エスポワールに行かないで

茉莉花 香乃

文字の大きさ
20 / 48
side翔

03

しおりを挟む
その和希は最近家に来ないので、寂しいのかもしれない。

俺たち兄弟は勿論感謝してるし美味しいと思ってるけど、いちいち言葉にはしないから、永井からの『美味しい』って言葉は嬉しいらしい。

それに永井はなんとなく裕樹に似ていると思う。
性格は正反対であまり可愛げがないけれど。

永井と一緒にご飯を食べて駅まで送って行った。いつもなら家の前で別れて送って行くことはないけれど、その日は父さんに酒を飲まされてちょっとフラフラしているので、最寄り駅まで送って行くことにした。

「和希…」

その男は誰だよ。

そこには会いたくてたまらなかった人がいた。

元気そうで、良かった。

少し背が伸びたからか、高校生になって少し雰囲気が変わったかもしれない。

オレが和希の事を心配することも、付き合いにとやかく言うことも出来ないのはわかっているけれど…。

「また家においで」と社交辞令のようなことしか言えない。

やけに近い二人の距離に、間に入って引き剥がしたくなる気持ちを抑えてその場を離れた。

オレが間違いをしてしまって和希と別れてから、ヤケになって何人かと付き合った。

でも、どうしても和希と比べてしまって長く続かなかった。

和希は自分を曲げない強い心と、相手の些細な仕草や言葉で察して、気遣うことの出来る優しい所があって一緒にいると心地良かった。

そして寂しがり屋で守ってやりたくなる。

だから、『私を見て』『自分が!』とこられると引いてしまう。

和希と比べてばかりいるのは相手にも悪いし、オレがあまり触れようとしないことに『わたしじゃダメなの?』と言われても、『そうだよ』とも『違う』とも言えなかった。初めは義務のように抱くけど、次は…続かない。

男と付き合うことは無かったけれど、付き合っても一、二ヶ月で別れてしまう。和希以外に欲しいと、側にいてと思うことはなかった。

これ以上思っていても仕方ないし、迷惑かもしれないけれど、もう少し心配していたい。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星
BL
付き合っていた彼氏から突然の別れを告げられ ショックなうえにいじめられて精神的に追い詰められる 数年後まさかの再会をし、そしていじめられた真相を知った時

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

死に戻り騎士は愛のために願う 〜10回だけの奇跡〜

湯川岳
BL
「一生苦しむがいい。その呪いは俺からのプレゼントだ」 幼い頃に出会った友から呪いを貰ってしまったユーリ。 時は流れ、シューベルト家次男のアルトを追って騎士団に入隊をし、副団長まで上り詰めたユーリ。 毎日アルトの世話をしていく内に心惹かれていく。 「キスしてみろよ。それでオレが嫌じゃなければ……考えてやってもいい」 ユーリはアルトに口付けをする。そして呪いがこの時を待っていたかのように発動してしまった。 意識が乗っ取られ、目を覚ませばそこにあったはずの幸せは鮮やかな赤で染まっていた。 その日を境に始まったのは、暗くて長い道のりだった。 ※アルト編、ユーリ編。どちらから先に読まれても大丈夫です。 エンディング異なります。それもお楽しみ頂けたら幸いです。 ※最後はハッピーエンド確定。4話までだいぶ暗めの話なので苦手な方はお気をつけ下さい。 ※タイトル変えてみました。 旧:死に戻り騎士の願い 表紙素材:ぱくたそ

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

長年の恋に終止符を

mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。 そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。 男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。 それがあの人のモットーというやつでしょう。 どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。 これで終らせることが出来る、そう思っていました。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

ランドセルの王子様(仮)

万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。 ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。 親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。

処理中です...