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第三章
06
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◆◆◆◆◆
部屋へ帰る前に、明日の分の食材の買い物を済ませ急いで階段を上がる。エレベーターは怖い。直ぐに密室になる。何事もなく部屋に着くと冷蔵庫に買ったものをしまい一息ついた。
結局ほとんど食べられなかったから、売店でサンドイッチを買ってきた。最初からこうしておけばよかった。今更後悔してももう遅い。牛乳を温め少しだけ蜂蜜を入れる。買ってきたサンドイッチとドキドキする心臓音をホット蜂蜜ミルクで流し込む。
あぁあ…なんでこんなことに。
眼鏡のことはともかく、ウイッグはバレたくない。周りと違うといじめられるし、わざわざウイッグで隠してたことは更に反感を買ってしまうだろう。今日は早く寝てしまおう。
◇
翌日はゆっくり起き出し、智親くんとブランチを食べた。それから、自分の部屋に入り勉強したり、本を読んだり、片付けをした。一息つこうとコーヒーを飲んでるとコンコンとノックの音がする。
「あの、一年の岡野と言います。筑紫さんから伝言で、寮の図書室まで来てくれって」
そこに立っていたのは面識のない男だった。
「えっ?美都瑠、もう帰ってきたの?てっきり、日曜に帰ってくるんだと思ってたのに。それに、わざわざ、君に伝言って…」
「いいから、来てください。俺は連れてこいって言われただけなんで。
安田さんお借りします。筑紫さんが用事があるってことなんで」
部屋の中の智親くんに大きな声で言うと僕の腕を掴み、口に手を押し付けて大きな声を出せなくする。くぐもった声しか出せず、常にざわざわしているこの寮では異変に気付く人はいないだろう。
待っていた仲間…だと思う…の待つエレベーターに僕を押し込んだ。なんて乱暴なんだ。エレベーターの中で目隠しをされ、手を後ろで括られた。肩に何かをかけるとフードを被せる。
「下を向いてろよ」
後ろの手と顔を隠す為だろう。何階に着いたのかはわからないけれど、多分降りたと思う。寮から連れ出されるのだろうか?まるで具合の悪い友だちを介抱するように肩を抱き僕を誘導する。
「大塚、それ誰だよ?具合悪いのか?」
「あっ、いや、大丈夫だ」
大塚と声をかけられたのは僕の部屋に来た人じゃないのか?確か岡野と名乗ったと思う。偽名を使ったか、エレベーターで待ってた人の名前か?小さな声で、声出すなよと僕を脅し、背中を押した。
しばらく歩くとノックの音とガチャとドアが開く音、そして、連れてきたぞと小さな声が後ろからした。
寮から連れ出されることはなかったけれど、ここはどこなんだろう?転入して日は浅く、学校内もまだ行ったことがない場所が多いけれど、寮内も知らない場所はある。だいたい食堂へも行かず、部屋にこもってるから僕の移動は売店と自分の部屋だけだ。
「どうしてここに連れてこられたか、わかる?」
「……」
そんなのわかるわけない。こんなことをする輩の考えることなんて知らない。だいたい、口を押さえたままなのでしゃべることはできない。
「いい加減に、離せよ」
「こいつの肌スベスベで、気持ちいいから」
「なっ!何をふざけたこと言ってる!ここに座れ!」
最初のは後ろの男に、後のは僕に向けて怒鳴るように言う。気持ち悪い男の言葉に鳥肌が立った。口から手を離されても、目隠しはしたままなのでどこに座るのかわからない。肩を押され体重が後ろにかかるとそこには椅子があった。
「痛っ」
後ろに括られた手と椅子の背もたれがぶつかり痛みが走る。ただ救いだったのはその背もたれが下まで繋がってなかったことだ。
「もう一度言うよ。どうしてここに連れてこられたか、わかるよね?」
「……」
「偉そうに!そんなちんちくりんでみっともないのに、恭さまに構ってもらおうなんて十年早い!」
やっぱり……。
嫌な予感はあったんだ。
食堂で、それもかなり人がいた。そんなところで、僕のお皿から食事をするなんて、絶対注目されてた。悲鳴とか聞こえたし、倒れてる人もいた。でも、僕のせいじゃないよ。そんなことここで言ったら逆効果だろうから言わないけど。
部屋へ帰る前に、明日の分の食材の買い物を済ませ急いで階段を上がる。エレベーターは怖い。直ぐに密室になる。何事もなく部屋に着くと冷蔵庫に買ったものをしまい一息ついた。
結局ほとんど食べられなかったから、売店でサンドイッチを買ってきた。最初からこうしておけばよかった。今更後悔してももう遅い。牛乳を温め少しだけ蜂蜜を入れる。買ってきたサンドイッチとドキドキする心臓音をホット蜂蜜ミルクで流し込む。
あぁあ…なんでこんなことに。
眼鏡のことはともかく、ウイッグはバレたくない。周りと違うといじめられるし、わざわざウイッグで隠してたことは更に反感を買ってしまうだろう。今日は早く寝てしまおう。
◇
翌日はゆっくり起き出し、智親くんとブランチを食べた。それから、自分の部屋に入り勉強したり、本を読んだり、片付けをした。一息つこうとコーヒーを飲んでるとコンコンとノックの音がする。
「あの、一年の岡野と言います。筑紫さんから伝言で、寮の図書室まで来てくれって」
そこに立っていたのは面識のない男だった。
「えっ?美都瑠、もう帰ってきたの?てっきり、日曜に帰ってくるんだと思ってたのに。それに、わざわざ、君に伝言って…」
「いいから、来てください。俺は連れてこいって言われただけなんで。
安田さんお借りします。筑紫さんが用事があるってことなんで」
部屋の中の智親くんに大きな声で言うと僕の腕を掴み、口に手を押し付けて大きな声を出せなくする。くぐもった声しか出せず、常にざわざわしているこの寮では異変に気付く人はいないだろう。
待っていた仲間…だと思う…の待つエレベーターに僕を押し込んだ。なんて乱暴なんだ。エレベーターの中で目隠しをされ、手を後ろで括られた。肩に何かをかけるとフードを被せる。
「下を向いてろよ」
後ろの手と顔を隠す為だろう。何階に着いたのかはわからないけれど、多分降りたと思う。寮から連れ出されるのだろうか?まるで具合の悪い友だちを介抱するように肩を抱き僕を誘導する。
「大塚、それ誰だよ?具合悪いのか?」
「あっ、いや、大丈夫だ」
大塚と声をかけられたのは僕の部屋に来た人じゃないのか?確か岡野と名乗ったと思う。偽名を使ったか、エレベーターで待ってた人の名前か?小さな声で、声出すなよと僕を脅し、背中を押した。
しばらく歩くとノックの音とガチャとドアが開く音、そして、連れてきたぞと小さな声が後ろからした。
寮から連れ出されることはなかったけれど、ここはどこなんだろう?転入して日は浅く、学校内もまだ行ったことがない場所が多いけれど、寮内も知らない場所はある。だいたい食堂へも行かず、部屋にこもってるから僕の移動は売店と自分の部屋だけだ。
「どうしてここに連れてこられたか、わかる?」
「……」
そんなのわかるわけない。こんなことをする輩の考えることなんて知らない。だいたい、口を押さえたままなのでしゃべることはできない。
「いい加減に、離せよ」
「こいつの肌スベスベで、気持ちいいから」
「なっ!何をふざけたこと言ってる!ここに座れ!」
最初のは後ろの男に、後のは僕に向けて怒鳴るように言う。気持ち悪い男の言葉に鳥肌が立った。口から手を離されても、目隠しはしたままなのでどこに座るのかわからない。肩を押され体重が後ろにかかるとそこには椅子があった。
「痛っ」
後ろに括られた手と椅子の背もたれがぶつかり痛みが走る。ただ救いだったのはその背もたれが下まで繋がってなかったことだ。
「もう一度言うよ。どうしてここに連れてこられたか、わかるよね?」
「……」
「偉そうに!そんなちんちくりんでみっともないのに、恭さまに構ってもらおうなんて十年早い!」
やっぱり……。
嫌な予感はあったんだ。
食堂で、それもかなり人がいた。そんなところで、僕のお皿から食事をするなんて、絶対注目されてた。悲鳴とか聞こえたし、倒れてる人もいた。でも、僕のせいじゃないよ。そんなことここで言ったら逆効果だろうから言わないけど。
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