武史。この威力、軌道。俺とジークのみを狙うよう威力調整してやがる。大技をここまでコントロールするとはな。


「ジーク!! 止められるか!!」

「任せておけ!!」


 ジークが波動斬の連撃を放つ。ジークが意識を武史に向けた瞬間、再び式島が突撃する。今度はジークのみを狙って。


「させるかよ!!」


 ヤツの居合いを受け止める。周囲に甲高い音が響く。武史は大技を放った後、式島は俺が抑えている。攻めるなら……今だな。


「こっからは単独戦だ! 武史は頼むぜ!!」

「了解した!!」


 武史の放った衝撃波が、4つの波動斬で相殺される。ジークが閃光を発動し、武史の元へと大地を蹴った。



◇◇◇

 ~鉄塊の武史~


 衝撃波が破られ、消滅しなかった波動斬の1つが俺へと向かって来る。その後ろにはジークリード。

 面白い、まさか15人もおった亜沙山の探索者を1人で倒すとは……いや、ヤツらを追っていた時から考えれば30人……化け物やな、ジークリードっつーヤツは。

 そして今、ヨッさん461さんとジークリードが共闘しとる。それと戦う俺……正直言って俺は今、最高に燃えとる。こんな機会滅多にないで。

 俺は自分の実力が知りたい。その為なら命を賭けてもいい。今の探索者制度やとそれが全く分からんからや。実力を知らなければ、さらなる成長は見込めん。俺は強くなる為に命を賭けるで。


「ジークリードぉ!!」


 向かって来た波動斬に拳を放つ。俺の鎧が符呪の光を放ち、反射魔法リフレクションが発動する。有金はたいて100回分の反射魔法を符呪したんや。波動斬じゃ俺にダメージは与えられん。

 反射された波動斬がジークリードを襲う。ヤツはその一撃をスライディングし、一気に間合いを詰めた。

 焦るな。俺に物理は効かん。一撃を当てれば勝てる。なら、攻撃の手を止めるな!


「だらあああああああああああ!!!」


 大剣を薙ぎ払う。ジークリードが飛び上がり俺への斬撃を放つ。剣撃が当たる瞬間、おれの「鉄壁」が発動し、俺の防御力を急激に上昇させる。痛みはある。だが、大したことのないものや。攻撃の手を止めるな。


「効かん言うとるやろ!!」


 体を回転させ、さらに横薙ぎの一撃を放つ。真空の刃が放たれ、ヤツの装備に傷を付けた……いける。

 己の体を軸に回転斬りを放つ。切り上げるように放つ。伏せて避けられると次は叩き付ける。横に逃げるとさらに薙ぎ払いを放つ。大剣に符呪された真空の刃がさらに攻撃範囲を拡張する。

 真空刃は、遠心力を加える度に攻撃距離を伸ばす特性がある。ギリギリで攻撃を躱わすスタイルのジークリードでは射程距離の予測ができず当たってしまう。ヤツの攻撃パターンも散々研究したんや。絶対倒して見せるで!

「くっ!?」

 ジークリードはその手の剣で急所へのダメージは防いでいるものの、明らかに攻撃を躊躇とまどうようになっていた。

 式島のおっさんとの訓練で学んだ大剣での連続攻撃。大剣は一撃のモーションがデカい。だが、回転斬りの要領で放てば連続で攻撃ができる。真空刃での射程延長に、俺のスキル鉄壁との相性もいい。コイツで……っ!!


「うおおおおおぉああああ!!!」


 横薙ぎ、縦回転での叩き付け、そこから横回転を加えてさらに横薙ぎの一撃を放つ。ジークリードが避ける度に軌道をズラす。ヤツを追い詰める。大剣本体は当てられんが、真空刃で確実にヤツへダメージを与えていく。


「……っ!?」


 回避と防御に専念していたジークリードが壁際に追い詰めた。この近距離ならアレが当たる。


 攻撃の最中に溜めていた魔力を一気に解放する。


岩烈斬がんれつざん!!」


 大剣が魔力を帯び光り輝く。石流岩烈斬とは違いコイツは近距離専用やが、その分威力は桁違いや。しかも真空刃も交えた全力の攻撃を放てば、砕けたアスファルトがそのまま全方位に打ち出された弾丸になる。そうすりゃ避けられんやろ。


「おおおおおおおおおお!!!」


「これ以上、お前の遊びに付き合う気はない!!」


 ジークリードがその剣を構えて飛び上がる。ヤツのスキル、閃光によって剣を構えたまま高速回転・・・・するジークリード。ヤツは回転刃のようになって飛び込んで来た。


「無駄言うとるやろ!! 俺の一撃を食らえや!!」


 ヤツの回転刃が俺の肩に直撃する。発動する鉄壁。薄い膜のように俺を覆うスキルが、ヤツの回転刃を完全に防ぐ。このままジークリードを仕留めたる!!


 その時。


 急に右肩に激痛が走った。飛び散る血飛沫が俺の目に映る。


「が、あああああああああ!?」


 痛い。痛い痛い痛い……っ!? 鉄壁を取ってから味わったことのない痛み。鉄壁が発動しとらんのか!?

「が、あ゛ああ……っ!? ど、どういうことや……っ!?」

 必死に攻撃を受けた箇所を確認する。鉄壁のスキルの膜に食い込むようにジークリードの回転刃が食い込んでいるのが見えた。

「そ、そう゛か……っ!?」

 鉄壁は物理攻撃を自動判定・・・・して防御上昇のを形成するスキル。同一箇所に高速斬撃を喰らえば……自動判定に、エラーが紛れ込む。発動しない一瞬が現れる。それを見切ってこの……技を……。

 意識が飛びそうになる。大剣を落としてしまう。その瞬間、ジークリードは俺の体を蹴って地面へと降り立った。

「が、あ、あ、あ……」

 力が入らない。地面へ倒れ込んでしまう。強すぎるで……想像よりも、ずっと……。


「……俺には背負っている物がある。悪いが俺は負けられん」


 朦朧とした意識の中、ジークリードを見上げる。すましたような顔しやがって……強くなったと思ったのに、こんな、遠……か……た、なんて……。

「後で回復薬を使ってやる。そのスキル鉄壁に感謝するんだな。不完全とはいえ、お前の命を守ったスキルに」


 白銀龍のスーツを着た男が剣を払い、鞘へと納める。その瞬間、俺の意識は暗転した──。


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