6 / 11
告白ゲーム
06
しおりを挟む
寺本と付き合って五日が過ぎた。僕は疲れている。机に突っ伏し、目を閉じた。
「なあ、お前もう告白した?」
「おう、玉砕したけどな」
「俺、まだ…」
「一週間以内にしないと罰ゲームとかって藤井が言ってたぞ?」
「そうなんだよ…ヤバい。明日までだよな…。今日の放課後、頑張るかな」
「おい!」
「あっ…」
今の会話で、僕の存在が続きの言葉を遮ったと思うといたたまれない。そうか…何故直ぐに告白してきたのかと疑問に思ってた。いくらノリでゲームに参加してたって、嫌なら何もせずにスルーすればいいのではと思っていたんだ。
罰ゲームか…。
好きでもない子に告白するのってどうなの?今更ながらの疑問を投げかける。誰にも返事を返されることはないそれは、僕の心にしこりを残した。
寺本は本当に演技が上手い。あんなに真剣に好きだの可愛いだのと連発されれば僕のガラスの心臓は破壊されてしまう。一ヶ月持つだろうか?
一ヶ月、のらりくらりと会わずに付き合ったぞとあの四人に言うこともできたと思うのに、毎日帰る頃には机に寺本の鞄が置いてある。約束もしてるから、反古にはしないのに…。
連絡先はその日のうちに交換し、ラインで毎日何度となくやり取りを繰り返す。流石に授業中に送られてくることはないけど、同じ教室にいても頻繁に送られてくる。それは、教室ではできるだけ今まで通りに接して欲しいとお願いしたからだ。あの時のゲーム参加メンバーには伝えただろうけど、それは知らないことになってる。
幸い寺本は僕が恥ずかしがってるだけだと思ってる。ああ、僕に寺本と同じ演技力があればもっと上手く対処できるのに。それでも好きって気持ちだけは嘘じゃないからそれは疑われることはないだろう。
どうやら、あの時のゲームで告白に成功したのは寺本だけのようだった。ちょうど一週間経った日に、教室の隅で五人がひたいを付き合わせて報告会をしていた。成功したのは樹だけかと言う台詞に、僕にはなんのことかわかった。
じゃあ、もう終わりなんだと、その日は寺本の鞄を無視して帰ろうとすると怒られた。
「どうした?何か用事?」
痛くない程度に腕を掴み、情けない表情はなかなか見ることができない。
「えっ…だって…」
「だって?」
…もう終わりじゃないのとは言えなかった。
やっぱり、一ヶ月は続くのか?あの時、一瞬聞こえたのは樹だけって言葉だった。もしかしたらその時に一ヶ月は頑張れと言われたのかもしれない。大変だな。どんな褒美が待ってるんだろう?
土曜日も日曜日も会いたいと言われた。寺本はただ通り過ぎるのを待つのが嫌なのかもしれない。僕をからかって楽しんでるのかだんだんスキンシップも激しくなる。
最初の日におでこにキスされてから毎回会う毎にその儀式は続いている。ハグもよくする。体育会系のノリなのか?僕は弱小陸上部だったけど、こんなことはない。
しかし、寺本もおでこが限界だろう。…と思っていたのに、その唇は頬に下りてきた。
「や、やめて…」
「恥かしい?。博也、可愛い」
名前では呼ばないでと言ったのに二人きりの時は守ってくれない。教室では呼ばれないから許してるけど、辛い。あと一週間したら呼ばれなくなるんだろ?
あと一週間で丁度一ヶ月。その日の日曜日には、僕から外で待ち合わせたいと持ちかけた。今までは、思い出になるようなことは避けたかったからどちらかの家か受験生らしく図書館。受験生で良かったよ。勉強という言い訳が会うことと、遠出をしないことを許してしまう。お互いの家で部屋にこもってても、勉強と言えば親は納得する。勿論本当に勉強もするけど寺本は僕に触れるのが好きみたいだ。ペット扱いなのかな?そりゃ、僕は小さいよ?でもペットはないでしょ。時には膝に乗せて抱きしめる。僕は恥ずかしさから、いつもどうすることもできない。
振りほどきたくはない。ずっとここに…この腕の中に居たいんだ。
寺本の唇が僕の唇に触れそうになる。両手を伸ばして距離を取る。
「嫌?」
真剣な目は本当にキスしたいと言われてるみたいで泣きたくなる。ここまで演技をしなくても誰も不審に思わないよ。いくら役者になりたくてもそんなことまでしなくていい。
「付き合って一ヶ月が過ぎれば…」
「名前も…そんなこと言ってたな。じゃあ、樹って呼ぶのと、キスもその日が解禁なんだな」
やけに嬉しそうな顔と声。
本当にキスしたいの?
そんなはずない。
残酷だよ寺本。
断れば良かった。何度も後悔する。でも、幸せな一ヶ月だった。辛くはあったけど楽しかったし、これで好きって気持ちを忘れられるかもしれない。
「なあ、お前もう告白した?」
「おう、玉砕したけどな」
「俺、まだ…」
「一週間以内にしないと罰ゲームとかって藤井が言ってたぞ?」
「そうなんだよ…ヤバい。明日までだよな…。今日の放課後、頑張るかな」
「おい!」
「あっ…」
今の会話で、僕の存在が続きの言葉を遮ったと思うといたたまれない。そうか…何故直ぐに告白してきたのかと疑問に思ってた。いくらノリでゲームに参加してたって、嫌なら何もせずにスルーすればいいのではと思っていたんだ。
罰ゲームか…。
好きでもない子に告白するのってどうなの?今更ながらの疑問を投げかける。誰にも返事を返されることはないそれは、僕の心にしこりを残した。
寺本は本当に演技が上手い。あんなに真剣に好きだの可愛いだのと連発されれば僕のガラスの心臓は破壊されてしまう。一ヶ月持つだろうか?
一ヶ月、のらりくらりと会わずに付き合ったぞとあの四人に言うこともできたと思うのに、毎日帰る頃には机に寺本の鞄が置いてある。約束もしてるから、反古にはしないのに…。
連絡先はその日のうちに交換し、ラインで毎日何度となくやり取りを繰り返す。流石に授業中に送られてくることはないけど、同じ教室にいても頻繁に送られてくる。それは、教室ではできるだけ今まで通りに接して欲しいとお願いしたからだ。あの時のゲーム参加メンバーには伝えただろうけど、それは知らないことになってる。
幸い寺本は僕が恥ずかしがってるだけだと思ってる。ああ、僕に寺本と同じ演技力があればもっと上手く対処できるのに。それでも好きって気持ちだけは嘘じゃないからそれは疑われることはないだろう。
どうやら、あの時のゲームで告白に成功したのは寺本だけのようだった。ちょうど一週間経った日に、教室の隅で五人がひたいを付き合わせて報告会をしていた。成功したのは樹だけかと言う台詞に、僕にはなんのことかわかった。
じゃあ、もう終わりなんだと、その日は寺本の鞄を無視して帰ろうとすると怒られた。
「どうした?何か用事?」
痛くない程度に腕を掴み、情けない表情はなかなか見ることができない。
「えっ…だって…」
「だって?」
…もう終わりじゃないのとは言えなかった。
やっぱり、一ヶ月は続くのか?あの時、一瞬聞こえたのは樹だけって言葉だった。もしかしたらその時に一ヶ月は頑張れと言われたのかもしれない。大変だな。どんな褒美が待ってるんだろう?
土曜日も日曜日も会いたいと言われた。寺本はただ通り過ぎるのを待つのが嫌なのかもしれない。僕をからかって楽しんでるのかだんだんスキンシップも激しくなる。
最初の日におでこにキスされてから毎回会う毎にその儀式は続いている。ハグもよくする。体育会系のノリなのか?僕は弱小陸上部だったけど、こんなことはない。
しかし、寺本もおでこが限界だろう。…と思っていたのに、その唇は頬に下りてきた。
「や、やめて…」
「恥かしい?。博也、可愛い」
名前では呼ばないでと言ったのに二人きりの時は守ってくれない。教室では呼ばれないから許してるけど、辛い。あと一週間したら呼ばれなくなるんだろ?
あと一週間で丁度一ヶ月。その日の日曜日には、僕から外で待ち合わせたいと持ちかけた。今までは、思い出になるようなことは避けたかったからどちらかの家か受験生らしく図書館。受験生で良かったよ。勉強という言い訳が会うことと、遠出をしないことを許してしまう。お互いの家で部屋にこもってても、勉強と言えば親は納得する。勿論本当に勉強もするけど寺本は僕に触れるのが好きみたいだ。ペット扱いなのかな?そりゃ、僕は小さいよ?でもペットはないでしょ。時には膝に乗せて抱きしめる。僕は恥ずかしさから、いつもどうすることもできない。
振りほどきたくはない。ずっとここに…この腕の中に居たいんだ。
寺本の唇が僕の唇に触れそうになる。両手を伸ばして距離を取る。
「嫌?」
真剣な目は本当にキスしたいと言われてるみたいで泣きたくなる。ここまで演技をしなくても誰も不審に思わないよ。いくら役者になりたくてもそんなことまでしなくていい。
「付き合って一ヶ月が過ぎれば…」
「名前も…そんなこと言ってたな。じゃあ、樹って呼ぶのと、キスもその日が解禁なんだな」
やけに嬉しそうな顔と声。
本当にキスしたいの?
そんなはずない。
残酷だよ寺本。
断れば良かった。何度も後悔する。でも、幸せな一ヶ月だった。辛くはあったけど楽しかったし、これで好きって気持ちを忘れられるかもしれない。
107
あなたにおすすめの小説
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?
小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる