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告白ゲーム
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寺本の家にはお母さんがいた。
「こんにちは。お邪魔します」
「あら、こんにちは。いらっしゃい。あなたは初めてね?」
「はい。佐久間博也と言います」
「ゆっくりしていってね。樹、母さん、買い物に行くから。もし、出かけるなら戸締りお願いね」
「いや、多分出ないから」
「そう?じゃ、行ってくるわ」
ちょうど、出かけるところだったのか、大きなエコバッグを持って玄関で一分くらいの立ち話。いってらっしゃいと馴れ馴れしく言うのは憚られるので、軽くお辞儀して見送った。
「俺の部屋、こっち」
靴を脱いで高身長の寺本を見上げる。くそっ…近くにいるとこんなに見上げることになるのか?遠くから見てるだけではわからない。いや、背は高いのは最初から知ってるよ。知ってるけど…。
「どしたの?」
「寺本くんの背が高すぎるから…」
「そうか?180ないけどな。俺はもう少し低い方がいいんだけど」
「それ、背の低い子の前で言わない方が良いよ?僕の前でもね」
「わ、悪い。気にしてるのか?」
「当たり前だろ?足、僕にくれよ」
「足限定?」
「胴をもらっても、余計悲しくなる」
ははっと笑う顔に心臓鷲掴みにされた。これから一ヶ月、僕は何度も後悔するんだろうな。今も後悔真っ最中だ。寺本の勝利へのプライドのために…。僕って、健気。いや、少しの下心は勿論ある。なんたって僕は寺本が好きなんだ。
◇◇◇◇◇
高校入学直後、部活動の見学をしていた時だった。運動は好きだけど、好きと運動神経は別物。取り敢えず見学しようと、友だちとウロウロ見ながら歩いてた。テニスコートの前を通ると、ちょうどフェンスの出入り口の戸が開いて…人ではなくボールが飛び出てきた。ボールは眉間に直撃して、僕は倒れてしまった。気絶とかしてないから!と強がりを言っても、保健室に運ばれるのをただぼうっとされるがままだったのだから、一時的に飛んでいたのかもしれない。
僕を運んでくれたのが、入部前にもかかわらずボール拾いをしていた寺本だった。
大丈夫かとイケメンが心配そうな顔で僕の顔を覗く。着ている体操服は僕と同じ色の真新しい物で、先輩たちは揃いのウエアーを着ていたから間違いなく同級生だ。
「う、うん」
「ちょっと待ってて。動くなよ?」
「うん」
ぼんやりしながら、短い返事しかできない。
「びっくりしたよ。目の前で倒れる人、初めて見た。もう平気?」
一緒に見学していた三宅が、変な感想を言うのに呆れる。
「まだ、ぼうっと、するけど、大丈夫だと思う」
つっかえ、つっかえ言うと笑われた。
「今の、誰?」
「ああ、俺と同じクラスの寺本。テニス部に入るの決めてて、もう練習に参加してるんだって。ボール拾いだけどって言ってたよ。お前もうちょっと体重増やして、鍛えろよ?軽々運ばれてたぞ?」
「それは三宅だって同じだろ?」
あははっと笑う三宅は僕と同じような体格だ。多分三宅では僕を運べなかったに違いない。
「三宅が、鍛えててくれたら、僕を運べたのにな」
「なっ!…あのイケメン寺本が、佐久間が倒れた時に走ってきて、俺が何か言う前にもう抱き上げてたよ」
三宅と話しているとガラッと引き戸が開いた。
「すみませんでした」
深々と頭を下げる三年生に両手を振って止めてくださいと言う。
「僕がボウっと、歩いてたから」
「ここどこかわかる?頭痛とか、吐き気とかない?」
一緒に入って来た養護教諭に聞かれて大丈夫ですと言うけれど、病院に行くからと車に押し込まれた。その後、検査されて異常なしと診断され、自転車通学だと言うと学校まで連れて帰ってくれた。自転車を学校に置いて帰ると、翌日困るからね。
自転車を押して校門まで来ると背の高い人影が門柱に凭れているのが見えた。
「大丈夫だった?」
「うん。待っててくれたの?寺本くんは関係ないのに。ありがとう」
今から思うと、多分家が近いことを知った先輩に頼まれたんだろう。良かったと呟く寺本から目が離せない。その日から用事もないのに三宅のところに遊びに行くことになった。
◇◇◇◇◇
「こんにちは。お邪魔します」
「あら、こんにちは。いらっしゃい。あなたは初めてね?」
「はい。佐久間博也と言います」
「ゆっくりしていってね。樹、母さん、買い物に行くから。もし、出かけるなら戸締りお願いね」
「いや、多分出ないから」
「そう?じゃ、行ってくるわ」
ちょうど、出かけるところだったのか、大きなエコバッグを持って玄関で一分くらいの立ち話。いってらっしゃいと馴れ馴れしく言うのは憚られるので、軽くお辞儀して見送った。
「俺の部屋、こっち」
靴を脱いで高身長の寺本を見上げる。くそっ…近くにいるとこんなに見上げることになるのか?遠くから見てるだけではわからない。いや、背は高いのは最初から知ってるよ。知ってるけど…。
「どしたの?」
「寺本くんの背が高すぎるから…」
「そうか?180ないけどな。俺はもう少し低い方がいいんだけど」
「それ、背の低い子の前で言わない方が良いよ?僕の前でもね」
「わ、悪い。気にしてるのか?」
「当たり前だろ?足、僕にくれよ」
「足限定?」
「胴をもらっても、余計悲しくなる」
ははっと笑う顔に心臓鷲掴みにされた。これから一ヶ月、僕は何度も後悔するんだろうな。今も後悔真っ最中だ。寺本の勝利へのプライドのために…。僕って、健気。いや、少しの下心は勿論ある。なんたって僕は寺本が好きなんだ。
◇◇◇◇◇
高校入学直後、部活動の見学をしていた時だった。運動は好きだけど、好きと運動神経は別物。取り敢えず見学しようと、友だちとウロウロ見ながら歩いてた。テニスコートの前を通ると、ちょうどフェンスの出入り口の戸が開いて…人ではなくボールが飛び出てきた。ボールは眉間に直撃して、僕は倒れてしまった。気絶とかしてないから!と強がりを言っても、保健室に運ばれるのをただぼうっとされるがままだったのだから、一時的に飛んでいたのかもしれない。
僕を運んでくれたのが、入部前にもかかわらずボール拾いをしていた寺本だった。
大丈夫かとイケメンが心配そうな顔で僕の顔を覗く。着ている体操服は僕と同じ色の真新しい物で、先輩たちは揃いのウエアーを着ていたから間違いなく同級生だ。
「う、うん」
「ちょっと待ってて。動くなよ?」
「うん」
ぼんやりしながら、短い返事しかできない。
「びっくりしたよ。目の前で倒れる人、初めて見た。もう平気?」
一緒に見学していた三宅が、変な感想を言うのに呆れる。
「まだ、ぼうっと、するけど、大丈夫だと思う」
つっかえ、つっかえ言うと笑われた。
「今の、誰?」
「ああ、俺と同じクラスの寺本。テニス部に入るの決めてて、もう練習に参加してるんだって。ボール拾いだけどって言ってたよ。お前もうちょっと体重増やして、鍛えろよ?軽々運ばれてたぞ?」
「それは三宅だって同じだろ?」
あははっと笑う三宅は僕と同じような体格だ。多分三宅では僕を運べなかったに違いない。
「三宅が、鍛えててくれたら、僕を運べたのにな」
「なっ!…あのイケメン寺本が、佐久間が倒れた時に走ってきて、俺が何か言う前にもう抱き上げてたよ」
三宅と話しているとガラッと引き戸が開いた。
「すみませんでした」
深々と頭を下げる三年生に両手を振って止めてくださいと言う。
「僕がボウっと、歩いてたから」
「ここどこかわかる?頭痛とか、吐き気とかない?」
一緒に入って来た養護教諭に聞かれて大丈夫ですと言うけれど、病院に行くからと車に押し込まれた。その後、検査されて異常なしと診断され、自転車通学だと言うと学校まで連れて帰ってくれた。自転車を学校に置いて帰ると、翌日困るからね。
自転車を押して校門まで来ると背の高い人影が門柱に凭れているのが見えた。
「大丈夫だった?」
「うん。待っててくれたの?寺本くんは関係ないのに。ありがとう」
今から思うと、多分家が近いことを知った先輩に頼まれたんだろう。良かったと呟く寺本から目が離せない。その日から用事もないのに三宅のところに遊びに行くことになった。
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