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side和ー5

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「和希?疲れたんじゃない?」

裕樹が俺の横に座って聞いてくれた。

「翔ちゃん、和希がもう寝たいって」
「えっ、そうか…わかった。部屋行こうか?」
「一人で大丈夫。部屋、借りますね」

おじさんとビールを飲んでいた翔悟さんが立ち上がってこちらに来てくれた。

「いいよ、一緒に行こう」
「でも…」

腕を取られて立たされて、背中を押された。

「ほら、歩ける?」

『一人で平気』と何度言っても翔悟さんは聞いてくれなくて、裕樹に『甘えちゃえ』って耳元で言われた。

背中を押されたまま二階へ上がり、翔悟さんの部屋に入ると手を取られ、ベッドに一緒に座った。

「和、寒くない?」
「うん、平気」

だって…俺は翔悟さんの膝の上に座って翔悟さんの腕に包まれて暖かいから…。

「和、大丈夫?なんだか辛そうだけど」

耳元で囁かれると、さっき一緒に入ったお風呂でのことを思い出してビクって体が震えた。

「うん…もうそんなに心配しないで。ごめんね、ビール飲んでたのに…おじさんに悪いことしたかな?」
「親父は和のこと心配してたから、元気な顔見せてくれたらそれでいいよ」
「翔も…みんなで過ごしてたのに…」
「和、そんな気を遣ってたらダメだよ。自分のことだけ考えな。ここで一緒に寝てくれるよな?ちょっと狭いけど、大丈夫だろ。落ちないように抱きしめて寝るから」

翔悟さんのベッドはセミダブルでくっついて寝るなら…大丈夫だろう…けど…。

「布団は?おばさん用意してくれたから悪いし…それに使ってなかったら…」
「そうか?気にしないと思うけどな」

いや、気にするよ!

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