461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第256話 桜田カナの憂鬱

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 ~桜田カナ~

「名護さんはこの辺りで待ってて」

「了解にゃ! あ、了解!」

 名護さんが言い直して右手を額に当てる。その動きが敬礼みたいでちょっと面白い。

 御徒町駅の近くで車を降りてマンションへ向かう。時間は5時2分。急がないと。

「あれ? あの顔って」
「なんかあった?」
「い、いや……気のせいか……」

 すれ違う人がチラチラ見て来る。……流石に仮面しておこうかな。今は装備だし、仮面してても違和感無いでしょ、多分。

 歩きながら仮面を付けて眼界魔法オキュラス越しに周囲を見渡す。角を曲がって人混みの中に入ると、仮面を見た人達がギョッとした顔で道を開けた。

「ちょ、仮面て……」
「模様怖っ……」
「なんかあるのかな……?」
「物騒ね……」
「ほ、ほらこっちに来なさい!」

 子供を連れた母親が私を見て子供を引っ張っていった。


 ……傷付くわね。


 っといけない。今のうちに最終確認しないと。あの時、聞いていない事・・・・・・・は私とリレイラ、名護さん以外みんなの現状。聞いた事・・・・はエモリアのこと。

 リレイラは多少の誤差は大丈夫と言ってたけど、緊張する。

「はぁ……」

 深呼吸する。気が重いわ……優しくできる気もしないし。ホント、私しかできない事ってこんなに大変なのね。プレッシャー感じるわ……。


 これ終わったら名護さんの作ったケーキ食べまくろう。あの人の奢りで。


「というか。早く裏ダンジョンから帰って来なさいよねダンジョンバカ。相棒が不安になってるんだから優しくしなさいよ」


 まぁ、用事があるから先に帰るって言ったのは私だけどさ。



 ……。



 御徒町のマンション。私の部屋の前で時計を確認する。5時12分。なんとか間に合ったわね。

 緊張が高まる。緊張しすぎて吐きそうだ。もう1度深呼吸して自分を落ち着かせる。

 落ち着いて、大丈夫よ私。ちょっとくらいならこの未来に影響無いから。まずはちょっと高圧的に行かないと。まずは泣き止ませないとちゃんと情報も与えられないから。

 あの時、なんであんなに怖いんだろうと思ったけど、こんな気持ちだったのね、私。


 時計を見る。5時13分。


 あと1分。部屋に入って来たのは現れて少し後だった。ふぅ……そろそろね。


 ドアに鍵を差してゆっくり回す。


 5時14分。ドアの隙間から眩いほどの光が漏れた。しばらく訪れる沈黙。そして、部屋の中から啜り泣く声が聞こえ始める。


「う、ううぅ……ヨロイさん……」


 ……来たわね。


 ドアを開けて中に入る。暗い部屋の中には彼女・・がうずくまって泣いていた。


「はぁ……やっぱり泣いてるわね」


 見ると情けなくなるな、ながら。


「え……だ、誰……?」


 彼女・・が顔を上げる。


 薄い青色に紫のメッシュが入った髪。その長いツインテールがフルンと揺れる。泣き腫らした目をこちらに向けながら、彼女は私を見た。



 天王洲アイル。



 時間魔法によって未来へ飛ばされて来た、5年前の私・・・・・が。



 ……あの日、絶望したまま時間魔法で飛ばされた私。その前に現れた未来の桜田カナ。私はその状況を必ず再現してみせる。5年前の私にあの神を倒す方法を閃かせないと。


 私しかできない。私がやらなくちゃいけない事。絶対に時間軸をこの世界へ導くんだ。悲劇が起きた未来へ上書きなんて……させない。


 私は守ってみせる。


 イシャルナ……ううん、「時間神エモリア」を倒して・・・みんなが・・・・掴んだ・・・この未来・・・・を。





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