461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

文字の大きさ
125 / 302

第122話 武史、立ち直る。

しおりを挟む

 ボスを倒した後、俺達は念の為ルール通りに道を戻り、出口へ向かった。そこにあったのはA1出口の看板。一瞬戻されたかと焦ったが構わず進むと、閉じ切っていたはずのシャッターが開いていた。

「お、もう悪夢の重装騎士ナイトメア・アーマーが消えたから元の駅に戻ったみたいだな~」

 ポイズン社長が大きく伸びをする。その横で、パララもんとワタリが飛び跳ねて喜び出す。なぜか俺も2人に手を取られて3人で回ることに。

「出口なのだ! 長かったのだー!!」
「ついに外に出れましたよ! みなさんありがとうございます!!」

「お、お~良かったな~2人とも~」

「武史! 武史が1番がんばったんだからもっと喜んでいいのだ!」
「そうですよ武史さん! 遠慮しないで下さい!!」

 2人に真剣な表情で見つめられる。困ってポイズン社長を見ると、彼は微笑ましいものを見るように腕を組んでいた。は、恥ずかしいでこれは……さすがに……。

「や、やったぜ~!」

「ふふん! やっぱり武史も嬉しかったのだ!」

 俺の反応に満足したのか、パララもんが手を離して階段を駆け上がっていく。

「外なのだ~! ……暑い゛の゛だ!?」

 軽快に階段を登ったパララもん。彼女は階段を登り切った瞬間日陰に逃げ込んだ。なにやってるんやアイツは。

「何やってんのやパララもん。そんな大袈裟な……あ゛つ゛っ!?」

 灼熱のような気候に俺も思わずパララもんのいる日陰に逃げ込んでしまう。そうやった……外ってめちゃくちゃ暑かったよな。中が涼しかったから忘れてたで……。

 思わずしゃがみ込むと、パララもんが手を差し出して来た。


「ありがとう武史。僕達を守ってくれて」


 さっきまでと違う口調。照れ臭そうに笑う彼女。それを見ていると、パララもんがなんだか普通の女の子ように見えた。

 麻痺を使いこなすA級探索者ではあるけど、少し抜けていて、でも優しい……普通の女の子に。

 俺は、ダンジョンに挑んだ時から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

「なぁ、パララもん。なんで俺に「コラボしよう」なんて言ったんや?」

「え? う~ん……」

 パララもんが恥ずかしそうに前髪を触る。

「武史、自信が無いのかなって思ったのだ。僕もハンターシティまで全然自分に自信持てなかったから……心配になったのだ」

 そういやポイズン社長も言ってたよな。パララもんはハンターシティから変わったって。

「だからね、誰かと一緒にダンジョンに挑めば、前の僕みたいに元気になってくれるかなって……そう思ったのだ」


 ……そうか。


 俺だけじゃなかったんや。パララもんには彼女なりの悩みがあって、それを乗り越えた……地続きなんや。A級とか、B級とか、ランクでキッチリ分けられている訳じゃなく、どんなヤツも過去の自分と戦っとる。きっとジークリードも。

 それだけのことやったんやな。他人と比べるなんて意味はなかったんや。見るべきは自分だけ。過去の自分を超えることだけに集中すればいいんや。


「……ありがとな」


「えへへっ! 僕も楽しかったのだ!」

「俺らも随分武史に助けられちまったしな~!」

 いつの間にか後ろにいたポイズン社長。彼とパララもんが揃ってニヤリと笑う。


「武史! パーティ組もう! 僕達ゼッタイ相性いいのだ!」
「そうだぜ! 武史がいればもっと色んな所に挑めそうだしな~!」


「え!? それやと俺の拠点東京になってしまうで!? 今も借宿住まいやしなぁ……」

「住む所が無いならうちに来ればいいのだ! ね? いいよねポイくん?」

「パララがいいなら俺はいいぜ~!」

 マジか。トントン拍子に俺のパーティ入りが決まっていくで。でも、これで弊害はなんも無いよな?

「ワタリはどうするのだ? パーティに入らない?」

「え!? ぼ、僕ですか!? 僕はさすがに……皆さんにはもっと相応しい人がいますよ」

「そっか……残念なのだ」

 少し寂しそうな顔をするパララもん。ワタリはそんな彼女に向かって微笑みかけた。

「でも、また店に来て下さい。皆さんなら沢山サービスしますから!」

 サービスと聞いてポイズン社長が飛び跳ねる。

「サービス!? じゃあ今度またいくぜ~!」

「絶対行くのだ! いっぱい買うのだ!」

 飛び上がって喜ぶ2人。しかし彼らはワタリに振られたことで不安になったのか、少し心配そうな顔になってしまう。表情がコロコロ変わるヤツらやなぁ。

「で、武史はどうするよ?」
「どうするのだ?」

 不安気な顔。そんなに心配せんでもええのに。俺の答えは決まってるし。


「……ああ。キッチリ務めさせて貰うで」


「やりぃ!」
「やったのだ~!」

 パララもんとポイズン社長が手を取って踊り出す。ほんと見てて飽きへんヤツら。ホント騒がしい。でも……。


 そんな2人に、めっちゃ救われたな。俺。


「武史が来るなら2階片付けねぇとな!」
「撮影部屋も作るのだ! 絶対楽しいのだ!」

 何やら家のことを相談する2人。それがなんか子供みたいや。これから、楽しくなりそうやな。




◇◇◇

 ダンジョンを出ると、ポイズン社長とパララもんはアーカイブ動画の編集と家の片付けがあると言って先に帰ってしまった。

 俺は、ワタリを送り届ける為に秋葉原の方内武器店へ行った。


 扉を開けると、カウンターにいたミネミちゃんがハッと顔上げ、隣にいるワタリの顔を見るとボロボロと涙をこぼした。そしてワタリに駆け寄って抱き付くと、声をあげてオイオイと泣き出してしまう。

 ワタリは、妹が泣き止むまで謝り続けた。


 ……。


 ミネミちゃんが泣き止んでから、飛竜殺しを2人に返した。

「ワタリ。この「飛竜殺し」やけど、取り置きして貰うことはできるか? 金貯めたら絶対買いに来るから」


「武史さんなら喜んで! パーティでの活躍も応援してます!」

「ははっ、ありがとなワタリ。お前らの担当の件はしっかり管理局に報告しとくからな。安心せえ」

「ありがとうございます。本当に……」

 店に着いて安心したのか、ワタリもうっすらと涙を浮かべる。彼の肩を叩いて店を出ようとすると、不意に手が引かれた。振り返るとミネミちゃんが俺の手を掴んでいた。

「武史さん、本当にありがとうっス」

「俺だけの力ちゃう。礼ならパララもん達に……」

「た、武史さんのおかげっス! 私はそう思うっス!」

「ありがとな、ミネミちゃん」

 恥ずかしそうに顔を赤くする女の子。この子が悲しまなくて本当に良かった。ワタリが死んでしまうようなことにならなくて本当に、良かった。

 チラリと飛竜殺しに目を向ける。あのボスを倒せたのはこの剣のおかげでもある。それに……あのダンジョンで感じた色んなことは、俺は絶対忘れたくない。だから絶対買いにくる。待っとれよ飛竜殺し。絶対お前を迎えに来るからな。

 まずは式島のオッサンに会って元の剣を回収して……それから荷物をまとめてポイズン社長とパララもんの家に行って……ツェッターでパーティのこと告知もせんとな。やることいっぱいや。忙しくなるな。

 ふと何かを思ったのか、ワタリはカウンターからノートとペンを持ってきた。

「武史さん、取り置き用に正式な探索者名を聞いてもいいですか?」
「私も! もう1回聞いておきたいっス!」



「俺の探索者名か? 俺は……」



 息を吸う。俺はこう名乗ろう。卑屈やなくて、今の俺の全て・・を受け入れるために。



「俺は武史。西のB級・・探索者、鉄塊の武史や!」



 今度こそ自分を信じて進もう。これから先……どれだけ打ちのめされても、不安を感じても、もう大丈夫。きっと乗り越えられる。


 俺はもっと強くなる。


 強くなって、もっと楽しんでやる・・・・・・んや!



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...